魔王「間違えた…」 11/13

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―――廊下

魔王「・・・・・・・・・」

姫様「ん?どしたん?」

魔王「逆上せた・・・」

姫様「おいおい大丈夫かよー、自分家だろ?」

勇者「そっとしといてやれー、だいぶ出来上がってるからなー」

町娘「・・・なにしたら風呂で逆上せさせることができんだ・・・?」

姫様「んだよ、取っておきのがあんのに・・・。あのなー、魔王。耳かせ」チョイチョイ

魔王「んー・・・?」

姫様『・・・美乳だった」ボソッ

魔王「・・・!!」ブッ

町娘「ちょ・・・!大丈夫か!?鼻血でてんぞ!?」タタッ

魔王「ぶふっ!だ、だいじょうぶでづ、近づかんでくだばい・・・!」ボタボタ

町娘「あー?んだよ、心配してんのに・・・。見せてみろって、ティッシュつめるか?」

魔王「だ、だいじょうぶでづ、ほんど、勘弁・・・」ボタボタ

―――魔王城・入り口

勇者「―――うし。準備も出来たし、行くか」

姫様「風呂入ってさっぱりしたし!レッツらゴー!」

町娘「鼻血、止まったか?みっと、もねーからやめろよな、向こうで出すの」

魔王「う、うんうん大丈夫大丈夫、だ、大丈夫」

町娘「・・・なんか、余所余所しくね?あたし、なんかしたか?」ズイッ

魔王「な、なんもしてないしてない!ほんと!」

町娘「・・・なんだかなぁ」

勇者「・・・お前、なに吹き込んだんだ。アイツ相当初心だぞ」

姫様「ふっふーん。取っておきなのだよ

姫様「すべての美しいものは、愛されるべきだからな!!」

魔王「~~っ!!」サッ

町娘「あっ、目ぇそらした!なんだよ、言いたいことあんならはっきり言えよ!」

魔王「めめめ滅相も無い・・・」

町娘「・・・んだよ、ったく」プイッ

魔王「あっ・・・」

姫様「あー、泣かせたー」

勇者「いけないんだー」

町娘「な、泣いてねぇよっ・・・!」

姫様「まぁまぁ、男の子にはいろいろあるのだよ」

町娘「あー?意味分かんね・・・」

勇者「おめーもな、しゃきっとしろよ」

魔王「うっ・・・、ご、ごめん」

町娘「・・・何かしたなら、謝っけど・・・」

魔王「な、なにもしてない。大丈夫」

町娘「・・・ふーん」

魔王「・・・僕」

町娘「・・・ん?」

魔王「僕、がんばるから」

町娘「・・・おう、あたりめーだろ」

魔王「君が居れば、がんばれるから」

町娘「・・・!」

姫様「おっ・・・」

勇者「おぉ~・・・」

魔王「だからさ、その・・・、変だけどさ。応援、しててよ」

町娘「・・・・・・・・・」

魔王「・・・お願い」

町娘「・・・いまさら・・・」

町娘「いまさら、んなこと、い、いうなよ・・・」

魔王「・・・いい?」

町娘「・・・そ、そんなもん・・・」

魔王「・・・・・・・・・」

町娘「・・・ん、あ、あたりめーだろ、はーげ・・・」

魔王「・・・良かった」

町娘「~~っ」

勇者「・・・んじゃ、お惚気はそのくらいでいーか」

姫様「十分でしょ、そろそろこっちが耐えられねーよ」

町娘「ん、んだよ、うるせーな・・・」

姫様「お?惚気は否定しないのか?」

町娘「てめっ・・・!け、蹴るぞこらぁ!」

魔王「・・・ごめん、もういいよ。行こう」

勇者「おう」

姫様「よっしゃあ!愛と美のために!!」

町娘「・・・一緒に」

魔王「うん?」

町娘「・・・一緒に、がんばろう、な」

魔王「・・・!うん、絶対」

勇者「んじゃ、出発」

姫様「しゅっぱーつ!」

町娘「・・・おーう」

魔王「・・・うん、一緒に」

―――某国・城門前

勇者「・・・しっかし、こんな抜け道隠してたとはなぁ・・・」

姫様「・・・初めて知った・・・。これ罪にはならんの?」

