少女「・・・スー・・・スー」
勇者「!?うわわ!!!」
少女が自分の隣で眠っていた
勇者は驚くあまりベットから転げ落ちた
ドスンッ
少女「ん・・・?」
勇者「いてて・・・」
少女「あ、勇者様・・・おはようございます。どうしたんですか?」
勇者「お、おはよう・・・いや、ビックリしちゃって」
少女「ごめんなさい、外から戻ってきたらつい身体が冷えてしまって・・・」
少女「眠くなるまで勇者様の布団で温まろうかな~なんて思ったんです。そしたらそのまま眠っちゃって・・・ごめんなさい」
勇者「あ、いやいや。別に気にしてないけどね・・・」
少女「本当ですか?よかったですっ」
勇者「はは・・・さ、ご飯食べたら出発の準備をしようか」
少女「はいっ」
酒場
カランカラーン
店長「お、来たな」
男・少女「おはようございます」
店長「悪いな、あいつまだ来てないんだよ」
勇者「え?」
少女「来てない?」
店長「昨日、結構酒飲んで行ったからな。寝坊してるんだろ」
少女「・・・もー」
数十分後
カランカラーン
傭兵「悪い、遅くなった!」
店長「雇い主より後に来るとは何事だ」
勇者「いえ、いいんですよ」
少女「おはようございます」
傭兵「いやいや、申し訳ねぇ。傭兵のプロとしての自覚が足りなかった」
店長「とんだプロがいたもんだ」
勇者「傭兵さん、宜しくお願いしますね」
傭兵「おう、俺を雇ったからには大船に乗った気でいな!」
店長「酒癖の悪い奴だからな、気をつけろよ」
少女「はい、わかりました」
傭兵「おい、余計な事言うな!」
勇者「ははは・・・」
傭兵「さて、次は何処に向かうんだ?勇者様?」
勇者「王様から頂いた地図によれば、魔王城の方角はあっちですので・・・」
少女「この地図の通りだと、山にぶつかってしまいますね」
傭兵「ああ、この先に洞窟がある。洞窟を通って山を越えるんだよ」
勇者「そうですか、ではその洞窟を目指しましょう」
少女「はーい」
傭兵「ところで、お嬢ちゃんなんでそんな厚着なんだ?」
勇者「あ、その・・・」
少女「いいんです勇者様。私、吸血鬼なんです」
傭兵「きゅ、吸血鬼!?」
少女「はい、なので太陽光に当たるとまともに動けない程弱まってしまうんです」
傭兵「それでか・・・しかし、なんで勇者と吸血鬼が旅を・・・」
勇者「歩きながらお話ししますよ」
傭兵「――ほう、そんな事がか・・・」
少女「傭兵さんも、運命の出会いだと思いませんか???」
勇者「ちょ・・・」
傭兵「ああ、確かに思うな」
勇者「傭兵さんっ」
少女「ですよねー、えへへ」
傭兵「お嬢ちゃんの事を魔物というのは失礼だが、人間と魔物が愛し合うってのは・・・聞いた事ないからな」
少女「本当ですか?勇者様、やっぱり私達は運命の出会いだったんですよ!!」
勇者「そ、そうかな・・・ははは」
傭兵「自信を持て勇者、お前は今までになかった事をやっているんだからな」
洞窟前
傭兵「この洞窟を越えれば、次の村が見える」
勇者「薄暗いですね」
傭兵「洞窟に潜むモンスターってのは縄張り意識がとても強いからな。気を抜くなよ」
勇者「は、はいっ!」
少女「大丈夫ですよ勇者様!洞窟だったら私も戦えますので!!」
勇者「うん、でも無理はしないでね」
傭兵「お嬢ちゃんの方がお前より強そうだな・・・ハハッ」
洞窟
モンスター「グアオオオオ!!!」
傭兵「ち、囲まれたか」
勇者「つ・・・強そうだ」
モンスター「グルルォォ・・・」
傭兵「情けない事言うな!お前は勇者だろ!!」
勇者「は、はい!!」
少女「勇者様、頑張りましょう!」
少女はすでに戦闘態勢に入ってる
目が真っ赤だ
勇者「う、うん!やろう!!うわあああーーー!」
少女「ええーーいっ!!!」
傭兵「若さってのはいいな!こっちまで漲ってきたぜ!」
勇者達は見事モンスター達を蹴散らした
傭兵「ふう、大丈夫か?お前達」
勇者「はい、なんとか・・・」
少女「勇者様、強かったですよ!!」
勇者「ほ、本当?・・・嬉しいな」
傭兵「お嬢ちゃんも強かったぞ、体術使いだとは思わなかったが」
少女「えへへ、お父様に仕込まれましたからね・・・・」
グオオオオォォ・・・・
勇者「ん?」
傭兵「なんだ、今の声は?」
