僧侶「ふわぁ…。戦士さん、見る見る強くなっていきますねぇ」
魔法使い「ええ。毎日、夜遅くまで一人で稽古なさってますからね」
僧侶「すごいときは朝方まで…。尊敬しますぅ…」
戦士「大丈夫か、勇者殿?」
女勇者「うん、平気。戦士くんが強いから、私、ぜんぜん役にたてないね」
戦士「それで良い。勇者殿が戦わなくて済むのなら、それに越したことはない」
女勇者「うん…。ごめんね、勇者なのに」
戦士「良いんだ。さぁ、先を急ごう」
女勇者「うんっ!」
トテトテ
トテトテ
僧侶「あ…もしかして、次の目的地ってあれですか?」
魔法使い「そのようですね。世界一高い塔…」
僧侶「すごいですね。頂上がほとんど見えないです…」
戦士「ここに、最強の剣が眠っているのだな」
女勇者「みたいだね!みんな、頑張って手に入れなきゃね!」
戦士「うむ。ここの魔物は手ごわそうだ。みな、心してかかろう」
僧侶「はい!」
女勇者「はぁい!」
【塔】
戦士「僧侶、最後列で勇者殿のアシストをしてやってくれるか?」
僧侶「はい!」
戦士「魔法使いは俺と前線で戦ってもらうことになる。かまわんか?」
魔法使い「ええ、もちろんです。ここまで来て迷いはありません」
戦士「うむ。俺とて、命など惜しくはない。では行こう!」
女勇者「あ…戦士くん」
戦士「うむ?どうした勇者殿?」
女勇者「あのね?怒らないでね?」
戦士「なんだ?言ってみなさい」
女勇者「私が弱いせいだけど…でもね?私を守るために死なないで?」
戦士「!」
女勇者「命は惜しくないとか、言わないで?わたし、みんな大好きだから…」
女勇者「誰も死なないで、平和にしたいなぁ…」
女勇者「…一番弱い私が、こんなこと言ってごめんね?怒らないでね?」
戦士「いや。勇者殿の言うとおりだ」
魔法使い「…そうですね」
戦士「俺達は自分の身は自分で守れる。そして、勇者殿も守れる」
魔法使い「ええ。私達も、ここまで頑張ってきたんですから。強くなったんですよ」
戦士「だから、勇者殿はそんなことは気にしなくて良いんだ。自分の心配を一番にしなさい」
女勇者「うんっ!」
【2階】
戦士「さすがに…手ごわい敵が多いな。みんな無事か!?」
僧侶「はいっ!大丈夫です!」
女勇者「…うん!大丈夫…!」
魔物の攻撃!
魔物は鋭いつめを振りかざし女勇者に襲い掛かった!▼
戦士「あぶない!!!」
ガシィッ!!
戦士に51のダメージ!▼
女勇者「う…うっ…!」
戦士「ぬああああ!!!!」
戦士の攻撃!
ズバァ!!!
魔物を倒した。▼
女勇者「はっ…はっ…!」ドキドキ
戦士「危なかったな。もう少しでまともに食らうところだった」
女勇者「はっ…!はっ…!」
魔法使い「大丈夫ですからね、勇者様。落ち着いて、落ちついて…」なでなで
女勇者「はぁ…!はぁ…!」
魔法使い「よしよし。もう大丈夫。こわくない、こわくない…」なでなで
女勇者「んぐっ…はぁ……はぁ……」
僧侶「戦士さん、今の攻撃で、腕から血が…回復魔法(最大)」
ぱぁぁぁ
戦士「…すまない。俺もまだまだ未熟だ…」
【15階】
女勇者「ふぅ…ふぅ…今、何階くらいだろう…?」
戦士「たしか15階だな。勇者殿、大丈夫か?」
女勇者「ひぃ…ひぃ…だ、だいじょうぶ…!」トテトテ
戦士「辛くなったら言うのだぞ?」
女勇者「だいじょうぶ。戦闘じゃ役にたてないから…せめて、自分であるかないと…」
戦士「…」
女勇者「んしょ…よいしょ…っ」トテトテ
女勇者「あっ!?」
ドテッ
僧侶「勇者さま…!だいじょうぶ?回復魔法(小)…」ぱぁ
女勇者「…えへへ、ごめんね僧侶ちゃん。みんな、ごめんね…」
魔法使い「戦士さん。ここで休憩をとりませんか?私達も回復しましょう」
戦士「うむ。そうだな…まだまだ先は長そうだ。ここで休憩にしよう」
女勇者「……ねぇ、僧侶ちゃん」
僧侶「はい?なんですか?」
女勇者「回復魔法の詠唱、もう一回おしえて…?」
僧侶「え?もう一回ですか?前はどうしても出来なかったのに…」
女勇者「私だって、みんなと比べたらぜんぜんだけど、ちょっとはレベルも上がってるから…」
女勇者「だから、今ならできるかなって思って…。だめ?」
僧侶「…勇者さま、そんなに無理なさらなくてもいいんですよ?」
僧侶「魔法の詠唱は、精神力を消耗しますから…」
女勇者「でも…私がよわいせいで、皆にずっと迷惑かけてるんだよ…?」
女勇者「自分の回復くらい、自分で出来るようになりたいよぅ…」
僧侶「わかりました。しんどくなったら、すぐにやめてくださいね?」
女勇者「うんっ!ありがとう!」ニコ
僧侶「いいですか?ブツブツブツブツ…」
女勇者「ブツブツブツブツ…」
僧侶「そして、回復したい箇所か方向に手をかざして」すっ
女勇者「こう?これでいい?」すっ
