勇者「お、ここでするわけか」
担任「次はお前だったか。そこの防具をつけて木剣の中から好きな形と大きさのものを使いなさい」
勇者「はーい」
ガサゴソ
勇者「俺の剣に似た感じのは・・・これでいいか」
勇者「準備できました」
担任「よし。魔法は不可だ、剣だけでかかってきなさい」
勇者「あいあいさ。それじゃ、行きますぜ?」
ジリジリ
勇者「・・・」
担任「迂闊に飛び込んでは来ないか・・・。ならこちらから!」
勇者「おら!」
ガッ ブンッ ブンッ カッ ブンッ
担任「やっぱりお前は優秀だな」ザッ
勇者「それほどでもありますな。けど担任さんこそ、普通に強くてびっくりした」
担任「指導する側なら当然だろう」
勇者「それもそうだった」
担任「さぁ、来い」
勇者「うおおお!!」ダッ
ブンッ ガッ ガッ ブンッ ガッ ガッ ガッ ドゴッ
勇者「一本・・だよな?」
担任「ああ、見事な一本だった。合格だ」
勇者「っしゃあ!」
担任「教室に上がって他の者が終わるのを待っていろ」
勇者「あいあいさー」タッタッタ
担任「・・・本気で相手をしていたんだが、な。やはり優秀だ」
~~
▽勇者の部屋
勇者「無事試験突破!」
三人「「「おめでとー!」」」
勇者「いやー、良かったな」
平民生徒「なんとか、って感じだったけどね」
女生徒「でも一本はとれたんだから、誇っていいわよ」
勇者「そうそう、俺もかなりてこずったからなー」
平民生徒「勇者もてこずったなんて、それを聞いたらちょっと安心したかな」
女生徒「そうね」
勇者「俺がてこずらないことの方が珍しい気がするんだけどな」
女生徒「あなたはいつも貴族生徒と組んだりしてるから余裕そうに見えるわよ」
勇者「なるほど」
平民生徒「あはは」
勇者「そういえば明日は式なんだっけ?」
女生徒「そうよ。明日はドレスを着ないといけないみたいだわ」
平民生徒「僕持ってないんだけどどうしよう・・」
女生徒「あら、じゃあ私のを貸してあげるわ」
平民生徒「本当?助かるよ」
勇者「俺は普通の旅立ち用の服でいいや、面倒だし」
女生徒「本当は私もそっちの方がいいんだけど、お父様とお母様が見に来るらしいから着てないと何を言われるか・・」
平民生徒「僕は逆に驚かれそうだね」
勇者「違いない」
勇者「まぁ、今夜は遅くならない程度に騒ごうぜ!」
女生徒&平民生徒「おー!」
~~
▽校長室
校長「勝手なことをしおって、所詮あいつも平民の出か・・。まぁいい、私はここを治める立場、いくらでもやりようはある・・・くっくっく」
~~
▽校庭
王「~~であるから~~が~~で~~」
勇者(話長ぇ・・・。それにしても、ドレスとかの正装に剣だけは持ってるって変な絵だな)
王「~というわけである。つまり、諸君らはついに『勇者』として~~おめでとう!」
パチパチパチパチ
司会「では続きまして、『勇者』の証授与・・・なのですが、勇者学校校長の校長よりお話がございます」
校長「本来ならばここまでの過程を乗り越えた者達を『勇者』として認める神聖な場なのだが、一人相応しくない者がいる」
ザワザワ
校長「その者は学友を脅し、卑怯な手で試験にも合格した。よって『勇者』としての資格は与えないものとする。そしてその者の名は、勇者、キミだ」
ザワザワ
勇者「あっはっはっは、笑っちまうね!」スタスタ
平民生徒「勇者が笑いながら校長のところへ・・!?」
女生徒「拡声器のところへ行って何かする気かしら」
勇者「俺も言いたいことがあったから丁度良かったぜ。俺は小さい頃に聞いた『勇者様』に憧れてここに来た。それがなんだ、身分がどうとか立場がどうとか、そんな下らないこと言ってるやつが勇者を語るな!」
