魔王「間違えた…」 13/13

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町娘「・・・・・・・・・」ブチィ

勇者「あっ・・・」

姫様「あちゃー」

魔王「・・・!」

町娘「・・・・・・・・・」スクッ

王様「・・・あれ?足りねーかな?んーと後は・・・」

町娘「・・・テメーが・・・」ゴゴゴゴゴ

王様「ん?」

町娘「・・・テメーが酒買って来いやぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」バチーン!

王様「ぐっへぇっ!?良いキック持ってんじゃねーか・・・!」ゴロゴロズシャーン!

勇者「・・・うおーう、蹴ったよ。一国の王を・・・」

姫様「・・・いや、ありゃ父上が悪いよ、うん。私でも蹴ってるわ」

町娘「死にてぇのかぁぁぁぁ!!!」

王様「ひぃ!死にたくは無い!安心して老後を過ごしたい!!」

姫様「父上、ほら、財布。あとで返してね」ヒョイッ

王様「かたじけねぇ・・・!」パシッ

魔王「ほ、ほんとにいくんですか・・・!?」

王様「男にゃよぉ・・・、償わなけりゃならねぇ時があんだよ・・・!」

魔王「・・・。いや、かっこよくない。ちょっと考えたけどかっこよくない」

王様「全員チューハイでいいかっ!?」

町娘「ビールだッ!!」

姫様「ワインー」

勇者「芋焼酎」

王様「おめーら下戸の癖にシャレたもん飲もうとしてんじゃねーよ!」

町娘「・・・うるせぇ!!早く行って来い!!」

王様「ガッテン!」ダッダッダ・・・

魔王「・・・あ、嵐のような人だ・・・」

勇者「あんなんでも王様にゃなれんだよ」

女兵士「―――あれ?王様?こ、こんな時間にどこ行くんですか・・・!」

王様「罪滅ぼし!」

兵士「財布だけ持ってちょっとコンビニみたいに、ってえぇ!?コンビニ行くんすか!?」

王様「悪ぃかよ!」

兵士「悪ぃだろ!!あんた一国の王様ですよ!?」

女兵士「・・・つーか召集かかってましたけど・・・」

王様「そーだよ、集まっとけ。もう門閉めていいから・・・」

王様「あっ。俺が帰って来れねーから、鍵開けといてね」

兵士「んな無茶な・・・。っていうか、なんの召集なんすか?会議っすか?」

王様「あぁ?んなもん、決まってんだろ・・・」

王様「・・・酒盛りだよ」ニヤリッ

―――王の間

王様「・・・はっはっはっは!もっと飲めよ、おい!」

魔王「・・・は、はぁ」

勇者「うるせーだろ、絡み酒。すぐこーだからよ、めんどくせーんだ」

兵士「・・・いや、あんた人のこと言えないだろ・・・」

女兵士「・・・んー、姫様ほんっと可愛い・・・!部屋に連れ帰っていいですかぁ・・・?」

姫様「ちょ、ばっか、こぼれる・・・、な、で、ん、な、バカ!胸でけーんだよバーカ!!」

女兵士「照れちゃってもう・・・!やっぱつれてかえろー、いいですかぁ?」

王様「いいよ」

姫様「ちょ、許可んな!待て!連れていかれる・・・!」

町娘「・・・・・・・・・」ゴクゴク

町娘「・・・ぷはぁ~・・・」

王様「・・・お、そうそう。完全に出来上がる前に言っとくけどよ」

魔王「は、はい」

王様「・・・なんだっけ?『村を国として認めろ』だっけ?」

魔王「はい、一応・・・、それが、理想ですけど・・・」

王様「んーなぁ、やっぱさすがに、国は無理かなぁ」

姫様「・・・っ!父上っ!今更そんな・・・!」

王様「あーあー、話は最後まで聞けよ。『国』はな、『国』は」

魔王「・・・って、いうと・・・」

王様「・・・ああ、村として引き込んじまおうぜ。俺の国だ、構わねぇよ」

姫様「・・・ぃよしっ!!」

勇者「・・・おー」

魔王「・・・僕の村を・・・、この国に・・・?」

町娘「・・・!」

王様「・・・ただし、条件付だ」ピッ!

