女勇者「みんなと、ずっと一緒に居られますか?」
魔法使い「ずっと一緒に…ですか」
女勇者「うんっ!ずっと一緒がいいの」
魔法使い「ふふ、そうなるといいですね」
女勇者「きっとそうなるよね?」
魔法使い「ええ、きっと。そのためにも、早く世界を平和にしないとね」
女勇者「うんっ!」
戦士「さて…そろそろ食べ終わったか、勇者殿?」
女勇者「終わったー!ごちそうさま!」
戦士「よし。それでは町に行こうか。占いも行かないとな」
女勇者「あ、ちょっと待って戦士くん」
戦士「む?」
女勇者「えっとねぇ、アイスも食べたいなぁ。いい?」
戦士「…では、食べ終わったら出発しよう」
女勇者「えへへ、戦士くんは優しいなぁー」ニコニコ
【占いの館】
ガチャ
女勇者「ここが占いのお店?」
戦士「そうだ。邪魔をする」
婆「いらっしゃい…。おや、珍しいお客さんだね…」
戦士「?」
婆「まぁ座りなさい…」
女勇者「はぁい。しつれいしますっ」ぽふっ
婆「お嬢ちゃん、その年で旅してるのかい…大変だねぇ…」
女勇者「うんっ。楽しいけどね!みんな一緒だから!」
婆「ふぉっふぉっ…そうかいそうかい。良いことじゃ。どれ、わしが占ってみようか…」
女勇者「おねがいしまぁす!」ニコニコ
婆「……」
女勇者「……」
婆「……」
女勇者「……」わくわく
婆「なんじゃ…これは…?」
女勇者「ふぇ?」
婆「そなたは、何者じゃ…」
女勇者「わたし?わたしは勇者なの!」
婆「……勇者様じゃったか。不思議な色を持っておるな」
女勇者「え?なにか変なものついてる?」きょろきょろ
婆「人には誰しもそれぞれ色がある…。後ろにおるお仲間にも…」
女勇者「そうなの?みんな何色?」
婆「僧侶は桃色…慈愛に満ち満ちた優しい色じゃ」
僧侶「えぇ、ピンクですか!えへへ、嬉しいなぁ」
婆「魔法使いは蒼。凛々しさと聡明さを兼ね備えた、強い色…」
魔法使い「私、凛々しい…ですか?」
婆「戦士は真紅。闘争心だけでなく、誰かを守る強さを持っておる…」
戦士「俺は赤か。では、勇者殿は?」
婆「…わしには見えぬ。ただ、1色ではない」
女勇者「?」
婆「何色も何色も塗り重ねられ…それぞれが同調しあってひとつの色となっておる」
婆「その中には、暗く悲しい色もあるようじゃ…」
女勇者「ふーん…?よくわかんない」
女勇者「じゃあね、聞きたいことがあるの。いい?」
婆「なんでも言ってごらんなさい…」
女勇者「みんなと、ずっと一緒に居られる?」
婆「ふむ…少し待ちなされ…」
女勇者「…」
婆「……?」
女勇者「?」
婆「こりゃ…わしの腕も鈍ってきたかの…?」
女勇者「え?どうしてー?」
婆「そなたに言っておく…占いなど、所詮占いでしかない」
女勇者「うん、そうだね」
婆「年寄りの婆の言うことだと思って、怒らずに聞いておくれ…」
婆「そなたは…世界から取り残される…いや、世界を取り残すのかの…?」
女勇者「んー?何?どういうこと?」
婆「こんな可笑しな答えは初めてじゃ…ただ、興味深い…」
女勇者「おかしなこたえ…」
婆「そなたは全てを見るじゃろう…美しいもの、醜いもの、すべてを…」
婆「同じ物語を何度も何度も、繰り返し引き継がれる記憶…」
婆「探しなさい…求める正義、求めざる正義を…」
女勇者「ねぇ、戦士くん。なんか難しいこと言ってるよ?なに言ってるの?」
戦士「…いや、すまない。俺にも少し…」
婆「ふぉっふぉ。わしにもわからんよ。耄碌した婆の言うことじゃ」
婆「わしも引退かのぅ…?ふぉっふぉっふぉ」
婆「たいした話でもないのに、よくここまで付き合ってくれたねぇ…」
女勇者「ううん、楽しかったよ!ね?」
僧侶「ふふ、そうですねぇ。よくわからなかったけど」
魔法使い「人に色なんてあったのかぁ。おもしろいですね」
戦士「うむ。結局、勇者殿は何色なのだろうな」
女勇者「わたし、ピンクが良かったなぁ…」
僧侶「私の色ですね。ふふ、勇者様はまだ透明なんですよきっと」
女勇者「そうなのかなぁ…?」
婆「ふぉっふぉ。それでは、気をつけての」
女勇者「うん!ありがとー!またね、おばあちゃん!」
ガチャ
バタン!
