勇者「ここが勇者学校か」 貴族生徒「何お前?」 8/14

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勇者母「でしょ?さっき狩って来たばかりなの」

平民生徒(つ、次は・・・)

オオナメクジのお刺身「」

平民生徒(なんだろうこれ、少しぬめりけがあるけど・・・)パクッ モグ

平民生徒「!?」

平民生徒(一口噛んだだけで変な苦さがぬめりけと一緒に口の中に広がって・・・これ以上噛めない・・!)

勇者母「どう?おいしい?」

平民生徒「・・・!」コクコク

勇者母「でしょ!勇者はいつもまずいって言うんだけど、やっぱり平民生徒くんはいい子だわ・・・。あ、私食器とかの片付けがまだだったからちょっとしてくるわね」テクテク

平民生徒「・・・」プルプル

勇者(平民生徒が涙目でこっちを見ながら引きつった顔で首を振ってる。さすがに無理だったか)

勇者「今のうちにここに出して口ゆすいで来い」スッ

平民生徒「・・・・!」ブンブン

勇者「食べ物と作った人へのその姿勢は立派だと思うけど、無理なもんは無理だって。ほらぺっしなさいぺっ」

平民生徒「・・・・」ググッ

勇者「平民生徒は充分頑張ったって」

平民生徒「・・・・!」ペッ ダダダッ

勇者「おおう、すごく申し訳無さそうに吐き出した後水飲み場の方に走って行った・・やっぱり口の中気持ち悪いよな、あれ」

平民生徒「・・・・」グッタリ

勇者「感想は?」

平民生徒「・・・言わないでおくよ」

勇者「そこまで来ると尊敬するぜ」

勇者「無理せずにパンだけにしとけって」モグモグ ムシャムシャ

平民生徒「あれ、勇者は食べてるじゃないか・・まずいんじゃないの?」

勇者「不味いに決まってる。けどまぁ作ってくれたものだし食べるは食べる。でも慣れてるとは言えやっぱり不味いし口の中がすごく不快だ・・・」モグモグ

平民生徒「それなら僕も食べるよ」

勇者「大丈夫か?正直あそこまで取り乱した平民生徒は始めて見たぞ」

平民生徒「大丈夫だよ、せっかく僕達のために頑張って作ってくれたんだから、応えなきゃ」

勇者「・・・」

平民生徒「でもとりあえず口直しのために普通のパンを食べてからにするよ」

勇者「ああ、それがいいな・・・あ」

平民生徒「え?」

勇者母「あ、平民生徒くん、丁度パンを食べるところ?実はいいものがあるのよ」

平民生徒「あ、勇者のお母さん・・、丁度いいって一体・・」

勇者母「この特製ジャムを塗ればもっとおいしくなるわよ」ヌリヌリ

勇者母「はい、どうぞ」

平民生徒「あ、ありがとうございます」

勇者(あのジャム緑色だけど大丈夫か・・・?)

平民生徒「・・・・」パクッ モグモグ

勇者母「どう?」

平民生徒(なんだろうこれ、苦い・・・ん?パンに塗ってあるジャムのところが盛り上がって・・・切れ目が出来て開いて・・これは、目・・!?)

スライムジャム「ヤァ」

平民生徒「」

フラッ バタッ

勇者「平民生徒ぉー!」

~~

▽勇者の部屋

平民生徒「・・・あれ・・?」キョロキョロ

勇者「起きたか、おはよう」

平民生徒「何があったんだっけ」

勇者「平民生徒が食べたジャムと目があって気絶したんだ」

平民生徒「ああ、そういえばそうだったね。勇者の言ってた意味が分かったよ・・・」

勇者「お前は立派だったよ」

平民生徒「はは、ありがとう。気絶しちゃって勇者のお母さんには悪いことしちゃったね」

勇者「いやいや、普通の人ならまず食べられないから本当にお前は頑張ったって。あんまり気にするな」

平民生徒「うん・・・」

勇者「じゃあまだ暗いし今日はこのまま寝とけ。明日も特にすること決めてないしな」

平民生徒「そうするよ、おやすみ勇者」

勇者「おう、おやすみ」

~~

勇者「ぐう・・・ん?もう朝か・・・ふあー・・・はぁ」ノビー

勇者「平民生徒はもう起きてるみたいだな」

スタスタ

勇者「おはよう」

平民生徒「おはよう。勇者、もうお昼前だよ」

勇者母「おはよう。お休みだからっていつまでも寝てたってだめよ?」

勇者「もうそんな時間なのか。それで二人は何してるのさ」

平民生徒「料理の指導してるの」

勇者母「料理の指導受けてるの」

勇者(普通逆じゃねぇのか、なんてことは黙っとこう)

~~

3人「ごちそうさまでした」

勇者「この家で初めてまともなもの食べた気がする」

勇者母「まぁ、なんてこと言うの、恥ずかしいじゃない」

勇者「別に褒めてる訳でもないんだけどな」

平民生徒「料理が下手な訳じゃないみたいだよ?僕は食材用意しただけでほとんど見てただけだし」

勇者「へー、じゃあなんでだったんだろうな」

勇者母「不思議ねー」

勇者母(料理に魔物を使わないなんて知らなかったわ・・・)

