村娘「あ、ここにいた!」
少女「村娘さん」
勇者「おはようございます」
傭兵「うぃーっす」
村娘「もう旅立たつの?」
少女「はい、あまり長居も出来ませんので」
村娘「そうですか・・・気をつけて下さいね」
勇者「村娘さんも、お元気で」
少女「お父さん、大事にしてあげて下さいね」
村娘「うんっ、この恩は忘れないよ!ありがとう!!」
傭兵「・・・よぉーし、んじゃ出発すんぞー」
勇者「はいっ」
少女「行きましょう!」
2時間後
勇者「はぁ・・はぁ・・・」
少女「はっ・・・はぁ・・・」
傭兵「歩いても歩いても景色が変わらねぇ・・・おい、ちょっと休もう」
勇者「そ、そうですね」
少女「はぁ・・はい・・・」
勇者「・・・今、どこら辺ですかね?」
傭兵「ずっと同じ景色だ。わからんな」
少女「夜になれば、私飛行して後どれぐらいか分かるんですけどね」
傭兵「そうか・・・そうだな」
勇者「?」
傭兵「何もこんな日が照ってる時間帯に無理して歩かなくていいんだよ。涼しい夜に移動すりゃいいんだ・・・」
少女「そ、そう言えばそうですね」
勇者「気合入りすぎてましたね・・・」
傭兵「よし、そうと決まればテント張るぞ!勇者手伝え!」
勇者「は、はい」
夜
傭兵「グゴー・・・グゴー・・・」
勇者「傭兵さん、夜ですよ」
ユサユサ
少女「起きませんね」
勇者「このままじゃ朝まで寝てそうだよ・・・どうしよう、口に砂でも入れてみようか」
少女「あはは、いいかもしれないですね・・・私、ちょっと飛んで周りを見てきます」
勇者「うん、気をつけてね」
少女「はい、行ってきます」
どろんっ
パサパサパサパサ・・・
勇者「傭兵さーん、起きて下さいって」
傭兵「んー・・・うるさい」
勇者「・・・ふう、本当に砂入れてやろうかな」
パサパサパサパサ
勇者「あ、お帰り」
どろんっ
少女「勇者様、ちょっと地図見せて下さい」
勇者「地図?ちょっと待って・・・・はい」
少女「・・・」
勇者「どうかしたの?」
少女「・・・地図に載ってない村があるんですよ、この先に」
勇者「え?本当?」
少女「はい、明かりもついてたんで人も住んでる感じでした」
勇者「傭兵さんに教えないと。傭兵さーん」
傭兵「ゴー・・・ゴー・・・」
サラサラサラ・・・
傭兵「ゴー・・・!??ぶへはぁっ!!!!?ゲホッ!ゲホッ!!」
勇者「wwwww」
少女「wwwww」
傭兵「べはっ!げはっ・・・な、何が起こった!?」
勇者「大丈夫ですか?傭兵さん」
少女「すみません、何度呼んでも起きなかったモノですから・・・」
傭兵「お、お前らの仕業か!!」
勇者「待って下さい傭兵さん、大事な話があるんですよ」
傭兵「あ?大事な話??」
傭兵「・・・本当か??」
少女「はい、確かにこの目で見たんです」
勇者「涼しい時間帯にもなりましたし、行ってみようと思うのですが」
傭兵「・・・そうだな、村があったらあったでラッキーだよな。酒もあると尚いい」
少女「傭兵さん・・・」
傭兵「はっはっは!そうと決まれば、テント片付けてその村に向かうぞ!」
勇者「はい!」
――歩く事30分
少女「ほら、見えましたよ!!」
少女は村の方向を指差す
勇者「・・・?」
傭兵「何処だよ?」
少女「え?いや・・・明かり見えるじゃないですか!あそこですよ!」
勇者「?」キョロキョロ
傭兵「だから何処だよ?全然見えないぞ?」
少女「???(二人には見えてない?)」
少女「勇者様、私と手繋いで下さい」
勇者「え?う、うん」
ギュッ
傭兵「?」
少女「傭兵さん、私達の後ついて来て下さいね」
少女は勇者を半ば強引に引っ張り、少女が見えてる村の方向へと向かった
傭兵「だからそっちはなんも無い・・・ちょ、待て待て」
ザッザッザッザッザ
勇者「本当に村が見えるの?」
少女「勇者様、私は嘘はつきませんよ」
・・・
ザッ
少女が『見えない村』の入り口に立ち止まる
少女「・・・」
勇者「?どうしたの、立ち止まって?」
少女「この門が見えませんか?」
勇者「うん・・・」
少女「よし・・・入ってみましょう。行きますよ」
勇者「わ、ちょ待って・・・」
傭兵「歩調を考えろって・・・こっちは剣と荷物背負ってるっつーのに・・・え!?」