【数日後・物語中盤】
女勇者「ふぅ……ふぅ……疲れたぁ…」
戦士「大丈夫か?もうすぐ次の町だ」
女勇者「大丈夫。でもここ、痛いよぉ…」さすさす
僧侶「勇者さま、ごめんなさい。MPがあったら回復するんですけど…」
女勇者「ううん、だいじょうぶ。へいきだよ」
僧侶「町に着いたら、すぐに手当てしましょうね」
女勇者「うん…」さすさす
トテトテ
トテトテ
【新しい町】
女勇者「着いた…すっかり夜になっちゃったね…」
僧侶「戦士さん、勇者様をよろしくおねがいします。わたし、薬草買ってきますね!」
戦士「うむ。よろしく頼む。勇者殿、先に宿に戻っていようか」
女勇者「……」
戦士「勇者殿?」
女勇者「痛い……戦士くん、だっこ…」
戦士「…わかった。ほら、行こう」
女勇者「…ん」
すたすた
すたすた
すたすた
すたすた
魔法使い「戦士さんも怪我をなさってるのに…大丈夫ですか?」
戦士「俺は平気だ」
魔法使い「もし疲れたり痛み出したら代わりますよ」
戦士「いや…もう、勇者殿も寝てしまっているようだしな」
魔法使い「…本当」
女勇者「すぅ……すぅ……」
魔法使い「かわいそうに…早く手当てしてさしあげないと…」
戦士「…まずは宿で休ませよう。僧侶が帰ってくれば回復もできる」
すたすた
すたすた
【宿屋】
主人「いらっしゃいませ。3名様でしょうか?」
魔法使い「いえ、4人です。空いていますか?」
主人「大丈夫ですよ。…!そちらのお子さんの怪我は…?」
戦士「うむ…魔物に噛み付かれてしまってな」
主人「ひどい怪我だ…どうぞ、こちらの薬草をお使いになってください」
戦士「おお、ありがたい」
主人「お部屋は2階になります。どうぞごゆっくり」
戦士「うむ。行こう、魔法使い」
魔法使い「はい…」
すたすた
すたすた
すっ
女勇者「すぅ……すぅ……」
戦士「…血は止まったようだな」
魔法使い「はい。勇者様の傷ついたお姿は、何度見ても心苦しいですね…」
戦士「……俺達が、もっと強くならなくては」
魔法使い「…そうですね」
戦士「…魔法使い、勇者殿を頼む」
魔法使い「わかりました。また、稽古ですか?」
戦士「ああ。…今日も、俺があそこで一撃で倒せていたなら、勇者殿に怪我をさせることもなかった」
魔法使い「…それは、私達も同じことですよ」
戦士「…」
戦士「では行って来る。僧侶にもよろしく言っておいてくれ」
ガチャ
バタン!
【町の外】
魔物が現れた。▼
戦士「俺がもっと強くならなくては…!」
ばしゅっ
ズバァッ!
戦士「強くならなくては、誰も守ることなどできん!」
ズバァッ!
ばきっ
ぐさっ
戦士「もっと強く…!」
ぐしゃっ!
魔物を倒した。
戦士のレベルがあがった!▼
・
・
・
戦士「もっと強くならねば…!」
【宿屋】
ガチャ…
魔法使い「おかえりなさい。ありがとうございます」
僧侶「遅くなっちゃってすみません。お店開けてもらうのに時間かかっちゃって…」
魔法使い「いえ。勇者様も今は眠っておられますから」
僧侶「勇者さま…」
女勇者「すぅ…すぅ…」
僧侶「…」
僧侶「私のMPも回復しましたから、魔法で回復しますね」
僧侶「回復魔法(大)…」
ぱぁぁぁ
女勇者「すぅ……すぅ……」
【翌朝】
女勇者「ままぁ……ママぁ……」
僧侶「……ふぇ…?」
女勇者「…ママ……あれ?」
僧侶「あ…勇者さま、おはようございます」
女勇者「えへへ…おはよ」
僧侶(勇者さま、毎朝起きる時にうなされてますね…)
僧侶(寂しいでしょうに…私達の前ではほとんどそんな姿を見せない)
僧侶(もっと、私達に甘えてもいいのになぁ…)
女勇者「う~ん」ごしごし
僧侶「ふふ、まだ眠いでしょう?もう少し寝ててもいいんですよ?」
女勇者「ねむぅい…」ぐしぐし
僧侶「今日はこの町にいるみたいですからね。ゆっくり寝ましょう?」
女勇者「うん…」
僧侶「…お体は、もう大丈夫みたいですね」
女勇者「うん、だいじょぶ…」
僧侶「よかった。じゃあお休みなさい」ぽんぽん
女勇者「ん…」
僧侶「勇者様」
女勇者「ん?」
僧侶「…」ぎゅ…
女勇者「……えへへ。僧侶ちゃん、ママみたい…」
ガチャ