勇者「ここが勇者学校か」 貴族生徒「何お前?」 12/14

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▽牢屋

魔法使い生徒兵「睡眠呪文!」

兵士「zzz」バタッ

勇者兵「よし、鍵をもらってっと・・・。魔法使い生徒、そいつの代わりに見張りしといてくれ」

魔法使い生徒兵「任せとけ」

勇者「獅子魔族さんはっと・・・いた!」

平民生徒「獅子魔族さん!」ガシャッ

獅子魔族「主ら・・どうしてここに」

勇者「助けに来たんだよ」

獅子魔族「忘れたのか、ワシは主らを騙して・・」

勇者「俺達を助けるために嘘ついたのくらいお見通しだから、そんな演技しなくていいぜ。さっさと帰って1週間記念のパーティーでもしよう」

ガチャリ

獅子魔族「勇者・・・すまんな」

勇者「じゃあこれを振りまして」

ボワン

獅子魔族兵「おお、こんな物を持っていたのか」

勇者兵「家の倉庫にしまってあってな、ガキの頃よく遊びに使って叱られたもんだ」

平民生徒兵「見つかったら騒ぎになるから早く外に出よう」

勇者兵「そうだな、魔法使い生徒、戻るぞ」

魔法使い生徒兵「了解!」

~~

戦士生徒兵「お、戻ってきたみたいだな」

僧侶生徒兵「ほんとだ、おーい!」

勇者兵「うまくいったからさっさと逃げよう、三人共、ありがとうな!」

戦士生徒兵「困ったことがあればまた呼んでくれ」

魔法使い生徒兵「この筋肉で良かったらいつでも助けてやるからな」

僧侶生徒兵「また学校で!」

タッタッタッ

~~

▽迷いの森_獅子魔族の家

勇者「ふう、うまくいったな」

平民生徒「だね」

女生徒「お城に忍び込むなんてなかなか出来ない体験だったわ・・」

獅子魔族「ありがとう、助かった」

勇者「散々お世話になったからな、気にしないでくれ」

平民生徒「でもこれからどうしようか」

獅子魔族「せっかく作った家だが引っ越すしかないかのう・・」

勇者「それは問題無いぜ。この変化の杖があれば、人間の姿で生活できるからな」

女生徒「なるほど、それがあれば怖がられることもないわね」

勇者「というわけではい、俺たちからの出所祝いだ」

獅子魔族「ありがたく使わせてもらうとしよう」

勇者「じゃあ獅子魔族さんがいないのがバレた時に疑われるとまずいから、俺達は部屋に戻っとこう」

女生徒「そうね」

平民生徒「じゃあ獅子魔族さん、また遊びに来るね」

獅子魔族「いつでも来るとよい」

勇者「またな。転移呪文!」シュンッ

~~

▽学校_勇者の部屋

平民生徒「勇者、起きて、勇者」

勇者「んん・・・」モゾモゾ

平民生徒「今日からまた訓練が始まるのに、そろそろ起きないと間に合わないよ」

勇者「・・・はっ、どうしてもっと早くに起こしてくれなかったんだ」ドタバタ

平民生徒「勇者がもう少し、もう少し、って言ったんじゃないか」クスクス

勇者「ですよねー」

平民生徒「ほらほら、急いで朝ごはん食べないと」

勇者「分かってるって」

~~

▽勇者科教室

勇者「はよーっす」

ザワザワ ヒソヒソ 

勇者「ん?なんか様子が変だな」

女生徒「おはよう。貴族生徒が色々言いふらしてくれたみたいだわ」

勇者「いい加減しつこいだろ・・・」

平民生徒「どんなこと言われてるの?」

女生徒「魔物の手下になって貴族生徒を襲ったとか、捕まった魔物を脱走させたとか」

勇者「ほっとけほっとけ」

平民生徒「二つ目は間違ってないしね」クスクス

取り巻きB「うわー、魔物の手下が来たぞー!」

取り巻きA「逃げないと魔物をけしかけられるぞー!」

貴族生徒「みんな、あいつらには気をつけるんだ」

勇者「お、貴族生徒、マントにゴミがついてるぞ・・・・火球呪文」ボソッ

貴族生徒「ふん、今更媚びても無駄だからな!」スタスタスタ

メラメラ

取り巻きA「き、貴族生徒さん・・ま、マントが!」

貴族生徒「うるさいな、マントがどうしたって・・・うわー!?」バタバタバタ

勇者「ぶふっ、大慌てで走って行きやがった!」ゲラゲラゲラ

取り巻きA「あ、貴族生徒さん!待ってください!」ドタドタ

平民生徒「もう、放っとくんじゃないの?」

勇者「ああいうのは無視が1番だろ、俺は仕返ししないと気がすまないけどな」

女生徒「ガキね」クスクス

勇者「ガキで結構」

ガラッ

担任「どうしたお前ら、早く席につけー」

ガヤガヤ

担任「今日は抗議の前に卒業試験の話がある」

担任「卒業試験は各教科毎で行われるが、剣術以外は合格の必要は無くなった」

ザワザワ

担任「剣術以外は実地で鍛えていくのが1番という判断からだ」

担任(単に他の教科担当の講師が買収出来なくて貴族生徒の卒業が危ういというだけの話だがな・・・)

