戦士(私ら以外の客いなくてよかったな・・・・)
僧侶「まだまだ子供なんだから」
勇者「ちがいます16歳だから! 馬鹿にしないでください!! そこさわらないでください!!」
戦士(私が16歳のころは・・・・)
戦士(もうちょっと発育よかったかな・・・うんそうに違いない)
僧侶「見てください勇者様、あれ失礼なこと考えてる顔ですよ」
・・・・・
戦士「あぁーいい湯だったな。肩が軽くなった」
僧侶「いちいち婆臭いですよ」
勇者「お腹すいたよー」
魔王「みなさん早かったですね」
戦士「いやいやわりーわりー、コイツがいなければもっと早かったんだが」
僧侶「あ、人に指さしちゃだめなんですよ」
魔王「晩御飯買ってきてますのでいただきましょうか」
戦士「酒は!?」
魔王「安酒になってしまいましたが」
戦士「よっしゃ!」
僧侶「飲むんですか?」
戦士「飲むぜー! 僧侶はまだダメだっけ? じゃあ魔王、飲もう!」
魔王「では少しだけ」
僧侶「え、私もう飲めますよ!」
戦士「そうだっけ?」
僧侶「ふふん、知ってましたか? お城より東に位置する街では18歳以上で飲めるんですよ」
戦士「ふーん? じゃあ飲もうぜ」グビグビ
僧侶「これがお酒・・・」
魔王「どうぞ」
トクトク……
僧侶「ど、どうもすいません」
勇者「ばくばくもぐもぐ。この鳥の唐揚げおいしいね!!」
魔王「おいしいですね」
僧侶「くんくん・・・いい匂い・・・」
戦士「飲めよ聖職者」
僧侶「い、いきます・・・!!」
グビッ…
僧侶「!?」
戦士「くっく、なんつー顔してるんだよ」
僧侶「うあああー! 辛っ、ていうか喉が熱い!!」
魔王「どうぞお水です」
僧侶「うぅう・・・お酒ってなにがおいしいんですか?」
戦士「おこちゃまには早かったな」
勇者「いいなーいいなー。飲みたいなー」
戦士「だめ♪ これ私の♪」ヒョイッ
勇者「ずるいよー!」
魔王「僧侶さん、こっちの葡萄酒なら飲めるんじゃないですか?」
僧侶「あ、それがいいです!! うわぁ、綺麗な色・・・」
僧侶「くぴくぴ・・・ん、こっちは飲みやすいですね!」
魔王「ええ、私も飲んでみてびっくりしました。人間はお酒も料理もつくるのが上手ですね」
戦士「魔物は酒どうしてんの? 人からかっぱらうのか?」
魔王「いえいえ、きちんと輸入してますよ。ただ量は確保できないんですよね。贅沢品です」
戦士「たえらんねーなーそれは。生きる意味半減だぜ」
僧侶「それはまた嫌な人生ですね」クピクピ
戦士「お前こそ。私はガキんころから飲んでたぜ」
僧侶「・・・・べー、規律を守らない人は神のご加護を受けられませんからねっ!」
魔王「・・・とまぁ飲む経験のあるなしでかなり趣向のわかれるものですので、基本的には禁じております」
僧侶「当然です。お酒なんていいことないじゃないですか」
戦士「飲みながら言うなよ」
勇者「・・・・」
僧侶「どうしました勇者様。むくれてるんですか?」
勇者「・・・・」
僧侶「飲みます?」
勇者「いいの?」
僧侶「だれも見てませんから、ね」
魔王「僧侶さんはほんとうに神の使いですか?」
戦士「神もたまには手元が狂うこともあるんだろ」
勇者「・・・・」じー
魔王「そろそろ隠せなくなりましたね」
戦士「なにが?」
勇者「ねーねー、その包みは何?」
魔王「では勇者様のメインディッシュにしましょうか」バサッ
勇者「うわっ! わわ!!」
魔王「お気に召しましたか?」
勇者「グリル肉だー!!」
戦士「おー、金足りたんだ」
勇者「すごい!! いい匂いだよ!! おっきいよー!!」
魔王「どうぞ召し上がってください」
戦士「てかまじで金たりたの?」
魔王「ご心配なく」
戦士「・・・もしかしてわざわざ身銭切ったか?」
魔王「・・・そんなことはありません」
戦士「はぁ・・・あんたほんとなんで魔王やってたんだよってくらいいい奴だよ」
魔王「いえいえ。勇者様が喜んでくれたらそれで良いのです」
戦士「勇者ー、ありがたがって食えよな」
勇者「・・・」
戦士「どした? 食えよ、ずっと肉肉いってたろ」
勇者「みんなで食べよ」
戦士「え?」
勇者「4人でわけてたべる!!」
魔王「優しいですね勇者様は」
勇者「きっとみんなで食べたらもっとおいしいよ!」
戦士「・・・じゃあ遠慮はできないな」
魔王「ありがとうございます」
勇者「魔王さんありがとう! ほら僧侶も!!」
僧侶「あ゛?」
勇者「え・・・」
僧侶「おいチビッ子。うまそうなもんくってんな、ウィック」
勇者「えぇ!? どうしたの? 顔真っ赤だよ大丈夫!?」
