少女「おやすみなさい・・・」
勇者「おやすみ・・・」
・・・
勇者「・・・ねえ、少女」
少女「はい?」
勇者「僕、ホントに何もしなかった?」
少女「!・・・・」
勇者「・・・し、したの?」
少女「・・・・した、というか、私が誘ったというか・・・」
勇者「!!ご、ごめんなさい!」
少女「え?あ、謝らないで下さいよ!」
勇者「なんというか・・・申し訳ない!酒の勢いでその・・・や・・・やっちゃうなんて・・最低だ」
少女「そんな、勇者様・・・気にしないで下さい!私・・・う、嬉しかったですから///」
勇者「う、嬉しかった?・・・怒ってないの?」
少女「はい、ですから気にしないで下さい」
勇者「・・・ごめんね」
少女「ですから、もういいですってw」
少女「それより・・・頑張りましょうね」
勇者「え?」
少女「・・・人間と魔物が共存する世界を実現させる事・・・」
勇者「うん・・・出来るよ。この村の人達が証拠さ、必ず出来るよ」
少女「私も、出来る限りお手伝いしますね」
勇者「ありがとう、少女」
少女「じゃあ・・・おやすみなさい」
勇者「おやすみ・・・」
朝
勇者「2日もお世話になって、すみませんでした」
オバサン「なになに、久々のお客さんだったぁら嬉しかったよ」
ゴブリン「馬車は村の出口に置いてある。遠慮なく使ってくれ」
勇者「はい、すいません」
傭兵「この旅が終わったら、またここに来るぜ」
人狼「フ、また飲み比べでもやるつもりか?」
傭兵「へっ、お前との腕相撲勝負がまだだからな」
人狼「(覚えていたのか)」
爺「お嬢ちゃんも気をつけての」
少女「はい、ありがとうございます」
婆「アンタ達の理想の世界、実現出来る事を祈っておるよ」
勇者「はい、頑張ります。必ず実現させてみせます!」
傭兵「よし・・・荷物は全部積んだな?」
少女「はい、全部ですね」
勇者「では皆さん、色々とありがとうございました!」
オバサン「ああ、気をつけてね」
ゴブリン「また来いよ」
エルフ「お元気で・・・」
少女「皆さんもお元気で!」
傭兵「じゃあまたな~」
パカパカパカパカパカ・・・
オバサン「行っちまったねぇ」
ゴブリン「ああ・・・」
エルフ「共存出来る世界・・・是非、この目で見てみたいものです」
爺「そんな世界が見れるなら・・・ワシ死んでもええわ」
婆「そうですかそうですか」
パカパカパカパカ・・・
傭兵「ん~♪馬車はいいねぇ・・・」
馬「ヒヒン」
傭兵「お前も久々に荷を引くだろ。あんま無茶すんなよ?」
馬「ブルルッ」
馬車内
勇者「ここだとローブを着なくてもいいから楽だね」
少女「はい、正直動きにくかったですからね。アレ」
新たな仲間(?)馬車を加え、勇者一行は次の目的地へと向かうのであった
魔王城
側近「魔王様、勇者達の情報ですが・・・」
魔王「何か入ったか?」
側近「仲間を2人加え、この魔王城へと着々と向かって来ております」
魔王「二人か?まぁ、最低限の人数だな」
側近「その仲間なのですが・・・」
魔王「?」
側近「一人は傭兵所で見つけた男。もう一人が・・・なんと吸血鬼の娘なのです」
魔王「・・・吸血鬼の娘?」
側近「はい、吸血鬼の長から話を聞きましたが、ある日消えるようにいなくなってしまったと」
側近「・・・魔物が勇者と旅をする等、これはどういう事でしょう」
魔王「吸血鬼の一族はプライドが魔物一倍高いが・・・その吸血鬼が仲間にいるとは、勇者は相当カリスマを持った人間なのかもしれんな」
側近「カリスマ・・・ですか」
魔王「・・・ふふ、何かが変わり始めてるのかもしれんな」
勇者一行がモンスター村を出発して二日、ついに次の目的地に到着した
馬「ブルルッ ブルルッ」
傭兵「おーい、着いたぞー」
勇者「zzz・・・ん、あ・・・はーい!」
少女「ん・・・」
傭兵「すっかり暗くなっちまったな」
勇者「ええ、今日はもう宿を取りましょう」
傭兵「ああ、だな。俺も久しぶりに酒飲みてぇや」
少女「まだ2日しか経ってないじゃないですか」
傭兵「俺にとって二日禁酒ってのは相当なダメージなんだよっ」
勇者「はは、わかりました。さ、宿屋に行きましょう」
宿屋
店主「3名様ですね?」
傭兵「勇者、俺酒飲みに行って来るからよ、部屋はまた別に取っておいてくれ!」
勇者「わかりました」
少女「飲みすぎて暴れないで下さいよ?」
傭兵「おう、わかってるよ!」
勇者「僕らはどうしようか?馬車で結構眠ってたし・・・」
少女「じゃあ、街に遊びに行きましょうよ!」
勇者「そうだね、折角だし・・・行こうか」
