女勇者「ふぇ?あぁに?」
魔法使い「悪い事を言うのはこのお口ですか?」
ぎゅう
女勇者「…ご、ごえんあはい……」
僧侶「変じゃないですよぅ。勇者様は勇者様ですから」
女勇者「んー。なんか変な感じ」
魔法使い「勇者様は仲間であり、私達のリーダーですからね」
女勇者「じゃあわたしも、魔法使い様って呼んでいい?」
魔法使い「ふふ、それはどうかと思いますよ」クス
僧侶「みんな、勇者様を慕って様とか殿とか呼ぶんです。勇者様が気にする必要ないですよ」
女勇者「そうなのかなぁ…?」
女勇者「僧侶ちゃん達は、ちゃんって呼ばれてイヤ?」
僧侶「いいえ。うれしいくらいです」ニコ
女勇者「本当?じゃあ、おじちゃんも戦士くんって呼んでも良いかな?」
魔法使い「きっと喜ぶと思いますよ。戦士さん、ああ見えて若いんですから」
女勇者「えへへ、じゃあ帰って来たら戦士くんって呼んじゃおう」ニコニコ
女勇者「ねぇ、もう出るー」
僧侶「そうですねぇ。じゃあ、あと10数えたら出ましょうか」
魔法使い「勇者様、一緒に数えましょう。いち、にぃ」
女勇者「さーん、しーい、ごー…」
僧侶(…本当は、寂しいんだろうなぁ…)
僧侶「ろーく、しーち、はーち」
魔法使い「くー、じゅう!」
女勇者「おわり!出よ!」
僧侶「はい。もう戦士さんも帰ってきてるかも知れませんしね」
女勇者「うん!そういえば、どこ行ってたんだろうねー」
ざぱぁっ
トテトテ
トテトテ
トテトテ
ガチャ
戦士「お、出たのか」
女勇者「うん!戦士くん、おかえりなさい!」ニコ
戦士「ただいま。…ん?」
女勇者「えへへ」
戦士「なんだ、その…戦士くん、というのは」
女勇者「えっとねぇ、戦士くんって呼びたいの。いや?」
戦士「…そうか。嫌ではない」
女勇者「本当?うん、じゃあ戦士くんね!」
戦士「……」
僧侶(ふふ、喜んでるなぁ)
戦士「勇者殿、今日は8歳の誕生日といったな」
女勇者「うん!今日でわたしも8歳だよ」
戦士「誕生日プレゼントはもらったのか?」
女勇者「えっとねぇ…えへへ」
戦士「…もらっていないのか」
女勇者「今日、旅立つことになっちゃったからねぇ」
戦士「そうか。…これは、誕生日プレゼントだと思ってくれ」
女勇者「え?」
戦士「こんなものしかあげられなくて申し訳ないが…これからの役に立つだろう」
女勇者「うわぁ!プレゼント!戦士くん、ありがとう!開けていい?ねぇ、いいかな?」
戦士「ああ、開けてみなさい」
ぱかっ
女勇者「うわぁ…!!これ、ドレス?」
戦士「うむ。防具屋で売っていた質素なものだが」
女勇者「私、ドレスなんて着たことないよ」
戦士「そうか。着てみるといい。似合うといいが」
女勇者「うんっ!えへへ、戦士くん!ありがと!」
戦士「喜んでもらえてなによりだ」
女勇者「ねぇ、僧侶ちゃん!これ着せてー」
僧侶「はい。ふふ、良かったですねぇ勇者様」
女勇者は皮のドレスを装備した。
女勇者 皮のドレス E
防御力 3 → 5
女勇者「どう?かわいい?」くるくる
魔法使い「ええ。よくお似合いですよ勇者様」
僧侶「はい。すっごく可愛いですぅ」
女勇者「えへへ…戦士くん。ありがとう!ずっとずっと、大事にするからね!」
戦士「ああ…。これだけ喜んでくれて良かった」
僧侶「さぁ、勇者さま。明日も早いですから、今日はもう脱いでお休みしましょう?」
女勇者「えー。やだよぅ」
僧侶「ほらほら、わがまま言わないんですよ?明日になったらそれを着て旅立ちましょう」
女勇者「むぅ…寝るときもこれがいいなぁ…」
魔法使い「まぁ、いいんじゃないでしょうか?せっかくのプレゼントなのですし」
戦士「そうだな。明日からはきちんと寝間着で寝るんだぞ?勇者殿」
女勇者「はぁい!やったぁ!」
女勇者「じゃあ、もう寝るね?おやすみなさぁい」
僧侶「はい、おやすみなさい」ニコ
魔法使い「おやすみなさいませ、勇者様」
戦士「おやすみ」
女勇者「えへへ…戦士くん、ありがと!」
戦士「そう何度も礼を言われるのも困ったものだな」
僧侶「ふふ、良いじゃないですか。喜んでくれて」
戦士「そうなのだが…」
魔法使い「二人とも、お静かに…しっ」
戦士「ん?」
女勇者「くぅ……すー……」
僧侶「もう寝ちゃったんですかぁ…。寝つきがいいですね」
戦士「疲れていたのだろう。勇者殿にとって、今日という日はあまりに重い」