魔王「・・・!」

王様「・・・残念だけどよ、俺はまだ、魔人ってやつを、完全に信用しちゃいねぇ」

王様「年寄りの戯言程度に聞き流してくれていーけどよ」

王様「・・・俺も、魔人に殺された人間を、見てきたからな」

魔王「・・・っ」

王様「・・・そんな顔すんなよ。おめーを責めてるわけじゃねぇ。ただよ・・・」

姫様「・・・・・・・・・」

王様「・・・やっぱ、溝はそう簡単に埋まんねぇよ。そうだろ?」

魔王「・・・はい」

王様「んだからよ。お宅らにはちょっと窮屈かもしれねーが、条件をつけてさせてもらう」

王様「・・・いいか?」

魔王「・・・はい、もちろん」

王様「・・・そうだなぁ、まず、おいそれと住人通しを交流させるわけにも行かねぇな」

魔王「・・・僕も、そう思います」

王様「人間が狩られたら世話ねーし、魔人狩りやがったら元も子もねーし・・・」

王様「だから、異例だが、不可侵を作る。許可無く入ったらなんちゃらかんちゃら、だな」

魔王「・・・・・・・・・」

王様「・・・それから、『村』のことはバカ正直に公開しなくてもいいと思うんだが、どーだ?」

魔王「・・・は?」

王様「お前らにコソコソさせんのは忍びねぇが、やっぱ余計な混乱を招くだけだと思うんだな」

魔王「そんなことして、大丈夫なんですか?他の国とか・・・」

王様「・・・まぁ、大丈夫だろ。まさか許可無く突っつきにくるとは思えねーし」

王様「来るとしたら、まずは会議からだ。『そういえば』で誤魔化せるだろ、俺なら」

勇者「・・・こいつはなかなかの狸だからな、期待していーぜ」

王様「てめぇ、来るたび来るたび口が悪くなりやがってこの・・・」

魔王「・・・本当に、ありがとうございます」

王様「・・・大変なのは、これからだ」

王様「出来る限り守るつもりだが、それでもどっかに穴は出来る」

王様「耐えられっか?」

魔王「・・・今までより、何倍もマシです」

魔王「ここまでしてもらって、出来る出来ないじゃないと思うんです」

魔王「・・・やります。それだけです」

王様「・・・へっ。結構結構」

姫様「おい父上!辛気くせー話は終わったかよ!」

王様「なにが辛気くせーだバーカ!好きなだけテキトーやって、全部丸投げじゃねーか!」

姫様「いーんだよ、姫だから!わがままなくらいが丁度いーんだ!」

王様「調子いーよな、ったく・・・。あ、そうだ。もう一個あった」

魔王「・・・なんですか?」

王様「おめーじゃなくて・・・。おーい!なに隅っこで飲んでんだ娘さんよ!」

町娘「・・・あ?」

王様「顔怖っ!ちょ、ちょっちこっち来いよ、大切な話」

町娘「・・・んだよ、放って置いてくれよ畜生・・・」ズリズリ

王様「まーまー、そういわずに」

町娘「・・・んで、なんだよ、なんか用かよ」

王様「お前、追放」

魔王「・・・え?」

町娘「・・・は?」

王様「追放だよ追放。蹴っちゃったからなー、王様のこと。アウトー」グッ

町娘「・・・あ?ど、どーいうことだよ、追放・・・?」

魔王「え、ちょ、ちょっ、え?追放!?なんで!?」

王様「何でってお前、王様蹴ったらまずいだろー」

姫様「はい!はいっ!私も蹴られましたっ!」

王様「あちゃー、駄目だなー」

勇者「はい、俺も蹴られました」

王様「あちゃー、ますます駄目だなー」

町娘「・・・追放って、ど、どこだよ、それ・・・」

王様「怖ーいとこだよ、怖いとこ」

魔王「そ、そんなのって・・・」

王様「怖ーい怖い、魔人の村」

町娘「・・・えぅ?」

魔王「・・・は」

