姫様「んじゃ、『交渉の道具』を用意できれば解決か?」
勇者「んー、そーだな。この場では、それでいいと思う。どっちにしろ、確立は低いけどな」
姫様「元々の道具が、私だったわけだから・・・」
魔王「うーん・・・、やっぱりソレを用意するのって、難しいかもな・・・」
姫様「・・・あれ?」
勇者「どうした」
姫様「確か、交渉の保険って二つあったよな?」
勇者「あん?んと・・・」
町娘「・・・『人質』だろ?それと・・・」
魔王「・・・『姫様に、魔人の良さを知ってもらう』・・・」
勇者「あー、あったな。そんな腑抜けた作戦・・・」
魔王「い、一生懸命考えたんだけど!」
姫様「ソレって要するに、『保険の保険』だろ?つまり・・・」
姫様「私が解放されたとき、『魔人って良い奴だから認めてやってよ!』っていう」
魔王「う、うん。そのつもりだったけど・・・」
姫様「それって、もうクリアしてるんじゃねーの?」
勇者「・・・あ」
町娘「ど・・・、どーいうことだ?」
勇者「つまりだな・・・」
勇者「姫を攫うことによって『要求を呑まなきゃ姫を殺すぞ!』って脅しが使えるだろ?」
町娘「うん」
勇者「国から見たら、『姫が攫われたどうしよう!』ってなる。あくまで理想だけど」
勇者「・・・国は、人質の様子は絶対に見えない。その間に、姫に媚を売る」
町娘「・・・『無害だ』ってか?」
勇者「そうだ。そうすると人質である姫は、『魔人は良い奴だな』ってなる。これも理想だが」
町娘「・・・うん」
勇者「まず脅しで、国と対等に立つ。国の『されたくないこと』をちらつかせて、交渉する」
勇者「そして、交渉になったところで、『人質本人の感想』を聞かせる」
町娘「・・・魔人は、良い奴ら・・・」
勇者「そうだ。極端だが、それで『魔人は良いやつらなんだ』って思わせれば、勝ち」
町娘「なんか・・・、甘くねぇか?そんな上手くいかないだろ・・・」
姫様「そこで、今回の状況」
町娘「あん?」
姫様「私はもう、『魔人は良い奴らだ』と、思ってる」
姫様「・・・いや、全部理解したつもりはねーけどな。少なくとも、一緒に飲んだくらいだ」ヒラヒラ
町娘「でも・・・、まだ、国と対等じゃねぇだろ?」
姫様「ところがどっこい、そうじゃない」
勇者「当初の予定と、今。違うのは、どこだ?」
町娘「だから・・・、人質が居るか、居ないか、だろ?」
勇者「ビンゴだ。つまり、『姫は捕らわれちゃいない』。つまり・・・」
姫様「・・・私が直接、交渉の場に立てんだよ」ニヤリ
町娘「あっ・・・?」
魔人「あ・・・」
町娘「で、でも・・・!それで対等になれんのか?」
姫様「私、姫だよ?法律を曲げることは出来なくても、法律に口出しくらいは出来る」
魔王「ってことは・・・」
勇者「ああ。姫が直接、交渉に行けばいい。理由はそうだな、『友人だから』でいいだろ」
町娘「そんなわがままみてーので、ほんとに通るのかよ・・・」
姫様「まさか。流石にそこまで甘くはねーよ?でも、身内にならわがまま言える」
町娘「・・・まさか」
姫様「直接、父上に話そう。『個人的に』、な。そこで交渉すればいい」
姫様「材料は、そうだな。私自身の体験。昨日の飲み会でいーっしょ」
魔王「そんなんで、材料になるかな・・・?」
姫様「酒の友は、無二の友。一晩でこんだけ気心知れてんだ。十分だよ」
町娘「・・・なんとかなりそーじゃねーか!良かったなぁ、おい!」
魔王「うん・・・」
勇者「・・・・・・・・・」
姫様「ん?どーした?なんかマズイか?」
勇者「・・・っとに、強情というかなんというか・・・」
姫様「え?」
魔王「・・・やっぱり、僕も、行く」
町娘「は・・・」
魔王「そこまで頼りっきりには、出来ない。出来ないけど、やっぱり、頼っちゃう・・・」
魔王「・・・僕も、その『個人的な交渉』に、参加させて貰えないかな」