戦士「あーあ・・・はじめてのくせに調子のってがぶがぶ飲むから・・・」
魔王「戦士さんは酔わないのですか?」
戦士「あんまりな。こんなふうに酔っ払うまで飲んだことはないや」
僧侶「おい、その肉よこせよ」
勇者「やだよぉー・・・僧侶の分ちゃんとあるからさぁ」
僧侶「は? たんねーだろうが?」
勇者「こわいよー戦士なんとかしてー! お酒臭いよー」
戦士「殴ったら気絶する。これは覚えとけ」
勇者「できないよぉ・・・」
僧侶「それよりも勇者様って・・・・そこらの肉なんかよりもおいしそう」カプ
勇者「うわあああっ! うわあああやめてよぉ!!」
魔王「・・・・すこし酔いがまわってきたようなので夜風にあたってきます」
戦士「・・・おう」
勇者「のらないで!! 降りてよ!」
僧侶「スライムの捕食~」
勇者「くさい! くさいからっ!!」
戦士「床でやんな。ベッド行け」
僧侶「それもそうですね、ウィック、ヒク」
戦士「私は外で飲もっと。それじゃおやすみ」
僧侶「おやすみなさ~い♪」
勇者「ぎゃああ! おいてかないでよー! ひとりにしないで!」
僧侶「私がいるじゃないですかぁ。今晩も私と寝ましょうねぇ?」
勇者「まだ寝ないし!! 夜はこれからだもん!」
僧侶「あら勇者様、お体火照ってますねぇ・・・お酒飲み過ぎですよ?」
勇者「飲んでないもーん!」ジタバタ
僧侶「うふふふ・・・・暴れちゃほかのお客さんの迷惑ですよ?」
勇者「・・・・うぅ」
―外―
戦士「うっす」
魔王「お二人は?」
戦士「邪魔しちゃ悪いんでー」
魔王「そうですか・・・少し不安がよぎりますが」
戦士「大丈夫大丈夫。ずっとあんな感じだから」
魔王「仲がいいのは結構なことだとおもいます」
戦士「はは、あいつら姉妹みたいだろ? 私は自分にそう言い聞かせてる・・・」
魔王「・・・・」
戦士「ま、続きだ。飲もうぜ」
魔王「いえ、私はもう」
戦士「なんだよー、美女の酒を断るのかよー」
魔王「・・・わかりました、いただきましょう」
戦士「うんうん」
戦士「外のほうが月が見えていいな」
魔王「えぇ、そう思います」
戦士「なんか贅沢だ」
魔王「そうですね、美女とふたりきりで飲むなんてこの先なかなかありません」
戦士「・・・なーんかむかつくな」
魔王「すいません」
戦士「ま、いいや。ほれもう一献」
魔王「戦士さんはなぜ旅をされているのですか?」
戦士「んー、もともとは小さい村の守備隊やってたんだけどさ」
魔王「お辞めになったのですか?」
戦士「いやー・・・なんていうか、その」
戦士「・・・・村ごと壊滅しちゃってさ。そのまま仕事もなくなっちゃったのよ」
魔王「・・・・」
戦士「魔王も魔物も、許せなかったよ。私らの敵だ」
魔王「・・・・私ごときの首でよければ」
戦士「いやいいんだ。あんたの首もらっても仕方ねぇよ」
魔王「そうですよね・・・」
戦士「んでそっからしばらくさすらうようになって、流れ着いた街で賞金稼ぎしてたらあいつの目にとまったってトコかな」
魔王「なるほど・・・」
戦士「いやー昔話は気恥ずかしいな! なんで話したんだろう。酔ってるんだきっと」
魔王「ただ復讐で旅をしているわけでは、ないのですね?」
戦士「うん・・・そんな旅、もったいないだろ」
戦士「たくさん楽しいこともあるはずなんだから、目一杯楽しめたらいいなって思ってる」
戦士「簡単に過去を切り捨てることはできないけど、それに引きずられて未来まで潰しちゃだめだ」
戦士「勇者に出会って、そう思えるようになったよ」
魔王「大変良い心がけだと思います」
戦士「あんたもいまこうしてここに居るってことは、そりゃぁ私の頭じゃいくら考えても追いつかないほど、いろいろあるんだろうよ」
戦士「でもさ、しっかりと未来を見据えていれば、きっと大丈夫・・・」
魔王「未来ですか・・・」
魔王(私の未来・・・明日を生きる糧もない私の未来とは・・・・)
戦士「まだだいぶ旅は続くだろうし、ゆっくり考えればいいんじゃねーか」
魔王「そう・・・ですね・・・」
戦士「私ならいつでも相談にのるよ」
魔王「ありがとうございます」
戦士「だから私の相談にものってくれよな。ていうか愚痴につきあって」
魔王「えぇ、いつでも」
戦士「そんじゃ、そろそろ戻るか。あいつら寝てるといいんだけど」
魔王「はい」
戦士「あ、それとさ」
魔王「なんでしょう」
戦士「酔った勢いで襲うなよ♪」
魔王「ご心配なく」
戦士「・・・枯れてんのかぁ? それとも魔族ってそんなもん?」
魔王「私からすればみな娘のような歳ですので」
戦士「いねーくせに・・・」