魔王「な、ならないんじゃないかな。魔物の多い道を、魔物にどいてもらってきただけだから」

町娘「人間様だけにゃ通れねーっつうわけか。それにしても・・・」

町娘「・・・んーっ!やっと帰ってきたなぁ」

姫様「ただいまー」

勇者「あー、密度の高ぇ旅だったなっとー」

魔王「・・僕、入って大丈夫なのかな・・・」

勇者「あん?魔力隠せてんだろ、大丈夫だろ」

姫様「へい!ようこそ我が国!」

魔王「そうじゃなくて・・・、まぁいいや。おじゃましまーす・・・」

勇者「んじゃ、どうすっか」

姫様「あ!こっちに旨いスパゲティ屋があんだけど・・・」

町娘「・・・遊びに来たわけじゃねーんだから・・・」

姫様「んー、残念だなぁ。今度四人で来よーぜ」

魔王「・・・今度、ね」

勇者「まっ、なんにしてもこっちの言い分通んねーと話になんねー」

勇者「おめーはもっと緊張感持て、な」

姫様「・・・わーったよ・・・。んじゃ、城までご案内しますー」

町娘「直接行っちまって大丈夫なのか・・・?」

姫様「直接行くからいーんだろ」

姫様「謁見の許可は要るけどまぁ、申請降りるまでは『個人的な友人』で城まで入れてやる」

町娘「・・・なんか、ところどころアバウトだよなぁ。大丈夫なのかこの国・・・」

女兵士「・・・ようこそ。身分の明かせるものを提示してくださいませ」

姫様「この美しい顔が目に入らぬか。きらりーん」

女兵士「なっ・・・!姫様!?なにしてらっしゃるんですか!?」

姫様「遊びに行って来た」

女兵士「遊・・・、困りますよ勝手なことされては!!」

姫様「まーまーいいじゃん。父上も知ってることだよー」

兵士「・・・どうかしたか?」

姫様「あ、おっす。お疲れ」

兵士「げぇ!?姫様!?どうしてこんなところにっ!?」

姫様「だーかーらー遊びに・・・、ああもうめんどくせーな私ん家だろー・・・」

町娘「・・・大丈夫なのか、これ・・・」

魔王「うん・・・、なんかすっごい緊張感そがれる・・・」

勇者「いっつもここはこうなんだよ。全体的にユルいっつーかなんつーか・・・」

兵士「とにかく困りますよ・・・、国の顔であるあなたがこんな自由奔放と・・・」グリグリ

女兵士「日ごろから危機感が足りません、胃がキリキリします・・・」グリグリ

姫様「あうっ、あうっ、どつきまわすな一国の姫をあうっ・・・」

勇者「・・・おーっす、お前ら」

兵士「あっ、勇者さん。ちぃーっす」

女兵士「え?あ、ほんとだ勇者さん。ちぃーっす」

勇者「お前ら俺をなんだと・・・、まぁいい。姫は俺と一緒だった。これでいーだろ」

兵士「何だ、勇者さんと一緒だったんじゃないですか。早く言ってくださいよ」グリグリ

女兵士「言いたくなかったんですか?言いたくなかったんですか?ねぇねぇ」グリグリ

姫様「おい、あうっ、どつくなっつの、姫だぞ、仕舞いには怒る・・・あうっ」

勇者「・・・んで、連れが居るんだ。だからこっちから来た」クイッ

町娘「・・・・・・・・・」ペコッ

魔王「・・・・・・・・・」ペコリ

兵士「あー、そういうことっすか。分かりました分かりました」

女兵士「では、身分の証明できるものをなにか・・・」

魔王「み、身分?」ドキリ

兵士「国民表ですとか、外国の方ならその国の国民表でも入国書でも構いませんが」

勇者「・・・おいおい、俺らの客人だぜ?身分明かせなんか、失礼だろ?」ポンポン

女兵士「しかし・・・」

姫様「私の友達にケチつけんなよー、いーだろ?」

女兵士「・・・姫様ってなんでこんな可愛いんでしょうね」ダキッ

姫様「あっ、ちょ・・・」

兵士「あー、ズルい!俺も俺も!」グリグリ

姫様「おいやめ・・・、おい!姫だぞ、無礼だろー!」

勇者「・・・はいおっけー。行きやしょ」スタスタ

町娘「・・・・・・・・・」

魔王「・・・・・・・・・」

