魔王「失脚してしまった・・・今後の生活どうしよう・・・」 8/14

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僧侶「あっ! なんで目つぶってるんですか! そういうの結構失礼ですよ!!」

魔王「いえ、私もう若くないんで・・・」

僧侶「ふーん・・・?」

ピトッ

魔王「!」

勇者「僧侶ずるい! 魔王さんから離れて!!」

僧侶「勇者様だってお膝の上にちゃっかりのってるじゃないですかぁ」

勇者「いいじゃん! 特等席だよ!!」

魔王「・・・」

僧侶「魔王さん。目をあけてくださいよー」

魔王「・・・」

僧侶「だんまり決め込むんですかー? ならもっとひどい目にあいますよ?」

魔王「からかわないでください」

僧侶「うふふ・・・見かけによらず可愛い人ですねぇ」

魔王「・・・」

勇者「魔王さーん」

僧侶「魔王さん・・・♪」

魔王「・・・」

勇者「ねー、僧侶なんかに負けてないよね!? 色っぽい?」

僧侶「ほら、勇者様がお尋ねしてますよ。答えてあげなきゃ」

魔王「・・・やむを得ませんね」

ヒュン――――

僧侶「うぎゃっ!?」ジャブン

勇者「うええ!?」ボチャ

僧侶「・・・・?」

勇者「ま、魔王さん消えちゃった・・・」

僧侶「ひ・・・ひどいですっ!!」

ヒュン――――――

魔王「ふぅ・・・すいません勇者様僧侶さん」

戦士「・・・」

魔王「あ、どうも・・・・・・あっ」

戦士「へ、ヘンタイ!!」

ベシン!!

・・・

魔王「状況が状況でしたので・・・」

戦士「いきなり素っ裸で目の前に現れる奴がいるか!」

魔王「お目汚し失礼しました」

戦士「べつにそこまで怒ってねーけどぉ!!」

魔王「殴ったじゃないですか」

戦士「反射だ反射。まじでびっくりしたんだからな。敵かと思った」

勇者「あー! 戦士と仲良くしてるー!」

僧侶「ほんとダメな人ですね。すぐ温い方へ逃げるんだから」

魔王「いいお湯でしたね」

僧侶「・・・言いたいのはそれだけですか」

戦士「おいおい、お前らあんまりいじめるなよ」

僧侶「こんなのただのスキンシップですよ!」

魔王「どうも最近の若い子にはついていけない部分があります」

戦士「あんたほんと所帯じみてるよ・・・」

僧侶「同世代のおじさんたちと見比べるとほんと血の気のない人ですよねー」

僧侶「私の父なんて教会ほうりだして、踊り子見に行ってハッスルハッスルしてましたよ!」

戦士「それはどうかと思うな」

勇者「僧侶のお父さんってかつらかぶってたよね」

僧侶「え? いま言うことですかそれ。まぁ、見栄はってましたね・・・」

勇者「・・・じー」

魔王「・・・? 私は地毛です。あと100年はそういう予定もありません」

―――数日後―――

戦士「や、やっとふもとの村が見えた・・・」ヨロ…

僧侶「長かったですね・・・」

魔王「かなり足止めをくらいました。迂回したほうが早くいけたかも知れませんよ」

勇者「あそこが目的地?」

僧侶「あの村からさらに数日歩いたところにある港町です」

勇者「えー、まだあるの?」

僧侶「ぶーたれないでくださいよ。私だって疲れてます」

魔王「早めの休息が必要ですね」

勇者「おいしいものが食べれるといいけどなー」

僧侶「小さな村ですからね。宿があるかどうかも怪しいところですね」

戦士「ま、いこうぜ。私は安心して眠れたらどうでもいい」

魔王(やけに空気がざわついているな・・・)

・・・

魔王「もうだいぶ近くまできましたね」

僧侶「え・・・・ねぇ・・・あれ・・・」

勇者「けむりだー・・・!」

戦士「お、おい・・・アレ燃えてんのか!?」

魔王「なぜ村から火の手が・・・!」

僧侶「い、急ぎましょう!」

魔王「先行します」

ヒュン――――

勇者「あー! まってよー!」タタタッ

魔王(まさかとは思いますが・・・!!)