僧侶「そうかも知れませんね。あれ?戦士さん、どこに行くんですか?」
戦士「うむ。少し稽古を」
魔法使い「こんな夜更けにですか?」
戦士「日課でな。それに、やらなければならない」
戦士「勇者殿をお守りするには、俺達が強くならないといけないからな」
僧侶「!」
魔法使い「…戦士さんの言うとおりですね」
僧侶「私も…ちょっとだけ魔法の練習してこようかな」
戦士「ちょっとまってくれ」
僧侶「ふぇ?」
戦士「勇者殿がもしも目を覚ましてしまったとき、一人ではかわいそうだろう」
戦士「それでなくても母親から離れて寂しいはずだ。二人はそばにいてやってくれ」
僧侶「そうですね…わかりました」
魔法使い「戦士さんも、遅いですから気をつけてくださいね?」
戦士「うむ。では行ってくる」
【翌日】
僧侶「ふわぁ…。よく寝たぁ…ん?」
僧侶「きゃっ!」
僧侶「び、びっくりしましたぁ~…どうして勇者さまが私のベッドに…?」
女勇者「すぴー…すぴー…」
僧侶(それにしても可愛い寝顔だなぁ…)
僧侶(こうして見ると、ほんとにただの女の子みたい…)なでなで
女勇者「すー…う、ぅ…?」
僧侶「あ…起こしちゃった…」
僧侶「おはようございます、勇者さま」ニコ
女勇者「ふぇ……ママ…?」
僧侶「うふふ、違いますよぅ。私は僧侶。寝ぼけてるんですか?」
女勇者「…あ…おうちじゃない…」
僧侶「どうしたんですか?怖い夢でも見ました?」
女勇者「んん…」ごしごし
女勇者「うん。ちょっとだけ…ごめんね?」
僧侶「良いんですよ。ママじゃなくてごめんなさい」
女勇者「んーん。…おはよう、僧侶ちゃん」ぐしぐし
僧侶「はい、おはようございます」ニコ
戦士「勇者殿、起きたか。おはよう」
女勇者「あ、戦士くん。おはよ」
戦士「うむ。起きてすぐで悪いが、そろそろ出発しなければ。用意しよう」
女勇者「はぁい…。ふわぁ…」
僧侶「さぁ、勇者さま。がんばって起きましょう。顔を洗わなきゃ」
女勇者「うん」むくっ
すたっ
トテトテ
トテトテ
【数日後】
女勇者「あ、あれが次の町?」
魔法使い「そのようですね。あそこは魔法が盛んな町なんですよ。占いなどで有名ですね」
女勇者「わぁ。占いって私はじめてー」
僧侶「私もですぅ。楽しみだなぁ」
魔法使い「そうですね。占い師は珍しいですから」
戦士「よし、先を急ごう。とりあえず町に着いたら散策だ」
女勇者「うん!お腹もすいたー」
僧侶「ふふ、じゃあまずご飯も食べましょうね」
トテトテ
トテトテ
【占い師の町】
がやがや
女勇者「わぁ…人がいっぱいだねぇ」
魔法使い「本当ですね。今までのどの町よりも人が多そう」
僧侶「みんな占いしてもらいに来てるんでしょうか?」
魔法使い「どうでしょう?とにかく行ってみますか?」
戦士「勇者殿、どうする?先に休憩を取ってもいいが」
女勇者「うーん…どうしよ?どうしたらいいかなぁ」
女勇者「…」きゅるるる
戦士「…よし、先に食事にしよう。散策はその後だ」
僧侶「クス…そうしましょう」
・
・
・
僧侶「わぁ。このリゾット美味しいですぅ」もきゅもきゅ
女勇者「ねぇ、見て。私のハンバーグも美味しいよ?」
僧侶「ホント、美味しそうですねぇ」
女勇者「えへへ、一口あげる。はい、あーん」
僧侶「ありがとうございます。あーむ」ぱくっ
女勇者「ね?美味しいでしょ?」
僧侶「ええ、とっても。私のも一口あげましょうか?」
女勇者「うん!ちょうだい!あーん」
僧侶「熱いからちょっとお待ちくださいね。ふー…ふー…」
僧侶「はい、あーん」
女勇者「あむ…」
僧侶「どうですか?美味しい?」
女勇者「……あつい……」じわ
魔法使い「勇者様、占ってもらうのはなにがいいですか?」
女勇者「ふぇ?うーん、なんだろう」
魔法使い「考えてないんですか?」
女勇者「一個だけ決まってるけどね!」
魔法使い「まぁ。それは?」
女勇者「えっとねぇ、世界を平和にできますか?って」
魔法使い「ふふ…勇者様は本当に勇者様ですね。でも、それは私達の頑張り次第ですよ」
女勇者「そうだね!頑張らなくちゃ!」
魔法使い「あとは?もうないんですか?」
女勇者「あ、あと一個だけ決まってる!」
女勇者「えっと…私、みんなが大好きだからね?」
女勇者「戦士くんも、魔法使いちゃんも、僧侶ちゃんも!」
魔法使い「ありがとうございます。私も、勇者様が大好きですよ」ニコ
女勇者「えへへ…。だからね、こう聞くんだよ」