少女「はいっ」
酒場
傭兵「親父、酒くれ!」
店主「はいよ」
「隣、よろしいかしら?」
傭兵「ん?おお、美人は大歓迎だぜ」
お姉「貴方、旅の方?」
傭兵「ああ!傭兵やってんだ。姉さんも旅人かい?」
お姉「ええ・・・そんな所ね」
傭兵「おう、マスター!この姉さんにも酒だ!」
店主「はいよ」
お姉「あら、いいの?」
傭兵「美人と一緒に飲む酒は格別に美味いからな!遠慮すんな!」
お姉「傭兵やって結構長いの?」
傭兵「モチロン。俺程のベテラン傭兵はいねぇよ」
お姉「じゃあ貴方の仲間にも頼りにされてるんでしょうね」
傭兵「ん?ああ、そうかもな~!はっはっは!!」
傭兵「姉さんは何処に向かって旅してるんだ?」
お姉「ん?まぁ特に何処向かってるって訳じゃないんだけどね。気の向くまま、ふらりふらりと」
傭兵「自由か・・・いいねぇ」
お姉「ねえ、別の場所で飲みなおさない?」
傭兵「ん?ああ、俺はいいけど」
お姉「じゃあ、行きましょうか」
路地裏
お姉「ここでいいか・・・」
傭兵「ここに店があるのか?」
お姉「ええ、今度は私がご馳走するわ・・・死にも上りそうな快楽を・・・」
ゾワゾワゾワゾワ・・・ッ
傭兵「おお、コスプレって奴か?」
サキュバス「そう見えるの?・・・まぁ、いいか」
サキュバスがゆっくりと傭兵に近づく
サキュバス「ねえ・・・私にキスして」
傭兵「キスか?お安い御用だ・・ん~」
サキュバス「(チョロイわね、若い魂いただ)んがっ!!!?」ボグッ
サキュバスの脳天に棍棒が振り下ろされた
サキュバス「な・・・だ、誰・・・」
ドサッ
サキュバスは気を失った
棍棒を振り下ろしたのは・・・・少女だ
少女「あ・・・危なかったぁ・・・」
勇者「少女、ここにいたの・・・って、なにこの状況!?」
傭兵「おお?勇者と嬢ちゃんじゃねぇか」
少女「この女はサキュバスです。傭兵さん、下手したら魂抜かれてたかもしれないんですよ!」
傭兵「サキュバス?なんだそれ?」
勇者「駄目だ、相当酔ってるよ」
少女「酔いを回させたのもこの女の力ですよ。勇者様、この女は危険です・・・早く宿に逃げましょう」
勇者「いやでも・・・ここに放って置くってのは」
少女「・・・じゃあ、宿屋まで運びましょう」
傭兵「う~」
勇者「傭兵さんも自分で歩けないみたいだけど」
少女「傭兵さんなら大丈夫ですよ。この女を運んでから迎えにきましょう」
勇者「そうだね、傭兵さんなら酔ってても強盗くらいは倒せそうだしね」
サキュバス「ん~・・・ん?」
少女「目が覚めましたね」
サキュバス「な、なによこの縄!?解きなさいよ!私、そういう趣味ないんだけど!」
少女「淫魔が私達に何の用ですか?魔王様の刺客ですか??」
サキュバス「刺客?違うわよ、私はただ若い魂を求めて放浪してただけ・・って、なんでアンタ私の事知ってるのよ?」
少女「私も貴方と同じ魔物ですから」
サキュバス「あら、そうなの・・・で、これ解いてくれないのかしら?」
少女「すぐにこの街から出て行くって約束してくれるなら、解放してもいいです」
サキュバス「それは無理ねぇ、この街には沢山のいい男がいるから・・・」
少女「じゃあ、仕方ありませんね」ポンッポンッ
サキュバス「なにその棍棒・・・はっ!さっきアタシの頭殴ったのアンタね!?卑怯者!」
少女「淫魔にそんな事言われたくありません」
ガチャ
サキュバス「!」
勇者「少女、大丈夫?」
突然勇者が部屋に入って来た
少女「あっ・・・」
サキュバス「(チャンスッ)
サキュバスは十八番であるテンプテーションを発動、勇者を洗脳しようとした
勇者「あ・・・」
サキュバス「坊や、私を助け
少女「駄目ーーっ!!」
ボグッ
サキュバス「おがっ!!!」
間一髪、少女が再び棍棒を振り落とし洗脳を未然に防いだ
勇者「!あ、あれ?今なんか頭がホワ~ッと・・・」
少女「勇者様、部屋に入らないでって言いましたのに・・・」
サキュバス「・・・」
サキュバスは再び気絶した
勇者「ごめん・・・っていうか、また気絶させたの?」
少女「勇者様、今洗脳されそうだたんですよ。・・・やっぱりこの女は危険です」
勇者「じゃあ・・・どうしよう」
少女「う~ん、明日の朝みんなで考えませんか?今日はもう遅いですし」
勇者「うん、そうだね。傭兵さんにも教えてあげなきゃならないし」
少女「勇者様は傭兵さんの部屋で寝てもらえますか?途中でこの女が目を覚ましたら危ないので」
勇者「わかったよ。お休み、気をつけてね」
少女「はい、お休みなさい」
バタン