平民生徒「それは・・・うん」
勇者「今の王は魔族に対してきついし校長からしてあれだろ?勇者様に憧れて世界を平和にしたいっていう俺や平民生徒だって不安で一杯なのに、自分の立場や威厳しか気にしないような連中が『勇者』になったって仕方な
平民生徒「今はそうかもしれないけど、変わるかもしれないし・・」
勇者「平民生徒はいいやつだから貴族生徒達のことを悪く思えないかもしれないけど、俺はあいつらが好き勝手するために『勇者』っていう肩書きを欲しがってるようにしか見えないんだ。職務を全うするようなまともなや
平民生徒「勇者の気持ちも分かるよ。けど他人を悪く言うのは好きじゃないんだ、ごめんね」
勇者「・・いや、俺の方こそ変な話してすまなかった」
平民生徒「僕達は僕達で立派な『勇者』を目指そうよ」
勇者「ああ、そうだな」
女生徒「うう・・・ん・・・」キョロキョロ
勇者「お、やっと起きたか」
平民生徒「おはよう、女生徒」
女生徒「うん・・・うん・・・zzz」
勇者「おい、立ち上がったから顔でも洗いに行くのかと思ったら椅子に座ってまた寝始めたぞ」
平民生徒「実は女生徒って朝あんまり強くないらしいんだよ」
勇者「そうだったのか・・・。自分のことを棚に上げて散々人のことをバカにしてたとは・・・ちょっとお仕置きが必要だな」スタスタ
平民生徒「近づいていってどうするの?」
勇者「耳元で話しかけるだけだぜ?」
勇者「おい、女生徒ー、起きてるかー?」
女生徒「ん・・・、うん・・・」
勇者「お前はねぼすけさんだよな?」
女生徒「うん・・・」
勇者「お前って女らしくないよな」
女生徒「うん・・・」
勇者「空は赤いよな」
女生徒「うん・・・」
勇者「俺ってかっこいいよな」
女生徒「うーん・・?」
勇者「どうしてそこで悩むんだよ!」
平民生徒「あはは、失敗しちゃったね」クスクス
勇者「なんか悪意を感じるぜ・・・。まぁいいや、放っとけばそのうち起きるだろ」
平民生徒「少しは僕の気持ちが分かったかな?」
勇者「あーあー、なにもきこえなーい」
平民生徒「もう、勇者は子供だね」
~~
勇者「気付いたらもう夕方かー。修行してたらあっという間だったな」
平民生徒「そうだね。今日は弱い魔物と何回か戦闘になったけど問題なく倒せたし」
女生徒「でもやっぱり攻撃する時の感触は思い出したくないわ」
勇者「襲われるんだから仕方ないとは言ってもな、気持ちのいいもんじゃない」
平民生徒「そうだね・・」
ガチャッ
獅子魔族「帰ってきたか、おかえり」
勇者(ピンク色のエプロンが絶望的なまでに似合ってないんだけどこれは触れないであげるべきなんだろうか)
女生徒「ただいま。それ素敵なエプロンですね」
平民生徒「ただいま、獅子魔族さん。ほんとだ、可愛い・・・!」
獅子魔族「ずっと用意していたんだが中々使う機会が無くてのう・・。実際褒められてみると照れるものだな、はっはっは」
勇者「・・・・」スタスタ
勇者(だめだ、この流れについていけない・・!話題を変えよう)
勇者「そういえば獅子魔族さん、今朝のスープ二人共気に入ってたぜ」
平民生徒「うん、優しい味でとっても美味しかったよ」
女生徒「そうね、あんなの私も初めてだったわ」
獅子魔族「これまた照れるのう。スープにする以外にパンや野菜につけて食べたりしても美味いぞ」
勇者「おお、色々食べ方があるんだな」
獅子魔族「うむ、今夜は味噌尽くしだ」
勇者「ミソ・・?」
獅子魔族「ワシが作ったあれの名前だ。もちろんワシが名づけた」
勇者「なるほど、楽しみだぜ」
ワイワイ ガヤガヤ
~こうして一週間が過ぎました~
勇者「今日もよく修行したなー」
平民生徒「うん、そうだね」
女生徒「勇者ってなんだかあまり素早さとか上がってないような感じがするんだけれど、どうなの?」
勇者「んー、なんか自分自身でも結構前から変わらない気がする。なんでだろうな」
女生徒「成長の限界・・・」
