女勇者「勇者になんて、生まれたくなかったんだよ?」 11/12

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

戦士「行くぞ…!!ぬりゃああ!!」

女勇者「うぅ…!!」

戦士の攻撃!

キィン!

キィン!

ガキィン!

女勇者「戦士くん…っ!やめて…!!」

戦士「うおぉぉぉぉぉおお!!!」

女勇者「戦士くん!!!!」

戦士は女勇者の体を思い切り叩き切った!

ズシャアアア…!!

女勇者に192のダメージ!!!▼

僧侶「勇者さまぁーー!!!!」

女勇者「……っ」

どさっ

戦士「…とどめだ、魔王!!」

魔法使い「…もうだめ!!火炎魔法(最大)!!」

魔法使いは戦士に魔法を放った!

戦士「ぐぅあああ!!何を…!?」

戦士に180のダメージ!!▼

戦士「く…!?魔法使い!?気でも違ったか!?」

僧侶「戦士さん…!!!」

戦士「俺達で勇者殿を守ると!誓ったではないか!!」

魔法使い「火炎魔法(最大)!!」ぼぉぉぉぉお

戦士「我々の誓いは…!?魔法使い…!!」

魔法使い「火炎魔法ぉぉぉぉ(最大)!!!」ぼおぉぉぉお!!!!

戦士「な…ぜだ…!!」

僧侶「勇者さま…!回復魔法(最大)!!」ぱぁぁ

女勇者「……ひゅ………ひゅ………」

僧侶「回復魔法(最大)!!!回復魔法(最大)!!!回復魔法ぉぉぉ(最大)!!!」

女勇者「………ひゅ……ひゅ……」

女勇者「…ぁ………ぁ……」

僧侶「傷が…!傷が…ふさがらないよぅ…!!!」

魔法使い「…戦士さんは、もう大丈夫…!もう起きられないはずです…!!」

魔王「馬鹿な…!!貴様ら、なぜ…なぜ混乱もせず…仲間を平気で傷つけられるのだ…!?」

魔法使い「平気…!?」

魔王「貴様ら…戦士に、全滅させられる…はずでは…」

魔法使い「…平気で…戦士さんを倒したとお思いですか…!」

魔王「…!」

魔法使い「私が、どんな気持ちで戦士さんを…!!!」

魔法使い「…許しません」ぽろぽろ

魔王「…馬鹿な…貴様ら人間に、そんな事が…」

魔法使い「…私達は、勇者様を守る為にここまで強くなった」

魔法使い「それは戦士さんも同じ…。勇者様をお守りするには、こうするしか…」

魔法使い「…いえ。もう少し早く決断するべきだった。戦士さんを倒すと」

魔王「……!」

魔法使い「これが絆。私達の、勇者様を守るための絆…!」

魔法使い「…あなただけは、絶対に許さない!」

魔法使いは自分の持てる魔法力を全て解き放った。

魔法使いの魔法が魔王の頭上から降り注ぐ!

