勇者「魔王、お前が死んで3年か」 2/13

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兵士A「!?」

兵士B「い、今の音は??」

兵士A「お・・・奥からだ」

兵士B「モンスターの生き残りか?・・・でも、魔王が滅んだと同時に消えたハズだよな・・・」

兵士A「ど、どうする?見に行くか?」

兵士B「・・・モンスターなんかいないに決まってる!行くぞ!」

兵士A「ま、待てよ・・・!」

魔王城跡 謁見の間

ギイイィ・・・

兵士B「・・・」

兵士A「・・・ど、どうだ?なんかいたか?」

兵士B「・・・・・・なんだありゃぁ?」

兵士A「え?」

オオオオオオオォォォ・・・・

兵士A「・・・画が光ってる」

兵士B「なんか・・・なんかヤバそうだぞ」

兵士Bが後ずさりをしたその時、大きな地震が発生した

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!

兵士A「う、うわあああ!?」

兵士B「やや、やばい!崩れるぞ!!」

しかし兵士Bの言う事とは逆に、廃墟だった筈の魔王城は真新しい状態へと変化していった

兵士A「どうなってんだよこれ!?城が戻ってる??」

兵士B「まま、まさか・・・魔王が!?」

ゴゴゴゴゴゴ・・・・・ ゴゴ・・・

兵士B「・・・止まった」

兵士A「お・・・おい、なんかヤバイぞ。逃げよう!」

兵士B「お、おう!・・・うべっ!!!」

二人がヨタヨタした歩き方で出口に向かおうとした時、何かにぶつかった

兵士A・B「・・・」

二人が恐る恐る見上げてみると・・・

ガーディアンA「・・・」

ガーディアンB「・・・」

兵士A「・・・!!!」

兵士B「モ・・・モモモモモモモ・・・!!」

『どうした?久々に魔物を見て驚いたのか?』

今度は後ろから優しそうな声が聞こえた

兵士A「・・・・・」

兵士B「・・・・・」

魔王「これから復活の宴をする。君達も祝っていってくれたまえ」パチンッ

魔王が指を鳴らすと次々とモンスターが魔王城のいたる所に出現した

ドラゴン「グオオオオオ!!」

ギガンテス「オオオオオーーーーー!!!!」

ワイバーン「ギャオオオオーーーー!!!!」

兵士A「ま・・・!!」

兵士B「ままままま・・・!!!」

兵士A・B「魔王だあああああァァァァァーーーーーッッ!!!」

二人の兵士は小便をチビリながら魔王城から逃げて行った

ガーディアンA「追いますか?」

魔王「よい、まずは復活の宴だ・・・。我々の新たなスタートの祝いも兼ねてな!!」

ガーディアンB「ははっ!」

モンスター「ウオオオーー!!魔王様万歳ーーー!!」

モンスター「復活万歳ーーー!!!」

モンスター「ウオオオオーーーーーー!!!!!」

魔王「ふっふっふ・・・」

魔物達の咆哮が魔王城周辺に響いた

こうして新たな魔王が誕生し、人間達はお互いに争う事を止め、魔王討伐の為再び手を組んだ

魔王はモンスターや部下を巧みに動かし、世界の安定の為に指揮を執るのであった

そして百数年後・・・

側近「魔王様!勇者の素質を持つ者が誕生したそうです!」

魔王「そうか・・・今回は少し長く続いたか・・・」

側近「人間共の士気もあがり各地の同志が苦戦しています!」

魔王「わかった、援軍を送ってやれ。これ以上人間共に勢いをつけさせてはならん」

側近「ははっ!」

魔王「さて勇者、お前はまた強欲な権力者の言葉に騙され私を討ちに来るのだろうな」

魔王「この歴史は何度繰り返されるのか・・・」

魔王「まぁいい、私は私のやる事をするだけ」

魔王「勇者、お前と語り合える日を楽しみにしているぞ・・・ふふ」

さらに十数年後

勇者「・・・じゃあ、行ってくるね!」

母「うん、気をつけてね。」

父「お前が勇者なんだ、しっかりしろよ!」

勇者「うん、国王様も同じ事言ってくれたよ!僕、頑張るから!」

母「たまには帰ってきなさいよ」

父「勇者、世界を頼んだぞ」

勇者「うん、じゃあ行ってきます!!」

~終わり~

勇者「まずは酒場で仲間を集めなきゃね・・・」

酒場

店主「はい、いらっしゃい。何か用?」

勇者「あの、旅に出るんで仲間が欲しいんですけど・・・」

店長「はいはい、ちょっと待ってね」