少女「・・・・・」
グオオオォォォ・・・・
勇者「またモンスター・・・?」
少女「・・・この鳴き声、助けを求めてます」
傭兵「なに?」
勇者「わかるの?」
少女「なんとなくですけど・・・そんな感じがします」
傭兵「この鳴き声は相当大物じゃないか?関わるだけ野暮だろ」
勇者「うーん・・・」
少女「でも、モンスターだって悪いのばっかりじゃありませんよ!」
勇者「少女・・・そうだね、助けに行こうか」
少女「勇者様!」
傭兵「ふう、やれやれ・・・ま、雇われた身だ。仕方ない」
グオオオオォォ・・・・
少女「声はこっちから聞こえます!」
勇者「よし、行こう!」
洞窟最深部
グオオオオオオオオ・・・
少女「あ、いました!!」
傭兵「おいおい、冗談だろ?」
勇者「ト、トロール!?」
勇者達の前には落石に埋もれ身動きの取れないトロールがいた
トロール「グオオオオ・・・」
少女「苦しそう・・・いつからこんな・・・」
勇者「どうやって助けよう・・・こんな岩、手じゃ運べないよ」
傭兵「トロールは知性が低いからな・・・こんな所で何やってやがったんだか」
少女「大丈夫?今、助けるから!」
トロール「グオオオォ・・・・」
少女「苦しそう・・・いつからこんな・・・」
勇者「どうやって助けよう・・・こんな岩、手じゃ運べないよ」
傭兵「トロールは知性が低いからな・・・こんな所で何やってやがったんだか」
少女「大丈夫?今、助けるから!」
トロール「グオオオォ・・・・」
勇者「何かないかな?なにか・・・」
少女「・・・あ」
傭兵「ん?」
二人は傭兵が背負っているある物に目をつけた
勇者「傭兵さんの大剣があった!」
少女「傭兵さん!テコで岩を動かしてくださいよ!!」
傭兵「俺の武器をか!?じょ、冗談じゃねぇよ」
トロール「グオオオォ・・・・」
少女「お願い、傭兵さん。この子苦しそう・・・」
傭兵「落ち着けよお前ら、トロールは恐ろしく凶暴なんだぞ?助けたらすぐに襲い掛かってくるに決まってる」
勇者「でも見捨てるわけには・・・」
傭兵「襲い掛かってくるのをわかって助けるか?普通?」
少女「そんな、この子だって大分弱ってます!すぐ襲ってくるなんて事しませんよ!」
勇者「傭兵さん、どうか助けてやってください!」
傭兵「・・・・あー、はいはい。わかりましたよっ」
傭兵は背負っていた大剣を岩の下に潜らせた
傭兵「・・・ったく、モンスターを助ける勇者が何処にいるってんだ」ブツブツ
傭兵「んおおお~~~~っ!!!」
ググ・・・ グ・・・
勇者「僕達も手伝おう!」
少女「はいっ!」
トロール「グオオオ・・・」
傭兵「よぉし、お前ら1,2の3で行くぞ!」
勇者・少女「はい!」
傭兵「よぉし!1、2の!!」
勇者・少女「3!!!」
ググググ・・・ ゴトンッ
トロール「!」
傭兵「ふう、愛剣が折れるかと思ったぜ」
少女「大丈夫?」
トロール「グオオォ・・・」
傭兵「おい!起き上がるぞ、下がれ!」
勇者「少女、僕の後ろに!」
トロールはゆっくりと起き上がり、3人を見回した
トロール「・・・」
傭兵「・・・」
勇者「・・・」
少女「・・・」
トロール「グオ」
傭兵「?」
トロールは右手を顔の高さまで上げ、左右に2~3回手を振った
勇者「え・・・?」
少女「感謝しているんですよ、きっと・・・」
トロール「グオ・・・」
ズシン・・ ズシン・・
トロールはそのまま何処かへと去っていった
傭兵「・・・てっきり、あの手で叩き潰してくるかと思ったぜ」
少女「心が通じ合うモンスターだっているんですよ。ただ、外見が恐ろしいだけで」
勇者「うん・・・」
傭兵「まぁ、普通の人間はどうしても警戒しちまうからな・・・」
少女「人間はもう少し魔物を観察すべきです。命を落とさなくていい魔物だっているんです」
勇者「・・・ごめんね」
少女「あ、いや勇者様に言ったんじゃないですよ!」
傭兵「(心が通じ合うモンスターか・・・確かにな。国を支配する権力者共もこの嬢ちゃんのような考えを持っていたら・・・)」
傭兵「よし、モンスターの救助も終わったし。さっさとこの洞窟を抜けるぞ!」
勇者「はい」
少女「結構時間かかっちゃいましたね・・・」