僧侶「はい。それから、回復魔法(小)」
ぱぁぁぁ
女勇者「回復魔法(小)!!」
ぱぁ…
戦士「おお!」
女勇者「できた?ねぇ、僧侶ちゃん!今できたよね?」
僧侶「はい!できましたよ、いま!すごいじゃないですか!」
女勇者「えへへ、やったぁ。私も魔法使えるよ、魔法使いちゃん!」
魔法使い「ええ、見てましたよ」ニコ
女勇者「これで私も回復できるよね?戦士くん、怪我してない?」
戦士「今のところは…いや、そういえばさっき手を切ってしまったな」
女勇者「本当?私が治してあげる!」
戦士「そうか。かたじけない」
女勇者「あれ?戦士くん、自分の剣手のひらで触ったでしょー?」
戦士「うん?そうだったかな」
女勇者「えへへ、おっちょこちょいだね!いくよ?回復魔法(小)!」ぱぁ…
戦士の傷が回復した。▼
女勇者「嬉しいなぁ。僧侶ちゃんも魔法使いちゃんも、怪我したら私に言ってね?」
僧侶「ふふ…ありがとうございます。よろしくお願いしますねぇ」
魔法使い「私も怪我しやすいので、お願いします」ニコ
女勇者「えへへ…回復魔法(小)!」し…ん
女勇者「あれ?」
女勇者「回復魔法(小)~!」
MPが足りない。▼
僧侶「もう、勇者さまったら。はしゃいでそんなに使うから…」
女勇者「えー?もう出来ないの?もっと治してあげたいのに…」
戦士「よし。そろそろ回復も済んだだろう。あまりゆっくりもしていられない」
魔法使い「そうですね。出発しましょう」
女勇者「うんっ!」
・
・
・
【塔・最上階】
戦士「……ふぅ…ふぅ…」
魔法使い「やっと……最上階……」
僧侶「……もう、MPも体力も…ありません……」
女勇者「………」ふら…ふら…
戦士「…勇者殿、大丈夫か…?」
女勇者「うん……うん」ふら…ふら…
戦士「もうすぐ目的の剣があるはずだ。それまで頑張れるか…?」
女勇者「だいじょうぶ…あるけるよ…」ふら…ふら…
すたすた
ふら…ふら…
戦士「!あれが…あの台座に刺さっているのが」
僧侶「最強の剣…でしょうか…?」
魔法使い「綺麗……」
女勇者「……わぁ……」
僧侶「やっと、ここまで来ましたねぇ…」
戦士「うむ。かなり厳しい戦いだった。さぁ、勇者殿」
女勇者「…ふぇ?」
戦士「早くあの剣を手に入れよう」
女勇者「え……わたし?」
戦士「うむ。もちろんだ」
僧侶「私達は、ここまで勇者さまについて来たんですから」
魔法使い「どうぞ、勇者さま」
女勇者「でも…わたしじゃ、使えないから…戦士くんが取って?」
戦士「…勇者殿が頑張ったから、俺達はここまで来れた」
戦士「たまには、自分に褒美をあげてやってくれないか」
女勇者「…うん。じゃあ、私が取るけど…。戦士くんにあげるね?」
戦士「もし使えないようならそうしよう。だがな、勇者殿も強くなっている」
女勇者「そうかなぁ…?」
戦士「ああ。さっきも、初めて魔法が使えたではないか」
女勇者「……そっか。そうだねぇ。じゃあ、取ってくる」
ふら…ふら…ふら…
女勇者「ホントに…綺麗な剣だなぁ…。なんか、見てると悲しくなる…」
すっ
シャキン!
女勇者「!」
戦士「おお…。抜けば、より一層美しい…」
女勇者「うわぁ…軽い」
びゅっ
僧侶「え?あんなに大きい剣が、軽い…?」
女勇者「うん。なんだか、羽根を持ってるみたい。すごく軽いよ…?」
びゅんっ!
魔法使い「これが、最強の剣…。すごいですね」
戦士「ああ。だが…」
魔法使い「…?」
戦士「なんだ…?あの剣を見ていると、なぜか悲しくなるような…」
女勇者「わぁ。見てみて、戦士くん。わたしにも剣が振れてるよっ」
びゅんっ!
びゅんっ!
女勇者「でも…わたし、こんな剣持ってていいのかな…?弱いのに…」
戦士「もちろんだ。勇者殿も、ここまでともに戦ってきたではないか」
女勇者「…ねぇ、戦士くん?」
戦士「む?」
女勇者「やっぱり、この剣は戦士くんが使ったほうがいいよね?」
戦士「いや。俺には、勇者殿からいただいたこの剣がある」
女勇者「でも、きっとこの剣の方が強いよ…?」
戦士「良いんだ。勇者殿にはこの剣は触れないし、俺もこの剣に愛着があるからな」
戦士「その最強の剣は、勇者殿が使ってくれ」
女勇者「…わかった。でも、最強の剣も、私が使ったら最強じゃなくなっちゃうね」
戦士「…」
女勇者「そうだ!」
戦士「む?」
女勇者「この剣、戦士くんが私に使わせてくれたから…戦士の剣にしよう」
戦士「戦士の剣…?名前をか?」
女勇者「うん。かっこいいでしょ?」
戦士「うーむ…。そうか…?」
僧侶「ふふ、いいじゃないですか、戦士の剣。勇者様がそうしたいなら」
戦士「うむ。そうだな」
女勇者「えへへ…よろしくね、戦士の剣!」
女勇者は戦士の剣を装備した。
女勇者 戦士の剣 E
攻撃力 14 → 109