―――帰り道

魔王「・・・歩ける?」

町娘「・・・うん」

魔王「追放、ったって、ねぇ?」

町娘「・・・うん」

魔王「い、いいんだよ。ちゃんと言えば、こんな横暴なんて・・・」

町娘「・・・ううん」

魔王「・・・え?」

町娘「・・・・・・・・・」

魔王「・・・・・・・・・」

町娘「・・・まだ」

町娘「・・・まだ、返事、きーてない・・・」

魔王「・・・な、なんのことでせうか・・・」

町娘「・・・ふん」プイッ

魔王「・・・あ・・・」

町娘「・・・ほら、さっさと案内しろー。新しい住人だぞ、あたしは」

魔王「・・・うん」

町娘「・・・どこに住むかなぁ。いい家がありゃいーんだけど・・・」

魔王「・・・っ」

町娘「・・・勇者と、姫も遊びに来るから、広いところが、いーなぁ」

魔王「・・・・・・・・・」

町娘「・・・なぁ、魔王」クルリ

町娘「どっかいい家、知らねーか?」

魔王「・・・ぼ」

魔王「・・・僕の家が、ありますけど・・・」

町娘「・・・・・・・・・」

魔王「・・・そ、それなりに、広いところだし・・・」

魔王「こ、これから僕、村長だから、君が望めば・・・」

魔王「・・・も、もっと、広い家に引っ越しても、良いし・・・」

町娘「・・・・・・・・・」

魔王「・・・あっ、お酒もたくさんあるし・・・!」

魔王「勇者や、姫様が来ても、十分、飲めるくらい、たくさん・・・」

町娘「・・・・・・・・・」

魔王「そ、そりゃ、周りは森ばっかりだから、不自由かも知れないけど・・・」

魔王「・・・き、君が望むんなら、貿易を盛んにして、それで・・・」

町娘「・・・いい」

魔王「・・・え?」

町娘「・・・お前がいれば、いーよ。それで」ギュッ・・・!

魔王「・・・む、娘さん・・・?」ダラダラ

町娘「・・・ほんっと、ヘタレ。男らしくしろよ、ハーゲ」

魔王「よ、酔ってらっしゃるんですか・・・」

町娘「あー、酔ってるよ、酔ってっから、こんなこと、できんだよー・・・」ギュウ

魔王「・・・う、お・・・」

町娘「・・・ったく、ヘタレ。ヘタレ、ヘタレー」

町娘「・・・ヘタレハーゲ。根性なしー」ギュッ

魔王「・・・じゃ、じゃあ、男らしく、しても、いーんですか・・・」

町娘「・・・・・・・・・」

魔王「・・・・・・・・・」ゴクリ

町娘「・・・んなもん」

町娘「・・・聞くなよ、はーげ・・・」

魔王「で、では・・・」

町娘「・・・おう」

魔王「・・・・・・・・・」ドキドキドキ

町娘「・・・・・・・・・」

魔王「・・・!」ドキドキドキ

町娘「・・・ん」

魔王「―――りゃ!」ギュウゥゥゥゥ!

町娘「・・・えっ!?ちょ、強っ・・・!」

魔王「ぼ、僕今、魔王だから・・・、ぜ、全力で、抱きつく・・・!」ギュゥゥゥゥ!

町娘「はぁ!?んなもん、おい、やめ、恥ずい・・・!」

魔王「え?だって、男らしく・・・」

町娘「・・・は、はは、違ぇよ・・・、ぷっ、ははは」

町娘「・・・あーっはっはっはっは!!」

魔王「え、ちょ・・・」

町娘「・・・だ、抱きつくくらいで、お前・・・!」

魔王「・・・ま」

魔王「間違えた・・・」

町娘「・・・おい、魔王」

魔王「・・・・・・・・・」

町娘「・・・こっち向け」

魔王「え―――」

チュッ・・・

魔王「―――!?」

町娘「・・・っは。へへっ」

町娘「・・・次は、間違えんなよ?」

fin

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