勇者「ここが勇者学校か」 貴族生徒「何お前?」 4/14

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平民生徒「勇者、大丈夫?」

勇者「さすがに脳天直撃は効くぜ・・・」

貴族生徒「あれだけ調子に乗ってた癖にいい様だな!」

取り巻き「HAHAHAHAHAHAHA!」

女生徒「この・・・!」

勇者「やめろ女生徒、俺の負けでいい」

女生徒「でも・・!」

勇者「判定は判定だ、仕方ねぇ」

平民生徒「こういう時勇者は大人だね。僕はいい加減我慢の限界だよ」

勇者「俺のことで問題起こして追い出されでもしたら悔やみきれないだろ?それに、俺も申し訳ないからやめてくれ」

平民生徒「・・・うん、分かったよ勇者」

貴族生徒「これにこりたら大人しくしてるんだな!あっはっはっは!」

担任「次、取り巻きAと平民生徒、前へ」

平民生徒「じゃあ行って来るよ」

勇者「おう、しっかりやってこい」

女生徒「頑張ってね」

勇者「あー、くそ、まだ頭がクラクラするぜ」

女生徒「座ってたら?」

勇者「そうだな。よっこら、しょと」

~~

平民生徒「ごめん、勝てなかったよ」

勇者「あいつも一応剣術はならってたみたいだし、やっぱり判定が平民生徒には厳しくて取り巻きAには甘かったからな」

女生徒「あそこまで露骨だと引くわね」

勇者「それぞれ誇りやらなんやらが絡んでるんだろうし、仕方ないさ」

平民生徒「そうなのかな・・・」

勇者「でもまぁ、俺って負けず嫌いだから、ちょーっと納得いってなかったりするんだよな」

平民生徒「もしかして、もう一回やるつもり?」

勇者「ばれたか」

女生徒「判定は判定じゃなかったの?もう一回挑んだってどうせ同じでしょ」

勇者「まぁ見てなって」

~~

担任「よし、全員終わったな。少し早いが今日はこれで・・」

勇者「先生」

担任「なんだ?」

勇者「もう一度貴族生徒と打ち合いをしたいのですが」

担任「貴族生徒、どうする?」

貴族生徒「もちろん受けて立ちますよ」

担任「よし、なら二人共前へ」

貴族生徒(馬鹿が、何度やっても同じだってことを分からせてやる!)