少女が前に一歩歩み出した瞬間、勇者と少女が消えた
傭兵「き、消えた!?おい、勇者!お嬢!!」
傭兵「・・・・まさか・・・、本当にあるのか?そこに村が?」
ザッザッザッザ
傭兵も二人を追って歩みだした
モンスター村
少女「やっぱり・・・あった」
勇者「こ、ここは?少女が言ってた村?」
少女「はい、でも私しか見えなかったってのはどういう事なんでしょう?」
傭兵「お!?ここは・・・?」
二人の後を追い傭兵も入ってきた
勇者「傭兵さん」
傭兵「本当にあったんだな」
少女「でも、誰も外に出てませんね。すいませーん!誰かいませんかー?」
勇者「・・・・・反応がないね」
傭兵「でも、部屋の明かりはついているぞ?」
ガチャッ
勇者「!」
勇者達から一番近い家のドアが開いた
そこに出てきたのは・・・
少女「!」
傭兵「な・・!?」
勇者「!?」
オバサン「なんだい、その顔は?」
ゴブリン「鳩が豆鉄砲を食らったような顔して?」
なんと、人間の女性とモンスターであった
ガチャ ガチャガチャ
爺「・・・」
エルフ「・・・」
婆「・・・」
人狼「・・・」
傭兵「ヒトと魔物が暮らしているのか?」
勇者「・・・」
少女「こんな村があったなんて・・・」
オバサン「ん?アンタ達人間だよね?どうしてこの村がわかったんだい?」
エルフ「ここはモンスターしか分からない村なんですがね・・・」
少女「そうか・・・だから私だけが見えてたんですね」
勇者「この村は・・・?」
オバサン「見りゃわかるだろ?人間とモンスターが暮らす村さ」
人狼「まァ、外の世界から来たんなら驚くのも無理はないわな」
ゴブリン「まぁ立ち話もなんだ、ウチに入れよ。茶ぐらいは出すぞ」
勇者「あ、はい・・・みんな、行こう」
少女「はい」
傭兵「・・・(こんな村が・・・既に実在していたのか)」
オバサン「フーン・・・」
ゴブリン「魔王様を倒しに・・・か」
勇者「あの、この村は何時からあるんですか?」
エルフ「もう何百年も前からですね。最初は本当にモンスターだけの村だったのですが・・・」
爺「ある日、人間が転がり込んで来ての。意外にもモンスター達と気があっての・・・それからか。チョコチョコ増えてきたのは」
ゴブリン「ここには、人間と魔物の争いを好まない人間やモンスターが自然と集まる村なんだよ。」
少女「やっぱり・・・人間とモンスターは判り合えるんですね!」
オバサン「一部の、だけどね。」
勇者「・・・」
傭兵「勇者、これは凄い発見だぞ」
勇者「はい・・・」
婆「外の世界じゃまだ人間と魔物は争っておるのか?」
少女「はい・・・」
爺「ふー・・・本当に、何度繰り返せば飽きるのやら」
オバサン「偏見の塊のような奴らが王を名乗って戦争を起こしてるんだ。そいつの跡継ぎだって同じ偏見を植え付けられて育って行くんだしね」
エルフ「まぁ・・・人間の良さに気づこうとしない、魔族にも問題はあるのですがね」
勇者「・・・」
少女「・・・」
爺「お前さんはどうしたいんじゃ?」
勇者「え?」
人狼「権力者のいいように動かされて、魔王を倒すのか?」
婆「魔王を倒したとしても、今度は人間同士の戦争が起こりよる」
エルフ「そしてまた新たな魔王様が誕生し、モンスターと人間の争いが起こる・・・貴方はそんな繰り返しを望んでいるのですか?」
傭兵「・・・」
オバサン「まぁまぁ、皆。そんなに攻めないでやっておくれよ・・・この子だって生まれたくて勇者に生まれたんじゃないんだし」
ゴブリン「まぁ、ここで暮らす俺達には関係の無い話だがな・・・」
勇者「・・・」
少女「勇者様・・・」
勇者「・・・繰り返させません」
オバチャン「ん?」
人狼「!」
勇者「こんな歴史、もう繰り返させません!僕が魔王の元を目指すのは、倒しに行く為じゃありません!共存の道を話し合う為です!」
傭兵「勇者・・・」
爺「・・・簡単に行くかの」
勇者「やってみせます!ここで暮らしている皆さんのように、僕の事を気に入ってくれた少女のように、判り合える筈です!」
少女「勇者様・・・」
オバサン「・・・そうかい、なら前祝でもしてやるかい」
ゴブリン「ふふ・・・そうだな」
人狼「俺は狩に行ってくる」
婆「爺さん、手伝っておくれ」
爺「おう」
ゾロゾロゾロゾロ・・・