少年「っつ!」
少年「……金か?」
「いいえ、もっと稼いでもらう為少女様は遠方に行って貰います」
少年「そんなの奴隷……」
「孤児院にお子様を移す理由は……分かりますね?」
少年「人質……か」
「ご名答です」
「あっ……外には兵が居ますので、抵抗などしないように」
少女「話が違うよ!私が犠牲になれば今後一切関わらないって……!」
「さて?」
「お子様を授かる迄続いていた関係です、今更ですよ」
少年「外道がぁ!」
「さてお引き渡しください」
少女「子供は巻き込まないで!」
「……連れて行け」
少女「子供はやめて!」
少女「ねえ!」
少女「ねえ!」
少年「やめろお!」
少年「離せえ!」
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もう駄目だ。
手遅れ。
赦してくれ。
俺を赦してくれ。
俺のせいでお前は。
あああああああああああああああああ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
少年「……」
「手紙が届いてるよ」
「……宛先は、宗教からだね」
少年「……!」
「失礼するよ」
少年「宛先は……少女……」
しょうねんへ
てがみがきょかされました
このてがみはだれにもみられないことをどれいになることにより
やくそくされています
じをかくのはなれないね
しょうねんごめんなさい
わたしのせいでつらいおもいをしたね
こどもはずっとこじいんだって
でもね
わたしはこれいじょう
たえられないや
ごめんなさい
どこのこじいんかはわからないけど
ころされないのはほしょうされてるって
めんどうをみるのは
こじいんのひとたちだから
ごめんね
ごめんね
だいすきだよ
なによりも
だれよりも
こどもとしょうねんは
さいあいのひと
いちばんあいしています
でも
わたしはじぶんがゆるせません
さきにいきます
こんどはもっとしあわせになろうね
らいせもいっしょだよ
少年「……」
駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ
やめてくれ
やめて
生きてくれ
死なないでくれ
少年「ああああ!」
少年「はぁはぁー!」
少年「少女!」
少年「少女!」
「どうしたんだい?慌てて」
少年「奴隷が載せられる馬車を知らないか!?」
「……ああ、それならあそこに」
「あっ!ちょっと!勝手に……」
「行ってしまった」
少年「少女!」
少年「あっ……!あっ!」
少年「どうしてだよぉ!」
少年「……」
糞以下だな、どうしても。
子供は何処に居るのかも分からない。
全て、終わった。
少年「あああああああああああああ!」
少年「があああああああああああああ!」
少年「糞糞糞糞糞糞糞糞糞ぉ!」
少年「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
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少年の叫びと同時刻の事……
「はあ!」
「……」
「剣が壊れましたね」
「傷一つも無いぞこの餓鬼……」
「ひっく」
「悲しみを受け取った」
「この世界全ての悲しみを……」
「行け!殺せ!」
「愚かな……」
「ひっ……ひい!」
「……最高の気分だ」
「我が魔が全てを滅ぼそう」
「我が眷属達よ、たった今より人類を滅ぼそう」
「魔王と魔物の誕生だ」
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「魔王……伝説の存在が産まれるとはね……」
「ひっ!ひい!」
「赦してくれ!」
「たのむ!」
「俺と少女を汚した人間50名……」
「宦官になってまで権力を手に入れた甲斐があったな」
「貴様等をたった今から殺せるのだから」
「ひいぃ!」
「……ヤレ」
少女……俺にはこれぐらいしか出来ないよ……
赦してくれ……
「処分終わりました……大教祖様……」
「ああ……さようなら」
「ぐっ……」
さて……終わったな、俺も向かうよ少女……
其の前に、ゴミを片付けないとな。
「今日子供が王様の馬車に轢かれたってさ」
「まじかよ……」
「可哀想に……」
「……子供の為に祈りを捧げて、明日に死ぬか……」
「!?」
「あ……れ?」
「おっ……おお……!」
「おおおおお……」
会えて良かった……会えて良かった……!
最愛の息子だ……!
……が、伝説と、一致する勇者……私の元に置いては、宗教上の抗争に巻き込まれて危ない……
国に預ける他は無い
私が父などと知る必要も無い……
国に頼もう……
「ーー世界を救う覚悟がありますか?」
勇者「……」
勇者「強い」
神父「魔王ですからね」
神父「神の加護を……」
魔王「待っていたぞ」
勇者「待たせたな」
魔王「よい」
魔王「66回目だ、行くぞ!」
魔王「今日の剣も中々、重い」
魔王「衝撃だけで此処迄の威力を出せるのだからな……」
魔王「……!」
魔王「何とか、躱す事ができた……」
勇者「くっ……」
魔王「勇者、強くなったな」
勇者「お前の命に届かなければ、意味が無いな」
魔王「ふっ」
勇者「ぐっ……!」
魔王「終わりだ」
魔王「ほぉ……」
勇者「はぁ……はぁ……」
魔王「案外、丈夫になったな」
勇者「お陰様でな!」
魔王「くっ……」
勇者「うおおおお!」
俺の勝ちだ……!
だが……
ーーこれで良いのか?
……迷うな。
魔王「……」
一か八かに掛けてみようか……
勇者「これで終わりだああああ!」
勇者「……!」
魔王「終わりだ」
神父「意外と持ちましたね」
勇者「やっぱりあいつ、強いな……」
神父「……」
勇者「あいつと闘うと……こう。血肉湧踊ると言うか……」
神父「……無理をなさらぬ様に」
勇者「分かった……」
神父「所で、貴方は魔王に勝ったら……何をするおつもりで?」
勇者「……」
似ている……
神父「無計画に単純だと火傷しますよ?」
勇者「俺は俺の行くままに生きるさ」
神父「負ける事は許されませんよ」
勇者「……分かった」
神父「神よ……」
勇者「……」
魔王「何時もより遅いな」
勇者「理由は分かっているだろ?」
魔王「大体な」
勇者「多分俺達の闘いも、もう終わりだ」
魔王「まだ67回目だろう?」
勇者「……楽しもう」
魔王「無論」
勇者あと少し闘えば、俺が勝ってしまう。
それまで……楽しむ……魔王との時を……
魔王「勇者……私は、お前を殺したく無い」
勇者「はっ……」
勇者「魔王だって、それなりに傷を負っているくせにな……!」
勇者「もう69回だ……次は俺が勝つ!」