担任「だがそれぞれの成績で派遣先なども決まるので、卒業に関わらないといっても手は抜かないように」

担任「以上だ。最初は交渉術の授業だから待機しておけ」スタスタスタ

勇者「ふー、一番の難関だった交渉術は合格する必要がなくなってほっとしたぜ」

平民生徒「だめだよ、そんなこと言ってたら。さっきも手を抜かないようにって言われたでしょ?」

勇者「そうは言われてもなー・・・まぁ出来る限りは頑張るさ」

~~

~卒業試験前日~

▽勇者の部屋

勇者「いよいよ明日か、ドキドキしてきたな」

平民生徒「だね。僕も今から緊張してきたよ」

女生徒「ここまで残ったんだから、絶対卒業してみせるわ」

勇者「その意気だな」

勇者「ところで、女生徒はどうしてここにいるんだ?」

女生徒「私がここまで頑張れたのもきっと2人が一緒だったからだと思うのよ、だから最後に一緒にいたかっただけ。・・・その顔は何、悪いかしら?」

勇者「いや、悪いことはないんだけどよ、珍しく素直だからびっくりしただけだ」

平民生徒「もう、そういうこと言っちゃだめだよ」

勇者「お、おう。でも、お前がここまで残れたのはお前自信が誇りを持って『勇者』を目指したからだ。仲間がいたから頑張れるってのはそうだろうけど、それは俺達も同じだからお互い様だぜ」

平民生徒「うん、僕もそう思うよ」

女生徒「・・・じゃあ私はそろそろ戻るわ。明日は頑張りましょう」

勇者「当然。じゃあまたな」

平民生徒「また明日」

ガチャッ バタン

勇者「俺達もさっさと寝ようぜ」

平民生徒「うん、おやすみ勇者」

勇者「ああ、おやすみ」

~卒業試験当日~

▽校庭

商人「ではこれより、交渉術の卒業試験を行う」

商人「試験の内容はこうだ。君たちはある島へ渡らなければならないが、現在この近くで使用できる船は一人、つまりワシしか持っていない。ワシは船に乗りたければ2000Gを払うよう条件を提示した。しかし君達は1

ザワザワ

商人「そして持ち物は、わずかな食料、剣や鎧などの装備品、そして500Gほどの価値の物だ。これから1時間の間に交渉成功すれば合格だ。時間内なら何度失敗しても構わないので最後まで諦めるなよ?では開始だ!」

平民生徒「卒業試験だけあって難しいね・・・」

勇者「うぐぐ・・・」

女生徒「あら、こんなの簡単よ」

勇者「もう分かったのか」

平民生徒「さすが女生徒だね」

女生徒「じゃあ行って来るわ」シャキン

勇者「待て」ガシッ

女生徒「どうして止めるのかしら?」

平民生徒「女生徒、その剣はどうするつもり?」

女生徒「もちろんこれを相手の首筋に当てて・・・」

勇者「それは交渉じゃなくて脅迫だ!」

女生徒「いいアイディアだと思ったんだけど、ダメかしら」

勇者「論外だな」

平民生徒「さすがにそれは駄目じゃないかな」

女生徒「仕方ないわね、別の方法を考えるわ」スタスタ

勇者「今何人か抜いた剣をしまったな」

平民生徒「みんな同じこと考えてたみたいだね」

勇者「こいつら物騒すぎんだろ」

~~

商人「よし、そこまでだ。合格者は38人中26人か・・頑張ったな」

平民生徒「惜しかったね」

勇者「ぐあー・・・やっぱり交渉術なんて苦手だ」

女生徒「もしこれの結果が卒業に関わってたら終わってたわね」

勇者「ぐふっ」

平民生徒「そうだね、ちょっと反省したほうがいいよ」

勇者「がはっ」

勇者「とりあえず、次だ次!気を取り直して行こうぜ!」

~~

軍師「戦術の試験では全科合同のパーティー戦闘を行う。最初に10分の時間をとるので各パーティーで作戦を立てて試験に臨むのだ」

軍師「時間になったら順に2パーティーずつ呼ぶので、専用のフィールドで戦ってもらう。勇者が倒されるか降参、もしくは全員降参したら敗北となる。では作戦会議始め!」

勇者「どうせ俺達はあいつらとだろ」チラッ

貴族生徒パーティー「ヒソヒソ」ニヤニヤ

勇者「あいつバカだからすぐ終わりそうだ」

戦士生徒「それでも油断はしない方がいい、あのパーティーは貴族生徒以外は各クラスの成績1位だからな」

勇者「総合成績で1位のやつにだって、自分の得意な状況なら勝てるさ。特に俺達のパーティーはまさに個性の塊だからな」

魔法使い生徒「照れるぜ」ムキッ

勇者「照れるな、ほめてない」

戦士生徒「それで、作戦はどうする?」

勇者「そうだな・・・」

~~

軍師「次、勇者と貴族生徒」

勇者「やっぱりか・・・。フィールドは平らな場所に所々石柱が置いてあるだけのシンプルなものか・・」

軍師「では両パーティー端と端に行け。5分後に開始だ」

勇者「はーい」

~~

軍師「開始の合図を放て」

魔法使い生徒C「火球呪文!」ボッ

勇者「合図が上がったな。所定の位置に素早く移動して待機だ。合図したら魔法使い生徒、頼んだぞ」

魔法使い生徒「おう!」

戦士生徒「俺と僧侶生徒は少し行ったところの左右の端の石柱に隠れて待機だったな」

勇者「そうだ。じゃあ3人とも、頼んだぞ」

三人「応!」ダッ

勇者「さて、俺はのんびり歩いてまっすぐ行くか」スタスタ

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