担任「始め!」

ブン カン カン ブン

平民生徒「勇者はどうするつもりなんだろう。攻めあぐねてるみたいだし・・・」

女生徒「下手な攻撃をしても反撃されるだけだから、様子を見てるんだと思うわ。でも本当にどうするのかしら」

平民生徒「何も考えてないなんてことは・・・」

女生徒「在りうるわね」

貴族生徒「ほらほら、手出して来ないのか!」ブン

カッ

勇者「・・・」

貴族生徒「おら!」ドッ

勇者「くっ・・!」ドサッ

平民生徒「タックルして勇者を転ばせた!?」

女生徒「先生!」

担任「身体ごとぶつけて相手のバランスを崩すのも剣術の内だ。反則ではない」

貴族生徒「ほら、隙ありだ!」バシッ

女生徒「あいつまた顔面に攻撃を・・・!」

担任「一本!」

勇者「・・・」ムクッ スタスタ

平民生徒「あの足腰の強い勇者があんな簡単に転ばされるなんて・・・もしかしてわざと・・」

女生徒「何か企んでるみたいね」

担任「始め!」

貴族生徒「ほらほら、行くぞ!」

カッ カッ カン ブン カッ

勇者「そこだ!」

バシィ! カランカランカラン

貴族生徒「ぶ、武器が・・!」

勇者「隙ありだぜ、大将」

シュッ ピタッ

担任「勇者、貴族生徒は武器を落としてしまったから今のは無効だ。拾うまで待機していろ」

勇者「どうせそんなことだと思ったぜ」

女生徒「首筋に剣を当てていたのに・・・」

平民生徒「よっぽど勇者に勝たせたくないみたいだね」

女生徒「勇者はどうやって勝つつもりなのかしら・・」

貴族生徒「せこい手使いやがって・・・覚悟はいいか?」

勇者「お前こそ、今回はちょっとばかり痛い目見せてやる」

貴族生徒「ふん、出来るものならやって見ろよ、この平民風情が!」ブンッ

勇者「そこ!」カッ

取り巻きA「貴族生徒さんの振った剣に攻撃を当てて弾き返した!」

取り巻きB「最初みたいにする気か?どうせ無駄なのに、学ばない奴だな!」

ゲラゲラゲラ

勇者「ふん!」ドッ

貴族生徒「うわぁ!?」ドサッ

平民生徒「タックルで転ばせた!」

女生徒「さっきと逆ね」

勇者「さて、と。1本目と同じ状況な訳だからもちろん続行だよな?」

担任「・・・」

貴族「こ、この!足をどけろ!」ジタバタ

勇者「なーに言ってるのかなこのおぼっちゃんは。さっきキミがしたことそのままだよー?」

女生徒「右腕と左腕の手首を足先で踏んづけて押さえつけてる・・・」

平民生徒「なるほど、止められないためにさっきわざと倒されたのか」

貴族生徒「や、やめろ、何をする気だ・・!」

勇者「何って今はまだ訓練中だぜ?お前みたいに思い切り頭ぶん殴ったりしないから安心しろよ、な!」ブンッ

貴族生徒「ひぃ・・・!」

取り巻きB「あの野郎、動けない貴族生徒さんの頭に向かって寸止めしてやがる!」

勇者「つっても、顔面にされるとかなり怖いだろうけどな!」ガッ

貴族生徒「ひっ」

取り巻きA「今度は顔すれすれの地面を殴ってやがる!」

勇者「あれー?うまく当たらないなー?」

ガッ ガッ ガッ ガッ

貴族生徒「ひっ、ひぃ・・!どうして終わらないんだ・・!」

勇者「今ここで有効打とっちまうとさっきまでの勝ちも無しになるんだから、そりゃあ寸止めじゃあ止められないだろ。あとスレスレで掠るくらいしかしてないしな」

ビシッ

貴族生徒「ひぎゃっ・・・!」

平民生徒「耳に剣先を・・」

ビシッ ガッ ビシッ ビシッ

女生徒「どれだけ我慢してたかよく分かるわね・・」

平民生徒「今度は横に振って鼻の頭を狙ってる・・。止めなくていいのかな?」

女生徒「自業自得じゃないかしら」

貴族生徒「も、もう、やめぎゃっ・・!」

取り巻きA「おい勇者!お前いい加減にしろよ!」

取り巻きB「卑怯だぞ!」

勇者「はいぃ?言っとくけど俺はお前らが自分の良いように作ったルールで訓練してるだけだぜ?どこが卑怯なんだよ。ほら、言ってみろよ」

取り巻き「うぐ・・・」

勇者「そんなに止めたいならお前ら俺とやるか?こいつの代わりになるっていうんならやめてやるよ」

取り巻き「・・・」

勇者「結局そんなもんだろ。まあ、そろそろ満足したからやめてやるよ」

勇者「参りました」

担任「・・・貴族生徒の勝ち」

貴族生徒「うう・・お前、覚えてろよ!」

勇者「えー、なんのことかわかんなーい」スタスタ

ザワザワ

平民勇者「お疲れ様」

女生徒「少しやりすぎな気もするけど、お疲れ様」

勇者「他の連中みたいに引いたか?」

平民勇者「こういうのは良くないと思うんだけど、すっきりしたかな」

女生徒「別に。ただあんなにするなんてお子様だわ」

勇者「どうせお子様ですよ」

~~

▽校長室

校長「どうして呼び出されたか分かるかね?」

勇者「いいえまったく」

校長「剣術の訓練中に貴族生徒をいたぶって遊んでいたそうじゃないか」

勇者「そんなことしてませんよ。真面目に訓練にはげんでいました」

校長「ではキミは貴族生徒が嘘をついていると言いたいのかね?」

勇者「そんなつもりはありませんが、俺も嘘はついてません」

校長「そうか。ならキミは1週間の謹慎としよう」

勇者「わかりました」

校長「戻ってよろしい」

▽勇者の部屋

ガチャ

勇者「ただいま」

バタン

平民生徒「おかえり勇者。どうだった?」

勇者「1週間の謹慎だとさ。嫌になるぜまったく」ブツブツ

女生徒「あれだけやったんなら仕方ないわよ。貴族生徒が自業自得ならあなたも自業自得ね」

勇者「そんなこと言ったってやっぱり腹立つだろ・・・ってなんで女生徒がここにいるんだよ」

女生徒「別に」

平民生徒「勇者のこと心配してここで待っててくれてたんだよ」

勇者「ふーん」

女生徒「私も貴族生徒が悪いと思うから、あなただけ呼び出されたことに納得がいかなかっただけよ」フン

勇者「あーあーそうですか。期待して損した」

女生徒「じゃあ私は部屋に戻るから」

勇者「おう、ありがとな」

平民生徒「また明日ね」

ガチャ バタン

平民生徒「それにしても1週間の謹慎なんて厳しすぎる気もするけどね」

勇者「やっちまったもんはやっちまったもんとして、明日からどうするかなー」

平民生徒「切り替え早いのは勇者の長所だと思うよ」

勇者「なんだ突然」

平民生徒「なんでもない。それじゃあおやすみ」

勇者「おう、おやすみ」

~~

~~

▽校庭

勇者「あー、久しぶりの娑婆だぜ」

平民生徒「謹慎がとけてから始めての訓練だね」

勇者「おう、もう退屈すぎて干からびるかと思った」

生徒「ヒソヒソヒソヒソ」ビクビク

平民生徒「なんかみんな勇者のこと怖がってるみたいだね」

勇者「なんだって・・!俺はこんなにも優しいっていうのに・・・おいみんなー、そんなに怖がるなよー」

生徒「・・・」ササー

勇者「おい平民生徒」

平民生徒「どうしたの勇者」

勇者「みんなすごい勢いで退いていくんだけど」

女生徒「だからそれも自業自得でしょ」

勇者「うう・・・せめて女の子とはお近づきになりたかったのに・・・」メソメソ

女生徒「呆れた・・・」

平民生徒「まあまあ。それより訓練始まるみたいだよ」

担任「知っての通り、明日から3日間かけて各教科毎の試験が行われる。剣術では二人一組で模擬戦闘を行いその動き等で採点する。勝敗で合否が決まるわけではないがアピール出来なければ得点は低いと思え」

勇者「ちょ、明日から試験かよ」ヒソヒソ

平民生徒「もう、ちゃんと1週間前に伝えたじゃないか」ヒソヒソ

担任「それでは今日は二人一組で各組訓練にはげむように」

勇者「よし、今度こそ組もうぜ」

平民生徒「うん、よろしく」

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