魔王「参加というより、うん、やっぱり、僕が交渉しないと、駄目だと思う」
町娘「お前・・・」
姫様「・・・交渉の成功率が激減するとしたら?」
魔王「・・・・・・・・・」
姫様「私個人で言ったほうが、無難だ思うんだがな?」
姫様「そうすれば、村が助かる確率があがるなら、私は・・・」
魔王「・・・それでも、駄目だ。これは、僕らの問題だから」
姫様「お前、今はそーいう・・・」
勇者「まぁ、待てよ。『村』の代表は、コイツなんだ。筋は通ってる」
姫様「でも・・・!」
勇者「村での生活の話は、住人の発言のほうが確実」
勇者「もっと先を見るなら、外交の話もあるだろ」
姫様「・・・・・・・・・」
勇者「・・・交渉の基本はな、話し合いか、多数決か、殴り合いだ」
勇者「どれが出るかわかんねーなら、多く取ったほうがいい」
勇者「いっそ、全員で行くか」
町娘「全員・・・って、あたしもか?」
勇者「おめーも、『もてなし』を受けた一人だろ?」
勇者「良さをアピールするには、良さを知った奴が多いほうがいーんだよ」
魔王「・・・交渉の席は、姫様に用意してもらう」
魔王「君たちに発言してもらって、僕が、交渉する」
魔王「・・・ほんと、なにから何まで、君たちに頼りっぱなしだ」
勇者「俺らはお膳立てだ。相手は個人とはいえ、国。こんくらいしねーと割りにあわねぇ」
勇者「・・・しかも、重要なのはお前の交渉だ。しっかりやれや」
魔王「・・・うん」
町娘「・・・誘拐犯が出張って、印象悪くはならねーかなぁ」
姫様「人質は生きてるし、元々殺すつもりは無かった」
姫様「攫った理由を包み隠さず話せば、むしろ笑い話だ。大丈夫だろー」
魔王「・・・僕が、交渉・・・」
魔王「やっと、安心して皆が暮らせるようになるのか・・・」
勇者「・・・・・・・・・」
姫様「・・・・・・・・・」
魔王「・・・絶対、僕ら魔人だけじゃ、こんなことは出来なかった」
魔王「ありがとう」
町娘「・・・けっ。それは、成功した後言っていい言葉だろ、ハゲ」
魔王「あっ・・・、ご、ごめん。そーだね」
勇者「へっ、しっかりやれよ、魔王」
姫様「ここまできたら、後はハッピーエンドだけだ。それが一番美しい!」
魔王「うん、がんばるよ」
魔王「ありがとう」
勇者「んじゃ、そうと決まったら出発しようぜ。風呂でも入ってさっぱりしてこうぜ――・・・」
―――女湯
カポーン・・・
姫様「―――っとに、アイツ、せっかちだよなー。もっとのんびり出来ねーのかと」
町娘「早く村を救いたいんじゃねーの?」
姫様「違うな、アレは絶対、考えなしなんだ。さっさと済ませてー性質なんだよ」ブクブク
町娘「・・・でも、そんなところが好きなんだろー?」
姫様「ぶくっ!?げっほ、げほげほ!な、なんだ急に・・・」
町娘「今朝のお礼だ。で、どうだ、図星?」
姫様「ああ、そうかもな、うん。そーいうとこも含めて、好きかも知れない」
町娘「だっ・・・!?な、なんでお前らこっ恥ずかしいこと平気で言えんだよ!?」
姫様「純情っ娘がソレくらいで、一本とった気になんなっての!甘いよ」
町娘「・・・お前ら、ぜってー良い夫婦になるよ・・・。あたしのお墨付き・・・」
姫様「あったりめーだろ?そーじゃなきゃやってらんねーよ?」
町娘「・・・・・・・・・」
カポーン・・・
姫様「・・・浮かない顔してんね」
町娘「あー?そーか?」
姫様「せっかく姫の美しい裸体が間近にあるというのに、その態度はいただけないなぁ~」
町娘「けっ・・・、自分で言うほど、価値が落ちんだよ、そーいうのは」
姫様「私のは価値が落ちるくらいで丁度いいんだよ。美しすぎるのは、罪だろ」
町娘「さいですか・・・」
姫様「・・・そしてお前の裸体もなかなかの美しさだがなぁ!!」ダキッ!!
町娘「ひあっ・・・!ど、どこ触ってんだてめぇ!放れろや!!」バシャバシャ!!
