戦士生徒「なるほど、そういえばちらっとだけ耳にした噂でそんなのがあったな」
勇者「え、どんなの?」
僧侶生徒「勇者科に品行方正で真面目な貴族生徒がやり返さないのを良い事に、訓練にかこつけていたぶってる平民出のゲスがいるっていう・・・」
勇者「ちょっ、そんな酷いこと言われてたのか。っていうか俺その噂に出てくる貴族生徒っていうやつ見たことないんだけど。ゲスで同じ名前のやつなら知ってるけど」
魔法使い生徒「どんなやつかと思ってたけどよ、お前がそんなことするやつじゃないってのは何となく分かるから気にすんなよ」
勇者「おう、ありがと」
軍師「30分経ったな。では、今から仮想の状況を説明するので、その状況を打破する作戦を立案してもらう。各パーティーメンバーの特性を活かした作戦を立てることが目的故に正解はパーティーによって違う。よく考え
戦士「なるほど、戦術の時間だけあって面白そうな訓練だな」
勇者「パーティーの戦力をうまく使って論破すればいいんだろ?このパーティーだとすることなんて大体決まってるようなもんだけど・・」
軍師「では状況を伝える。とある町の村長の娘が盗賊にさらわれ人質にされてしまった。人質はアジトの隣の小屋に置かれているがそこに見張りはいない。ただしその小屋へは続く4つの道の入り口にはそれぞれ見張りが一
勇者「・・・思いついたんだけどいいか?」
魔法使い生徒「早いな!」
勇者「いや、これは俺達のためにあるような問題じゃないかと思うくらい、簡単な話だ」
戦士生徒「だな」
勇者「お、戦士生徒も思いついたのか、さすがだな」
僧侶生徒「うーん・・・?」
魔法使い生徒「」チーン
勇者「まぁ行ってくる」スタスタ
軍師「お、早いではないか。では聞かせてもらおうか」
勇者「四人でそれぞれの見張りのところへ行き、それぞれ1人ずつ倒します」
軍師「え?」
勇者「一人1殺」
軍師「僧侶も見張りを倒せると?」
勇者「何故か俺のパーティーみんな力自慢だったんで、出来ます」
軍師「よろしい、ではやってみせてもらおう。あそこに兵士達がいる。あれを見張りの盗賊だと思って作戦を実行してみなさい」
兵士A~D「・・・」
ザワザワ
平民生徒「勇者のやつ、また何か企んでるみたいだ」クスクス
勇者「分かりました」
勇者「おーいみんな、集合」
戦士生徒「準備は出来ているぞ」
魔法使い生徒「待て待て、作戦を説明してくれなきゃわかんねぇって」
僧侶生徒「ボクにも教えてー」
勇者「かくかくしかじか」
魔法使い生徒「なるほど、そりゃあ簡単だ」
僧侶生徒「大丈夫かな・・・」
勇者「大丈夫大丈夫。じゃあ位置についてくれ。俺が走り出したら一斉に突撃してくれ」
勇者パーティー「おう!」
軍師「いつでも始めてもらって構わんぞ」
勇者「では行きますよ。・・・」テクテク
兵士A「うん?なんだお前ら、こっちは通さないから帰りな!」
兵士B「痛い目に遭いたくなかったら引き返した方がいいぜ?」
勇者「・・・行け!」ダッ
勇者パーティー「!」ダッ
兵士「!?」
女生徒「全員足速いわね・・・」
ブンッ
ピタッ
軍師「全員的確に急所に寸止めしている・・・」
ワイワイガヤガヤ
タッタッタ
勇者「見ていただけましたか」
軍師「うむ、見事であった。兵士達はどう思う」
兵士A「いやー、兵士の私達でも見切れない程でした」
兵士B「ああ、完璧だったな」
兵士C「さすが勇者とそのパーティーを目指す生徒達だ」
兵士D「盗賊程度なら余裕で倒せるでしょうね」
軍師「パーティーメンバーの特性を活かした見事な作戦だった。他の者も見習うように」
オオー
勇者「いえーい」ハイタッチ
僧侶生徒「いえーい!」ハイタッチ
戦士生徒「さすが勇者だな」
勇者「いやいや、あれは問題が俺たちにとって簡単過ぎたんだって。実際他のやつらはまだ合格出てないだろ?」
戦士生徒「この結果が偶然だとしても、俺達のことを理解してくれたのは確かだ。感謝する」
魔法使い生徒「戦士生徒の言う通りだな!」
勇者「恥ずかしいからやめろって」
僧侶生徒「避けられてばかりだったから、嬉しいんだよ」
勇者「ったく、恥ずかしいやつらめ」プイッ
ドカッ ボカッ
バタンッ キュー
軍師「失敗だ、やり直し」
貴族生徒「なんだよお前ら!しっかりしろよ!」
軍師「前のパーティーの真似をしたところで上手くいくはずもないだろう。あれはあのパーティーだからこそ上手くいったのだ、貴族生徒は貴族生徒のパーティーメンバーの特性をうまく利用して作戦を立てるがいい」
貴族生徒「くそっ、お前らがちゃんとしないからだ!」
勇者「あいつは見てられねーなー」
戦士生徒「ああいうのは関わらないのが一番だ」
勇者「しごくもっともだ」
~~
勇者「じゃあみんな、またな」
戦士生徒「ああ、またな」
僧侶生徒「またねー」
魔法使い生徒「またな!」