店長「誰か暇な人いる~??」

戦士「あ?なんだよ?」

店長「この子が旅のお供を探してるんだけど、誰か手空いてない~?」

盗賊「冗談じゃねぇ、子供のお守りなんかしてられるかっての!」

魔法使い「子供は家帰って勉強してろよ!」

勇者「・・・うう」

店長「・・・ごめんね、口悪くって・・・でも、ここにはいないみたい。別当たってくれる?」

勇者「はい・・・」

3時間後

勇者「はぁ、見つからない」

勇者「しょうがないや・・・次の街に行こう」

街道

道中、勇者はうずくまっている少女を見つける

「う、うう」

勇者「大丈夫ですか?」

「すみません、日の出る時間帯はいっつもこうなんです・・・」

勇者「(日の出る時間帯?・・・変なの)あの、何処か休める所まで連れて行きましょうか?」

「宜しいのですか?」

勇者「ええ、見捨てるわけにも行きませんので」

「実は、私の屋敷すぐそこにあるんです。案内しますので、連れて行っていただけますか?」

勇者「(屋敷?どこかのお嬢さんなんだ・・・)」

少女の屋敷

少女「ここです」

勇者「立派なお屋敷ですね」

門番1「・・・!お嬢様!?」

門番2「おい、お前!お嬢様に何をした!!」

勇者「うわ、ちょっと・・・!」

少女「お止めなさい!この方は私の命の恩人なのですよ!!」

門番1「え!?」

門番2「そ、それは失礼しました!!」

少女「さ、早くお開けなさい」

門番1「はいっ!」

勇者「・・・」

少女「さ、行きましょう?」

勇者「は・・・はい」

勇者「(なんか・・・妙な雰囲気な館だなぁ)」

少女「屋敷まで入ればもう大丈夫。私について来て下さい」

勇者「あ、はい・・・」

少女「ここ、客間なので。御掛けになってお待ち下さい」

勇者「はい・・・(なんか、流れでお邪魔しちゃったけど・・・)」

スタスタスタ・・・

少女「お父様、この方が私を救ってくれた方です」

父「おお・・・娘の危ない所を助けて頂き、ありがとうございます」

勇者「い、いえいえ!そんな事・・・当然の事しただけですから・・・!(厳格そうな人だ・・・)」

父「我々、太陽に当たると目眩を起こしてしまう体質でしてな・・・」

勇者「そうなんですか・・・大変ですね」

少女「そういえば、お名前伺ってませんでしたわね・・・」

勇者「あ、申し送れました。僕、勇者っていいます」

父「!」

少女「勇者!?」

勇者「・・・?」

父「今、噂されているあの勇者殿ですかな?」

勇者「え・・あ、はい。そうです」

少女「魔王を倒しに旅立ったっていう・・・あの?」

勇者「はい(・・・な、なんか嫌な雰囲気だ)」

父「・・・そうでしたか。では、丁度良かった」ニッコリ

父「今日はこの屋敷で休んでいって下さい。娘を助けて頂いたお礼もしたいので」

勇者「いやいや、そんな!申し訳ないですよ」

少女「まぁまぁ、勇者様。私、冒険のお話しとかもお聞きしたいですし」

勇者「いや、まだ出発したばっかで・・・」

父「よし!決まりですな!ディナーの準備をしますので、勇者殿はお部屋で休んでいて下さい」

黒服「どうぞ、こちらへ」

勇者「あ・・じゃ、じゃあお言葉に甘えます・・・」

スタスタスタ・・・

父「勇者がこの屋敷に立ち寄るとは好都合だ」

少女「お父様、しかし・・・」

父「これは最大の好機だ。今ここで勇者を討ち取れば、魔王様の障害はなくなる」

少女「・・・」

父「恩人の死ぬ姿は見たくないか・・・お前は一族でも繊細な子だからな・・・」

少女「だって・・・」

父「勇者は私が始末する。お前は自分の部屋にいなさい」

少女「・・・はい」

黒服「ディナーの支度が整うまで、このお部屋でお待ち下さい」

勇者「すいません、なんか・・・」

黒服「失礼します」

勇者「・・・でも、こんなお屋敷に泊まれる事なんて滅多にないよね・・・ゆっくりさせてもーらおう」

勇者「お腹減ったな・・・もう夜だよ」

勇者「いくらなんでも時間かかりすぎじゃ~・・・

コンコン

勇者「!は、はい?」

黒服の声「お食事の用意が出来ました。中庭まで起こし下さい」

勇者「わかりましたー・・・て、中庭?外でやるんだ・・・変わってるなぁ」

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