姫様「ふむふむふむ。細いね?栄養とってんの?」サワサワ
町娘「だーかーらー触んなって・・・!や、やらしー!なんか触り方がやらしー!!」
姫様「んーふー?ここ?ここが好きなん?この辺がこう・・・」サワサワ
町娘「ばっ、あっははっ、くすぐってーって!冗談じゃなくなってきたぞ!」
姫様「そして胸か!胸だけは着やせしやがって!!」モミモミ
町娘「揉むなこのっ・・・!エロ親父かおめー!?」
姫様「私、胸控えめだからなー。どーやったら育つんだ?」モミモミ
町娘「あたしも、んな、デカいほうじゃ、なっ・・・、揉むな!速度が、ん、あがってるぞ!」
姫様「わっはは結構結構!拙者美しいオナゴが大好物でござんす!」ギュウッ
町娘「わーっと、やめろってのハゲっ!抱きつくなこのっ・・・!」バシャバシャ
姫様「・・・・・・・・・」ギュウゥ
町娘「お前、キツいっての・・・」
姫様「・・・あんま先のことは、考えんなよ」
町娘「・・・は」
姫様「お前らなら大丈夫だろ」
町娘「・・・・・・・・・」
姫様「・・・隙あり!ていやっ!」バシャー!
町娘「ひゃうぅ!?てめっ、今のは・・・!」
姫様「なかなか可愛い声出すじゃないのん、本気になっちゃうよ?」
町娘「・・・あー、本気だ、本気でテメーをぶっ潰す・・・!!」
姫様「臨むところだへぶっ・・・!うおー!目に入ったー!!」
町娘「油断してっからだ淫乱!おらっ、おらおら!!」バシャバシャ!!
姫様「なっ、ちょっ、へべっ・・・。許さねー!沈めちゃるぞ!!」バッシャッバッシャ!!
バシャバシャ・・・キャッキャウフフ・・・
―――男湯
カポーン
勇者「・・・あいつら人んちの風呂で・・・」
魔王「ま、まぁいいよ。今は誰も入ってこないだろうし」
勇者「お前、部下何人くらいいんの?ねーちゃんしかみてねーけど」
魔王「彼女は秘書的なもので・・・。魔物は多いけど少ないよ、魔人は10人いるかいないか」
勇者「はぁ、ずいぶん少数だな。ドンパチなんなくて良かったじゃねーか」
魔王「それだけは避けたかったから。・・・やらなかったというよりかは、出来なかったのかも」
勇者「はっ、何人居たって、俺にかかりゃ数秒だ。妥当な判断だ」
魔王「・・・そう、君とは、本来敵同士なんだよね・・・」
勇者「あん?」
魔王「いや、なんとなく・・・。そういえば、って」
勇者「けっ、一緒に風呂まで入って何言ってやがる。裸の付き合いだぞ?」
魔王「そりゃそうだけど・・・」
勇者「くだらねーこと言ってんなよ。あのな、俺は魔物魔人を倒すのが仕事じゃねーんだ」
魔王「・・・っていうと?」
勇者「困ってる人が居たら救うのが仕事。世界がピンチなら、世界を救う」
魔王「・・・・・・・・・」
勇者「・・・ってのは建前でなぁ」
魔王「えっ・・・」
勇者「俺は、敵を斬る仕事だと思ってる。魔人も人間もカンケーねぇ」
勇者「敵なら、斬る。敵を斬る。そうすりゃ、おのずと世界は救われる」
魔王「・・・・・・・・・」
勇者「・・・魔王と勇者なんて、当たり前に本来、敵同士だ。『本来』な」
勇者「でも、お前は敵じゃない。そうだろ?それでいいんだよ」
魔王「・・・うん、分かったよ」
勇者「・・・さーて、男二人だしなぁ。覗きでもすっか」
魔王「ちょ、まずいよそれは!」
勇者「へーきへーき。ちょいと敷居を・・・、っておい。出っ張りもなにもねーじゃねーか」
魔王「あ、ほんとだ。・・・そういえば部下が、風呂だけは丹念に改造してたな・・・」
勇者「あん?クソ、立地条件的に外からは不可能・・・。だー、男の敵だなあのねーちゃん」
魔王「そ、そもそも覗きなんて駄目だって・・・」
勇者「そーだなー。エロい話でもすっか」
魔王「え!?いきなりなに!?」
勇者「だからさ、つまり・・・。コウだろ?」
魔王「なにが!?え、まさか、え?」
勇者「んだよ、知らねーのか。ココからな、コウ、そしてコウで、コウ・・・」
魔王「え、え、待って、え?ほんとに・・・?」
勇者「ったりめーだよ。んでコウして、ココをコウ・・・」
魔王「ちょ、ちょっと待って!え?そんな、えぇー・・・」