校長「!?」ビクッ
勇者「お前らが欲しいのは『勇者』の肩書きだけだろうが。俺はそんな腐った肩書きなんかに興味ねぇからな、こっちから辞退させてもらうぜ」ポイッ
スタスタ
校長「この・・・生意気な平民め!」
勇者「二言目にはそれだ。そんな頭でっかちで魔族と仲良くなんて出来るのかよ・・・いや、そういう考えすら無かったなこいつらは」ヤレヤレ
校長「これ以上バカにすると許さんぞ・・!」
ザワザワ
勇者「どうなるのか教えてほしいな・・・って、うん?」
校長「な、なんだあれは・・・?」
ズシン ズシン
保護者A「5メートルはありそうな黒い鎧がこっちに向かって歩いてくるぞ!」
闇の衣「オオオオオオオオオオオオ!!!」
ビリビリ
勇者「なんて声だ・・!」
平民生徒「何あれ・・さっきまでいなかったのに」
ワー キャー
保護者C「あ、あれは、伝説で聞いた魔王の闇の衣だ!!」
王「魔王が現れたのか・・!?」
勇者「ちっ、とにかく戦うしかないな。みんな剣を抜け!」
貴族生徒「バカかお前、勝手に死んでろ!」ダッ
ワー モウダメダー ニゲロー
勇者「ダメだこいつら、ほとんど逃げ出そうとしてやがる」
校長「ひ、避難しなければ・・・!」
担任「責任者が真っ先に逃げてどうする!せめて保護者と来賓の避難を優先しろ!」ガシッ
校長「うるさい!私はまだ死にたくないんだ!」
勇者「幸いこっちに真っ直ぐ来てるみたいだから、ここで食い止めれば被害は少ないはずだ・・・」シャキン
平民生徒「勇者、僕も付き合うよ」
勇者「平民生徒・・」
女生徒「こんなことになるならやっぱりドレスなんて着てくるんじゃなかったわ」
勇者「女生徒まで・・よし、俺達は『勇者』になるんだ。行くぞみんな!」
女生徒「ええ!」
平民生徒「うん!」
闇の衣「オオオ・・・・・」スゥ
勇者「あれ、闇の衣が消えて・・・」
平民生徒「いなくなっちゃったね」
女生徒「なんだったのかしら」
校長「・・・・はっ。・・オホン、危機は去ったようだな」
貴族生徒「あんなのでビビってたら『勇者』の名が泣くぞ!」
勇者「うわ、いまさらかっこつけてる」
女生徒「かっこ悪いわね」
王「ほっほっほ、何ごともなく良かったのう」
勇者父「どうも、王様」
王「ゆ、勇者様!?」
ザワザワザワザワ
勇者「あれが、勇者様・・!?」
平民生徒「でも勇者様って生きてたとしてももう80手前なんじゃ・・」
勇者父「ん?ああ、なんか加護の力とかで歳とらないんだ。それで王様、俺が頼んでたのと違うんじゃないですかねー?」
王「違うとは一体・・」
勇者父「『勇者』を育ててくれとは言ったけど、精神的なもの鍛えなくてどうすんですか。しかも校長とかなにあれ、あんなのが頭にいたらろくなもん育たないでしょうが」
校長「何・・!?貴様、勇者様と言えど根拠も無しに人を侮辱するとどうなるk」
勇者父「担任」
担任「はい」
校長「何!?まさかお前・・・!」
勇者父「担任は俺の知り合いの弟子でな、色々報告してもらってたんだわ。それはもう不正とかばっちりよ?」
校長「うぐぐ・・・」
勇者父「で、あんたは勇者っていう生徒がこの場に相応しくないとか抜かしてたが、逆に相応しいのは何人いるのかな?」
勇者父「俺が見るに、さっき黒い巨人が出た時に立ち向かおうとした生徒はたったの3人だ。お前が相応しくないと言った勇者を含めてな?」
校長「それがどうした!さっき剣を構えたからといって『勇者』の名を汚す行為をしたのは事実なのだから、『勇者』の資格を与えることは出来ない!」