勇者「怖いこと言うな!」
獅子魔族「おかえり、今日もよく修行してきたみたいだのう。もう真っ暗だ」
勇者「ただいま、もうばっちりだぜ」
獅子魔族「そうかそうか、お湯も沸かしてるから浴びてくるといい」
勇者「ん、いつもありがとうな」
獅子魔族「好きでやっておるのだから気にするなといつも言っておるだろうに」
勇者「そうは言ってもやっぱりありがたいしなぁ」
タタッ
猫魔物「ニャー」
獅子魔族「・・・ふむ、分かった、すぐ向かおう。ほれ、報酬だ」ポイッ
猫魔物「ニャー」カプッ タタッ
勇者「どうしたんだ?」
獅子魔族「いや、主らと同じくらいの年の坊主共が6人程森でさ迷ってるらしくてのう。もう暗いし魔物に襲われてはいかんからちと迎えに行ってくる」ノッシノッシ
勇者「分かった、いってらっしゃい」
勇者「俺達と同じくらいか・・。こんな時間にこんなところにいるなんて、もしかして俺達みたいに修行でもしに来たのか・・・?」
平民生徒「獅子魔物さんなんだか嬉しそうだったね」
勇者「お客様が増えるんだからそりゃあ嬉しいだろうさ」
女生徒「うーん・・・」
勇者「女生徒、どうしたんだ?」
女生徒「今思い出したんだけれど、お休みが始まる前に貴族生徒に遊びに誘われたのよ。それで迷いの森に修行に行くからって断ったんだけど、何か企んでそうな顔してたわ・・・」
平民生徒「企んでそうな顔っていうのもなんだか酷いね」
勇者「つっても貴族生徒だしな・・・嫌な予感がする、俺達も行ってみないか」
女生徒「ええ、そうしましょう」
平民生徒「僕も行くよ」
平民生徒「でも獅子魔族さんはもう行っちゃったじ、どうやって行くの?」
勇者「これやるからその人間達のところへ案内してくれないか?」スッ
猫魔物「ニャー」パクッ ムシャムシャ
猫魔物「ニャー」ダッ
勇者「よし、後を追うぞ!」
女生徒「大丈夫かしら・・」
平民生徒「今は信じるしかないよ」
~~
取り巻きA「うう、すっかり暗くなっちゃいましたね・・」
貴族生徒「お前らがちんたらしてるからだろ!さっさとあいつらを見つけないから!」
取り巻きB「今までの恨みを晴らすのに修行の邪魔しようなんて、貴族生徒さんが言い出すから・・・」ブツブツ
貴族生徒「何か言ったか!?」
取り巻きB「な、なんでもないです」
魔法使い生徒A「あの勇者っていうやつはそんなに嫌なやつなんですか?」
貴族生徒「ああ、平民出の癖に僕をバカにしてくる陰湿なやつだ。訓練にかこつけて僕に暴力をふるってきたりするんだぞ?終わらないようにいたぶったり、急所を狙って気絶させたりしてきた。あの平民にはそろそろ立場
取り巻きA「大体自分から仕掛けて仕返しされてるだけなんだけどな」ヒソヒソ
取り巻きB「だよな」ヒソヒソ
戦士生徒A「とは言っても本当にこんなところで修行なんてしてるのか?」
貴族生徒「あいつら体力だけはあるから、間違いないはずだ」
僧侶生徒A「しかしこれだけ暗いと探すのは大変そうですね・・」
魔法使い生徒A「今日はもう引き上げた方が良いのでは?」
貴族生徒「まだあいつらを見つけてないじゃないか、貴族でもかなりの権力のある僕の命令に逆らうのか!?」
戦士生徒A「・・・」
魔法使い生徒A「そういうわけでは・・・」
ガサガサッ
貴族生徒「ひっ!?」ビクッ
犬魔物「グルルルル・・・ガウ!」
バッ
ガシッ
犬魔物「ガフッ!?」
獅子魔族「・・・・」
戦士生徒A「犬の魔物が飛び掛ってきたと思ったら更に獅子の魔物が出てきて空中で頭を掴んでそのまま地面に叩きつけた・・・!?」
取り巻きA「あの魔物すごい強そうですよ!」
ギリギリギリ
犬魔物「ガ・・・ギ・・・!」
魔法使い生徒A「今はあっちに気をとられているけど、あの犬を倒したら次はこっちに来るかもしれません!」
戦士生徒A「今のうちに逃げよう」
貴族生徒「おい、何やってるんだ、早く攻撃しろ!」ガクガク
取り巻きB(腰抜かしてるのに何言ってるんだこいつ!?)