魔王「ぐ…ぐぁあああああ!!!!!」

魔王を倒した…。▼

魔法使い「はぁ…はぁ……はぁ…」がくっ

魔法使い「勇者様…勇者様は…?戦士さんは…?」

ふら…ふら…

僧侶「…魔法使いさん…傷が…!傷が塞がらないよぅ…!どうしよう…!」

魔法使い「……どうして、こんな事に……!」

僧侶「止まらない…!血が止まらないんです……っ!」ぽろぽろ

女勇者「……ひゅ………ひゅ……」

魔法使い「……戦士さんは…」

戦士「……」

僧侶「戦士さんも……全身火傷だらけで…どうしようもなくって…!」ぽろぽろ

魔法使い「……せっかく…せっかく、魔王を倒したのに…」

女勇者「……て…」ぱくぱく

僧侶「!勇者さま、聞こえますか?勇者さま!!」

女勇者「…ち………って…」ぱくぱく

僧侶「なんですか?勇者さま、何が言いたいんですか…?!」

女勇者「お…ちに………って」

ぱく…ぱく…

魔法使い「!!」

僧侶「何ですか?勇者様、なんですか…!?」ぽろぽろ

魔法使い「『おうちにつれてって』…」

僧侶「え?」

魔法使い「僧侶さん…瞬間移動魔法はまだ使えますか?」

僧侶「あ…あと一回くらいなら、なんとか……」

魔法使い「…連れて帰ってあげましょう。お母様の所へ」

僧侶「…はい。わかりました」

戦士「……」魔法使い「戦士さんは私が。僧侶さんは、勇者様を…」

僧侶「わかりました…。勇者、帰りましょうね…」

勇者「……ひゅ……ひゅぅ……」

僧侶「…最初の町へ。瞬間移動魔法…」

【最初の町】

僧侶「帰って来ましたよ、勇者さま…」

女勇者「…」ぱく……ぱく……

魔法使い「……」

勇者の母「勇者…?」

僧侶「!」

魔法使い「勇者様の…お母様…?」

勇者の母「勇者!!」だっ

女勇者「……ひゅ……」

勇者の母「あぁ…!!勇者……!!」ぎゅ

女勇者「ま……ま……」

勇者の母「…ごめんなさい……!!ごめんなさい……!!」ぎゅぅ…!

女勇者「ただい…ま…」

勇者の母「…お帰りなさい…。勇者…私を許して……!」

女勇者「ま…ま?なかないで……?」

勇者の母「…痛かったでしょう…?怖かったでしょう…?…ごめんなさい…!」ぽろぽろ

女勇者「……帰った…よ…?がんばったよ…?」

勇者の母「ええ…。よく頑張ったわ…!!だからもう…しゃべらないで…!」

女勇者「……」ニコ

女勇者「……そう…ちゃ……ま…」

僧侶「…はい。勇者さま…?」

魔法使い「……う…ぅ…!」

僧侶「魔法使いさん…聞いてあげましょう…」

魔法使い「はい…ごめんなさい……」

すっ

僧侶「なんですか、勇者さま…?聞いてますよ…?」

勇者「あの…ね?戦士くんが…起きたら…」

僧侶「え?」

僧侶「…わかりました。必ず…」

魔法使い「…必ず伝えます…」

女勇者「……」ニコ

僧侶「…」

魔法使い「…」

女勇者「ママ……ママ…いる…?」

勇者の母「ここに…すぐ傍にいるわよ。どうしたの…?」

女勇者「抱っこ……」

勇者の母「…ええ。いらっしゃい…」ぎゅ

女勇者は母親の腕に抱かれ、静かに目を閉じた。

女勇者の命が光となり、身体から浮かび上がる…。▼

女勇者「……自己犠牲回復魔法」

女勇者の身体から小さな光は、

弱々しく輝きながら仲間達に降り注ぐ。

魔法使いの傷が回復した。

僧侶の傷が回復した。

戦士は生き返った。

女勇者は力尽きた。▼

戦士「……俺は……?」むく

戦士「っ!!」がばっ

戦士「魔王は!?勇者殿は…!?」

僧侶「…」

魔法使い「…」

勇者の母「…う…うぁぁぁ……!!!」

女勇者「 」

戦士「勇者殿?」

女勇者「 」

戦士「なんだ…?どうなっている!?」

女勇者「 」

戦士「勇者殿!!!」

戦士「俺は…守れなかったのか…?」

戦士「勇者殿を守れなかったのか…!!」

戦士「…!!!」ぎり…

戦士「うおおおおおおお!!!!」

戦士「くそ…!!」

戦士「くそ!!!」

戦士「勇者殿…済まない!!」

戦士「うおおお…っ!!!」

僧侶「戦士さん…!」

戦士「……俺は…何と言う事を……!!」

戦士「この剣で…勇者殿からいただいたこの剣で……!!!」

戦士「……!!!」チャキ

僧侶「戦士さん!!」がばっ

戦士「離してくれ、僧侶。俺は…勇者殿を守れなかったばかりか…」

戦士「正義をもなくしてしまった…!!」

戦士「もはや…」

魔法使い「戦士さん!!」

戦士「…」

魔法使い「勇者様から、伝言があります…」

戦士「…勇者殿から…?」

魔法使い「はい。瀕死の状態…喋る事もままならない状態で、あなたに伝えて欲しいと…」

魔法使い「必死に話していました。聞いてくれますね…?」

戦士「うむ…」

魔法使い「勇者様は…自己犠牲回復魔法で、私達を助けてくださいました」

戦士「…そう…なのか。あの、勇者にしか使えないという……」

魔法使い「…勇者様は、私達に…ありがとうと」

戦士「……」

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12