勇者父「人には戦わなければならない時は必ず来る。その時に誰かを守る為に立ち向かう勇気があれば、誰でも『勇者』になれるんだ。その相手から真っ先に逃げ出す者に『勇者』を名乗る資格なんて無い!」
校長「ひっ!」ビクッ
勇者父「王様、校長はクビにして担任を新しく責任者として推薦します。人間と魔族との摩擦を無くす存在なのだから、肉体の強さだけじゃだめなんです」
王「すまない、ワシの考えが及ばなかった。全て勇者様の言う通りにしよう」
元校長「そんな・・・」ガクッ
勇者父「分かってもらえればいいんです」
勇者「あ、あの・・・!」タッタッタ
勇者父「君が勇者だな」
勇者「はい!」
勇者父「さっきの啖呵は見事だったぜ、お前なら立派な『勇者』になれるさ。後ろの二人もな」
平民生徒「あ、ありがとうございます!」
女生徒「お会いできて光栄です!」
勇者父「俺もまだまだ捨てたもんじゃないな。ほら、三人に『勇者』の証だ」
勇者「でも俺は・・」
勇者父「確かにこれは俺みたいな天から与えられたものじゃないが、大事なのはこれを手にしてからだ。君達の行動次第でこれは本物の『勇者』の証にだってなる。応援しているよ」
三人「ありがとうございます!」
勇者父「ああ、それと勇者」
勇者「なんですか?」
勇者父「実は勇者のお父さんにはお世話になったことがあるんだ。そのお礼と言ってはなんだがこの剣を押し付けよう」ス
平民生徒「これって伝説にも出てくる聖なる剣カリボール・・!?」
勇者「こんなすごいものもらってもいいんですか?」
勇者父「毎日朝になると堂々とそりたっててキモいから手放したかったところだ、もらってやってくれ」
勇者「あ、ありがとうございます」
平民生徒「勇者がしどろもどろになってるけど、憧れの勇者様が目の前にいるから仕方ないよね」ヒソヒソ
女生徒「ええ、かなり珍しいけれど私もどうしていいか分からないから勇者のことを言えないわ」ヒソヒソ
平民生徒「しかも剣までもらっちゃって、いいなー」ヒソヒソ
勇者父「それじゃあ俺はまた旅に出る。またどこかで会えたらいいな」
勇者「はい、またどこかで!」
勇者父「君のお母さんにもよろしく言っておいてくれ」スタスタ
勇者母(もう、突然一芝居うつのに手伝ってほしいなんて手紙を送っておきながら挨拶もしないで行っちゃうんだから・・・)
勇者「まさか本物の勇者様に会えるとはな!まだ興奮が冷め遣らないぜ!」
平民生徒「僕達を応援してくれるって!」
女生徒「恥ずかしくない立派な勇者になりましょう」
勇者「ああ、そうだな!」
~~
▽王都_門
勇者「旅立ち日和だな!」
男戦士「ああ、そうだな」
勇者「準備は万端か!?」
男僧侶「忘れ物はないはずだよ!」
男魔法使い「この鍛え抜かれた筋肉さえありゃあどこへだって行けるぜ!」ムキッ
勇者「ああ、なんで卒業してまでこのメンバーなんだ」
男戦士「俺たちみんなお前に惚れたんだ、仕方ないだろ?」
勇者「もちろん人間としてだよな?」
男戦士「最初の仕事は2の町で魔族と人間が揉めているらしいからそれの問題解決だ」
勇者「あえて触れないことにしよう」
男魔法使い「うっしゃあ、楽しみだな!」
男僧侶「がんばろー!おー!」
勇者「ま、俺も自分なりの『勇者』を目指して頑張るか」
男戦士「どうした勇者、置いていくぞ」
勇者「ああ、今行く」
勇者「行ってきます、父さん」ペコリ
『勇者「ここが勇者学校か」 貴族生徒「何お前?」』~完~
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