勇者「今日はどうするかなー」

平民生徒「何も決めてなかったんだね」

勇者「俺は大体思いつきと勢いで生きてるからな」

平民生徒「・・・なんとなく分かる気がする」

勇者「いやー、恥ずかしいな」

平民生徒「褒めてないからね」クスクス

勇者「まぁ明日から修行だし、今日は近所ぶらぶらしてのんびり過ごそうぜ」

平民生徒「うん、そうだね」

~~

勇者「あー、昨日はゆっくり休めたな」

平民生徒「あれだけ休んだのも久しぶりだね」

勇者「せっかくの休みだからな。じゃあ王都に行くか」スッ

平民生徒「うん」ギュッ

勇者母「二人とも身体には気をつけるのよ」

勇者「分かってるって」

平民生徒「はい、お世話になりました」

勇者母「いってらっしゃい」

二人「行ってきます!」

勇者「転移呪文!」シュンッ

▽学校_勇者の部屋

勇者「到着」

平民生徒「僕達の部屋なんだね」

勇者「誰かに見られたりすると面倒だからな」

平民生徒「大騒ぎになるだろうね」

勇者「さっさと門のところに行こうぜ」スタスタ

~~

▽王都_門

勇者「お、いたいた」

女生徒「あれ、門の内側から来るなんて、実家に帰ってなかったのかしら?」

平民生徒「それは後で説明するよ。準備はばっちり?」

女生徒「もちろんよ。魔物がいる場所は危険だって言ってお父様が中々家から出してくれなかったから、強引に出ては来たけど・・・」

勇者「さすがおてんばお嬢様だ」

女生徒「誰がよ!」バシッ

勇者「おふっ!お前だお前・・・」

平民生徒「あはは、そろそろ行こっか」

勇者「そうだな。女生徒、ちょっと手貸してくれ」スッ

平民生徒「修行なんてわくわくするね」ギュッ

女生徒「手なんて繋いでどうするのよ」ギュッ

勇者「こうするの。転移呪文!」シュンッ

▽迷いの森入り口

勇者「到着!」

平民生徒「やっぱりあっという間だね」

女生徒「あなた転移呪文なんて使えたの!?」

勇者「そんなに驚くことか?」

平民生徒「勇者、驚くことだよ」

女生徒「こんなに便利な呪文中々無いわ。使えたらお父様の顔も見なくていいし・・・」

勇者「これ結構疲れるんだけどな・・・」

勇者「とりあえず森に入って修行によさそうな場所でも探そう」

平民生徒&女生徒「おー!」

~~

女生徒「ちょっと」

勇者「何?」

女生徒「すっかり暗くなっちゃったけど、どうするの?」

勇者「先に野宿出来そうな場所を探すか」

平民生徒「でももう真っ暗だしこれ以上歩き回るのは危険だと思う。この森には魔物も多く住んでるしね」

勇者「それもそうだな。じゃあ枯れ枝を集めてくるから燃やそう。飯だ飯」

平民生徒「僕達はどうすればいい?」

勇者「二人はここで待っててくれ。はぐれたりしたら困るからな」

平民生徒「うん、分かった」

勇者「すぐ戻るからな」ガサガサ

女生徒「行っちゃったわね」

平民生徒「僕と二人だと不安かな?」

女生徒「そんなことないわよ。一人だったらさすがに不安だけど、平民生徒なら頼りになるし大丈夫だわ」

平民生徒「そう言ってもらえると嬉しいけど、僕はちょっと・・・・怖いかな」

女生徒「私がいるから大丈夫よ!」

平民生徒「・・・うん、二人なら怖くないね

女生徒「そういえば平民生徒が女の子だって、勇者まだ気付かないの?」

平民生徒「気付いてはなかったんだけど、僕の家に来た時にお父さんが娘って言ってばれちゃった」

女生徒「一緒に生活してたのに言われるまで気付かないなんて勇者は抜けてるわね」

平民生徒「それは仕方ないよ。学校では隠してたしね」

女生徒「今でこそ勇者が何度もこらしめてたり平民生徒の成績が良かったりで生徒達からの差別はほとんどないけど、最初は平民出が同じ空間にいるなんて在り得ないっていう空気だったものね。平民生徒が女の子だって分

平民生徒「うん・・。僕も最初は平民出でこんなところに来て良かったのかなって怯えてたけど、勇者のお陰で胸を張って『勇者』を目指せるよ」

女生徒「でも、張るほどの胸が無いんじゃない?」

平民生徒「あ、女生徒それはひどいよ!」

女生徒「あらごめんなさい」クスクス

勇者「いやー、大量大量。って、なんか楽しそうだな」

女生徒「当然よ、私達仲良しなんだから」

平民生徒「うん、僕は勇者も含めて親友だと思ってるよ」

女生徒「私は勇者は普通の友達くらいね」

勇者「友達だと思われてただけでほっとしたから大丈夫。火球呪文!」

ボッ

勇者「干し肉干し肉~♪木の棒で、刺す!そしてそれの持ち手の方を焚き火の側に、刺す!!」

平民生徒「結局勇者のお母さんにお弁当作ってもらわなかったんだ」

勇者「せめて家以外でくらい勘弁してくれよ・・・」

女生徒「あなた、自分のお母様の料理が嫌いなの?」

勇者「また面倒そうな食いつき方を・・・平民生徒、食った料理の詳細を伝えてやれ」

平民生徒「ごめん、あの料理に関しては僕は何も喋らないことにするよ」

女生徒「平民生徒がフォローしないなんて、そんなにひどいの・・・?」

平民生徒「・・・・」

勇者「それはもう大変だった。平民生徒も頑張ったんだけど途中で気絶しちまってな」

女生徒「気絶!?食事していて気絶ってどういうことよ・・・」

平民生徒「・・・・」

勇者「今度お前も招待してやるよ」

女生徒「え、ええ、覚悟しておくわ」

勇者「まぁ平民生徒が料理教えてたしマシになってるかもしれないけどな」

女生徒「それだと少し残念な気もするわね」

勇者「おいおい、度胸試しじゃないんだから・・・」

ガサッ

勇者「ん?」

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