テクテクテク
勇者「ふー、なんだかんだ楽しかったな、パーティー訓練」
平民生徒「勇者、今日は一番手で合格もらうなんてすごかったね」
勇者「平民生徒のとこも合格もらってたじゃねぇか」
平民生徒「他の人達が優秀だったからね、助けられただけだよ」
女生徒「そんなことないでしょ。平民勇者は自分を過小評価し過ぎよ」ツンツン
平民生徒「うわぁ、女生徒、ほっぺたつつかないで・・!」
勇者「でも女生徒の言う通りだと思うけどな。もっと自信持って良いぜ」
平民生徒「あはは、ありがとう」
勇者「それで当たり前のように女生徒も合格もらってたしな」
女生徒「思いつきさえすればどんなパーティーでもなんとか出来るようになってたからね。4人で正面から行って同時に倒す、なんて方法を取ったのは一組だけだけど」
勇者「はっはっは!・・・まぁ、最初はどうしようかと思ったんだけどな、何あの筋肉バカ祭り」
女生徒「見事に偏ったわね」
平民生徒「でも勇者のパーティーのみんな、すごく楽しそうだったよ」
勇者「あいつらかなり優秀なのに、ちょっと変わってるからってずっと避けられてたみたいだからな」
女生徒「そんなところまであなたと似てるのね。何か運命的なものを感じないかしら?」
勇者「ないない。女の子だったら大歓迎だけどな」
平民生徒「あれ、僧侶生徒さんは女の子じゃないの?」
勇者「あれで男だってさ。あいつが避けられてる理由らしい」
女生徒「嘘・・・あれで男の子って・・・私より可愛いのに・・・」
平民生徒「落ち込んじゃったね」
勇者「そういうの気にしないやつかと思ってた」
平民生徒「変わったんじゃない?」クスクス
魔法使い生徒「うるさい!」
~~
▽勇者科教室
担任「えー、連絡してあったように、明日から2週間ほど休暇期間に入る。宿舎に残っても良いがなるべくなら家族に顔を見せてくることだ。息抜きは大事だが鍛錬は欠かさないよう。ではこれで解散だ!」スタスタスタ
勇者「いよっしゃー!待ちに待った長期の休みだ!」
平民生徒「何かするの?」
勇者「いや、まだ決めてないんだけどな。どこか修行しに行こうぜ修行」
平民生徒「うん、いいけど、家に挨拶してからかなー・・」
勇者「もちろんそれが済んでからだ。俺も家に帰っとかないと母さんがうるせぇし」
平民生徒「そうだね」クスクス
平民生徒「女生徒には声かけるの?」
勇者「あいつはどうしようかなー。いるとうるさそうだし」
女生徒「誰がうるさいですって?」
勇者「!」ダッ
ガシッ
女生徒「逃がさないわよ?」ニコッ
ギリギリギリギリ
勇者「痛い痛い痛い痛い手首が潰れる!」
▽勇者の部屋
女生徒「それで、修行ってどこがいいのかしらね」
勇者「考えてないからなー・・・迷いの森とかどうだ?」
平民生徒「あそこって確か勇者様が魔王討伐の時に通って行って魔物を退治したんだよね!?」キラキラ
勇者「ああ、そうだぜ」
女生徒「でもその時にただの森になったのよね・・・?」
勇者「そうだけど、修行には良さそうじゃないか?」
平民生徒「修行って言ったらやっぱり山とか森だもんね!」
女生徒「勇者関連の話だと平民生徒がすごく活き活きするんだったわ・・・」
勇者「憧れてるんなら仕方ないだろ」
平民生徒「じゃあ待ち合わせどうしよっか」
勇者「三日後に王都の門でいいか?」
女生徒「私は大丈夫よ。けど勇者って3の町に家があるのよね?短くないかしら?」
平民生徒「僕も7の町だけどどうだろう・・」
勇者「なんとかするから大丈夫だって」
女生徒「そう・・。じゃあ私は行くわね。また三日後に」
勇者「またな」
平民生徒「また三日後に」
ガチャ バタン
勇者「ほらほら、平民生徒も準備準備」
平民生徒「うん、終わったよ」
勇者「よし、じゃあ行くか」
平民生徒「うん、じゃあまた三日後に」
勇者「何言ってんだ、平民生徒は俺と一緒に行くんだぞ?」
平民生徒「え、3の町とは反対方向だよ?」
勇者「7の町だろ?行ったことあるから知ってるよ」
平民生徒「どういうこと・・?」
勇者「ちょっと手貸してくれ。説明するより早いから」
平民生徒「う、うん」スッ
ギュッ
勇者「転移呪文!」シュンッ
▽町外れ
シュンッ
勇者「到着」
平民生徒「えっ、なんで外に・・しかもここって」
勇者「7の町だ」
平民生徒「うわぁ!勇者って転移呪文使えるんだ!習得するの難しいって聞くのに、やっぱり勇者はすごいなー」キラキラ
勇者「とりあえず手離してからはしゃごうな」
平民生徒「わぁっ、ご、ごめん」
勇者「そんなに謝ることでもないけどな。じゃあ宿屋ででも待ってるから挨拶に行って来いよ」
平民生徒「良かったら家に遊びに来ない?宿屋で待ってるのも退屈でしょ?」
勇者「うん?あー、それもそうだな。じゃあ行ってみるか」
平民生徒「じゃあこっち」ビシッ
勇者(楽しそうだなー)