ヒュン――――

――燃え盛る村――

魔王「・・・・これは・・・」

小悪魔A「クキャキャキャキャ」

小悪魔B「ゲラゲラゲラ」

魔王「なぜです・・・あなたたちは積極的に人を襲う種ではないはず」

小悪魔A「キャキャキャ」

魔王「誰の命令で動いているのです」

ズズ…

デーモン「俺だよ」

魔王「! あなたは」

勇者「魔王さんまってよー!!」

デーモン「クハハ・・・こりゃあお笑いだぜ」

デーモン「世捨て人のてめぇがまさかこんな事をしてるとはな。クハハハ現魔王様が聴いたら爆笑だろうよ」

魔王「勇者様きてはいけません!」

勇者「えっ」

デーモン「ようこそお嬢さん方。俺様の領土へ」

戦士「どういうこった!」

僧侶「どうしてこんなことをするのです!!」

デーモン「地方分権ってやつさ。いまの魔王様はふとっぱらでよぉ」

デーモン「俺みてぇな貴族たちに島単位で統治することを許してくださった!」

戦士「ふっざけんなよ! そんなもんてめぇらの勝手じゃねえか!」

デーモン「あぁ? 俺の土地を俺がどうしようと当然勝手だろうが」

僧侶「ここはあなたたちの土地ではありません!!」

デーモン「だから全部奪うんだよ。土地も、命も、財産も! この力でなぁ!!」

勇者「・・・・」

魔王「地方分権ですか・・・。それは、世界征服と言い換えても?」

デーモン「そうさ! あんたがやろうとしなかったことをやってるだけだぁ!」

デーモン「頭がすげ替えられたら政策も変わる! ごく当たり前だよなぁ元魔王さんよぉ!!」

魔王「・・・ですね」

勇者「魔王さん・・・どういうことなの?」

魔王「ただ歴史を重ねることしかできない保守派のくせに、急進的改革とは笑わせる・・・」

勇者「ねぇ魔王さん!」

デーモン「てめぇみてーな口だけ野郎が上にたつとめんどくせぇんだよ」

魔王「それが閣僚たちの本音ですか」

デーモン「さぁなぁ! ただ俺たちはいままでずっと力で権威を示してきたんだろうが!!」

僧侶「そんなのよくありません!」

デーモン「てめぇらが言うかよ」

戦士「あたしらはどう言われようが魔王を潰すぜ」

魔王「えぇ、でなければ旅だった意味がありません」

デーモン「やってみろよ・・・そうだぜぇ、俺はそっちのほうがシンプルで好きだ・・・ククク」

デーモン「魔王を殺してみろ! 俺を殺してみろ! まずはこいつらに勝てるもんならなぁ!!」

ザワザワ…

▼まものの大群があらわれた

勇者「うわっ!!」

戦士「囲まれてるっ!」

僧侶「勇者様をお守りします!!」

魔王「・・・!!」

デーモン「ひゃははは! 勇者たちを血祭りにあげろ!」

デーモン「そうすれば俺は豪族・・・貴族、いや・・・魔王なることさえ可能!!」

デーモン「お嬢ちゃん達、てめぇの生まれの不幸を呪いな」

魔王(多勢に無勢・・・どうすれば・・・!)

小悪魔「クキャキャキャ!!」

大目玉「食っちまえ!!」

魔術師「ふぉっふぉっふぉ。わしらも若い子と楽しんでええんですかな」

デーモン「好きに殺れ。いたぶってもかまわんぞ」

魔術師「だが元魔王がおるぞい」

デーモン「大丈夫だ。奴にたいした魔力はない。もともとただの管理職、誰から見ても冴えないおっさんだ」

大目玉「やれやれ、なぜそんな愚鈍なものが王座についたのやら」

デーモン「同じくして愚衆どもにはヤツの戯言が物珍しかったのだ、ただそれだけのこと」

小悪魔「キャキャキャキャキャキャキャ!! コロセー!」

魔王「・・・」

勇者「ど、どうしよう・・・魔王さん・・・」

戦士「殺られるわけにはいかねぇ。勇者、びびんなよ」

僧侶「・・・うぅ」

???「……」コソ ガサガサ…

デーモン「お祈りはすんだか? 元魔王さんよぉ」

デーモン「あいつとおんなじところに送ってやるゼェ・・・!!」

魔王「・・・ッ!!!」

ヒュン――

勇者「魔王さん! いまいっちゃだめぇ!!」

デーモン「ひゃははは! 正面からくるとは馬鹿が! 頭に血がのぼってやがる! ヤッちまえ!」

魔術師「思う壺ですな! 死ねぇ!!」ボォオオ!

グレムリン「あはははくらえー!」ボゥ!

魔王「・・・クッ――」

勇者「魔王さん!!」

猿達「ウキャーーー!!」ガサガサガサガサッ

デーモン「!」

大目玉「な、なんだこいつらっ! ぐあっ、来んじゃねぇ!!」

勇者「猿さんたち!!」

デーモン「下等な山猿どもがぁあ!」

ボス猿「ウキャキャー!(貴様なに俺様の花嫁に危害くわえとんじゃ!)」

ベキッ

デーモン「ガッ・・・ペッ、蛮族がぁ!!」

ボス猿「ウキャ!(無事ですか、愛しの人よ・・・)」

勇者「猿さん! きてくれたの!?」

戦士「いまだ! 反撃するぞ!」

僧侶「はい!」

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