僧侶生徒A「手を出すべきではないと思います」
魔法使い生徒A「そうよ、逃げるのが先だわ」
貴族生徒「いいから早く攻撃しろって言ってるだろこのノロマめ!」
魔法使い生徒A「どうなっても知りませんからね・・!氷結呪文!」ビュゴウッ
獅子魔族「んん?」フリムキ
犬魔物「」
取り巻きB「うわぁ、もう倒し終わってる!」
戦士生徒A「くそっ!」ズバッ
獅子魔族「・・・」
戦士生徒A「ほとんど効いてない・・!?」
獅子魔族「ワシはお主らをとってくったりはせんぞ・・?」
貴族生徒「誰が魔物の言葉なんか信じるか!どうせ騙して襲う気だろ!全員かかれ!」
取り巻きA「く、くそう!」バシッ
取り巻きB「この魔物め!」ズバッ
獅子魔族「ぐぅ・・・」
獅子魔族(聞く耳を持ってないようだしどうするかのう・・・全員気絶させて連れて行くか・・?)
貴族生徒「なんだこいつ、棒立ちじゃないか!いけるぞ!」
戦士生徒A(自分は見てるだけか・・)
取り巻きA(この人ほんとに役立たずだな・・)
魔法使い「とっておきの、強火炎呪文!」ゴウッ
獅子魔族「ぐ・・・」
勇者「やめろお前ら!下がれ!」ブンッ
戦士生徒A「!?なんだお前は」
平民生徒「獅子魔族さん、大丈夫ですか?」
女生徒「ひどいことするわね・・」
貴族生徒「勇者!?・・・・なるほど、お前ら魔物とつるんでいたのか、人間の恥さらしめ!」
勇者「何て言われたって構わないけどな、この人は悪い魔族じゃないんだ、戦う必要はない!」
貴族生徒「魔物なんてみんな一緒だ、お前ら、あいつらごとやっつけてしまえ!」
勇者「かかってくるなら手加減はしないぞ」
戦士生徒A「ふんっ!」
ガキィン
勇者「おい、あんなのに従ってて楽しいか?」
戦士生徒A「うるさい、お前には関係のないことだ!」ブンッ
取り巻きA「あいつら強いし敵いっこないよな」ヒソヒソ
取り巻きB「だよなー」ヒソヒソ
魔法使い生徒A「あれが噂の勇者ですか、私達の方が数で勝っているんだから行きなさい。援護してあげます」
魔法使い生徒A「火炎じゅmぼっ・・!?」バタッ
女生徒「呪文なんて使わせると思ってるのかしら?」
取り巻きA「魔法使い生徒Aさんが一撃で気絶した・・!」
女生徒「あなた達もこうなりたい?」
取り巻き「いえ、とんでもない」ブンブン
貴族生徒「くそ、どいつもこいつも役立たずめ!こうなったら僕が・・!」シャキン
平民生徒「やめてくれないか貴族生徒。あの人は本当に優しい人なんだよ」
貴族生徒「魔物の味方をするようなやつの言うことなんか信じないぞ!どけ!」
勇者「平民生徒・・!?」キィン
戦士生徒A「クラス1の俺の剣が通用しないだと・・!?」
勇者「邪魔だ!」ゴスッ
戦士生徒A「ぐっ!?」
平民生徒「どかない!」