―――城内

町娘「・・・なんっつーか・・・、我が国の将来が本当に心配だよ・・・」

勇者「あん?あれで結構強ぇ奴らなんだよ」

町娘「嘘だぁ・・・、警備だるっだるじゃねーか・・・」

魔王「いますんなり魔人が入ってますけど・・・」

勇者「皆、姫のこと大好きだかんなー。親馬鹿なんだよ、皆して」

姫様「―――おい、勇者てめぇ置いてく・・・。よぉ!お疲れ!え?ばっ、撫でんな!」

姫様「・・・ったく。おーい、置いてくな・・・、あん?ばっ、ちょ、肩車とかいーから高ぇ!?」

町娘「・・・ふーん。幸せそうだな」

勇者「あーいう人望あっからな、あいつは。皆に愛されてんだよ」

姫様「・・・ぜぇ、ぜぇ、てめぇ、勇者・・・」

勇者「お疲れさん」ポンポン

姫様「あー、んじゃ、とりあえず部屋、案内、すっから」

勇者「おう」グリグリ

姫様「それから、謁見許可、とって、父上に・・・撫でんなっつの!長ぇよ!」

勇者「悪ぃ悪ぃ」

町娘「・・・なんだかんだ妬いてんのか・・・」ボソッ

魔王「微笑ましいというかなんというか」

姫様「分かったな?んじゃ、ついてこーい!」

勇者「どーせ、謁見もなにもねーからな。すぐ会えんだろ」

魔王「・・・いよいよ、か」

町娘「・・・緊張してんのか?」

魔王「そりゃあね。でも・・・、うん。大丈夫、がんばる」

町娘「おう、がんばれ」

―――姫様の部屋

町娘「・・・おー、意外に片付けてんだな」

姫様「ふっふーん。部屋も美しくないとな!姫だから!!」

勇者「そいつの片付け方って、見えねーとこに押し込むだけだからクローゼットとか酷ぇぞ」

町娘「・・・うわ、マジだ」ガチャリ

姫様「うぉい!?開けんなバカ!!部屋漁んな!!」

町娘「えっ、うぇー?お前こんな下着履くの・・・?うおー」

勇者「結構阿呆な下着ばっかりでよ、油断するとその辺に脱ぎ捨てとくからなぁ」

魔王「・・・・・・・・・」

姫様「おいこらバカ共!男居んのに下着なんか広げてんじゃねーよやめてっ!!」

姫様「・・・お前ら、私の居ない間になんかしたら、禁断のプリンセス・ナックル出るからな」

町娘「う~ぃ」

勇者「承知ー」

魔王「よ、よろしく」

姫様「前二人!ぜってーなんかするだろ!やめろよ!?漁んなよ!?」

町娘「しないしない」

勇者「めっそうもない」

姫様「くっ・・・。じゃあ、私は謁見許可取って父上んとこ行って来るから・・・」

・・・バタン

町娘「・・・いよーっし!!ベッド180度回転させよーぜーっ!!」

魔王「えーっ!?なんでいきなりそんな地味な嫌がらせすんの!?」

勇者「だってお前・・・、自分の部屋に帰ってきて北枕になってたら、ぷっ、おもしれーだろ」

魔王「なんで君もノリノリなの!?」

町娘「おら魔王早くそっちの脚持て!あんのエロ姫に仕返ししたるぜきゃっほぅ!!」

ガコガコガコン

町娘「これ・・・、リアクション楽しみだわ」

勇者「あれな、部屋に一人のときに気づくのが理想なんだが・・・」

魔王「・・・いや、いくらなんでもすぐ気づくんじゃ・・・」

勇者「だって、一人じゃベッド直せねーからどうしようもなくて、我慢してこのまま寝るとか・・・」

魔王「なんでこんなときだけ無邪気な顔するんだ君は!?」

町娘「これ・・・、枕の下に、父親の写真いれてやろーぜ」

勇者「ぶふっ・・・、おー、アルバム、確かこっちだから・・・」ガサゴソ

魔王「なんだその連帯感・・・」

町娘「だってお前、あの年頃の娘が、パパの写真枕の下にいれてんだぞ・・・?」

勇者「ベッドメイクしにきたメイドにバレて噂が・・・、ぶっ、面白すぎ・・・」

魔王「イタズラで君はそこまで無邪気に笑う人間になれるのか!」

ガチャ

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