勇者「パーティーの中で、俺が一番弱いんだよな……」 5/16

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魔法使い「戦士と僧侶が泣くぞい」

勇者「あいつらは仲間だろう。その、なんだ、信頼しているから」

魔法使い「ほっほ」

勇者「笑うな!」

魔法使い「あやつらはお前さんにガチじゃからのう。女の部分を殺して接しているのを知っておけ」

勇者「嘘だろ?」

魔法使い「ホントじゃよ。なんで一緒の部屋に男女が泊まって何も起こらんかわかるじゃろ」

勇者「……俺が我慢してるからだろ?」

魔法使い「かーっ、アホか!」

勇者「なんだよ」

魔法使い「お前さんが我慢してるなら、なんで相手は我慢していないと思うんじゃ?」

勇者「……さあ」

魔法使い「まあじゃあ、論点を変えてみよ。なんでわしらはお前さんのパーティーに入っとるんじゃ?」

勇者「戦士は俺がお願いしたからで、魔法使いと僧侶はオススメされたからだな」

魔法使い「あんぽんたん」ゴッ

勇者「いてぇ!」

魔法使い「そりゃお前さんから見ての理由じゃろ」

勇者「……相手の気持ちになって、ってことか?」

魔法使い「そういうことじゃ」

勇者「……」

魔法使い「指揮官なんだから、相手の心理状態をちゃんと知っとらんとな」

勇者「ちなみに、魔法使いは?」

魔法使い「女の子と遊ぶ金が尽きちまったからの」

エルフの村。

エルフA「ひい! 人間が、人間がー!」

エルフB「さらわれてしまうわー!」

魔法使い「さらいはせんぞー、さわりはするがのー」

戦士「おい、ジジイ」

勇者「戦士、悪いがここの長と話している間、じいさん捕まえといてくれ」

戦士「その方がよさそうだな」

魔法使い「エルフの尻もいいもんじゃのう」

僧侶「もう、魔法使いさん! エルフは清らかな乙女の種族なのですよ!」

魔法使い「そりゃ一部の連中の思い込みじゃ」

僧侶「な、なんでですか」

魔法使い「エルフは自然への造詣が深く、魔力も高いが、反面、自然の影響を受け易いことがある」

僧侶「はあ」

魔法使い「森に住むなら、森の魔力を利用した技術に長けるが、ほれ、森っちゅーのは美しい自然の空気を生み出すこともあれば、瘴気を孕むこともあるじゃろう」

僧侶「そ、それは……」

魔法使い「エルフはそういうのに弱くて、ころっと全滅することもあれば、影響を受けて闇の世界に堕ちる連中も多い」

魔法使い「敏感なんじゃ!」サワッ

エルフC「ひゃいっ!」

戦士「ふん!」ぼかっ

エルフC「きゃあああ!」タタタッ

魔法使い「本気で殴らんでくれんか」

戦士「殺す気では殴ってない」

勇者「……あー、ちくしょう」

戦士「どうした、うまく行かなかったのか」

勇者「とにかく人間不信で、長にあわせてももらえなかった」

魔法使い「ダメダメじゃのう」

僧侶「やはり、汚れている人がいるから……!」

魔法使い「勇者の下半身はまだ清らかなのにのう」

勇者「やかましいわ」

魔法使い「ま、ええじゃろ。嫌悪感を持つ相手に、理解してもらおうとしても長い時間がかかる」

勇者「そうかもしれないが、やっぱり不愉快だ」

魔法使い「完璧主義じゃな。すべてすっきりすることばかりではあるまい」

勇者「せっかく来たんだから、なんか手に入れたいと思ってさ」

魔法使い「貧乏性じゃな。この世にカラの宝箱がいくつあると思ってるんじゃ」

勇者「だけどさ!」

魔法使い「面倒じゃのう……」

魔法使い「仕方ないの。おーい、娘っ子。お菓子をやるから出ておいで」

エルフC「……」ジーッ

魔法使い「知っとるか、強力なエルフは愚かな人間の持ち物をさっそうと奪って、逃げてくものじゃ」

エルフB「」ヒソヒソ

エルフA「あっ」

エルフC「……えいっ」タタタッ

魔法使い「ほれ」サッ

魔法使いはぺろぺろキャンディーを勇者に放り投げた!

エルフC「もう!」

魔法使い「ほい、速度鈍化呪文」ぼうん

エルフC「あ、あー、しぃまったぁああ」

魔法使い「ほれ、勇者。確保確保」

勇者「これじゃ本当に誘拐だろ……」

エルフC「は、放してぇ!」

勇者「うーむ」

魔法使い「放す前に質問じゃ。さらわれたのは誰じゃ?」

エルフC「女王様の子どもだよ!」

魔法使い「ふーむ。さらったのはどんなやつじゃ?」

エルフC「大きくて毛むくじゃらのニンゲン!」

魔法使い「よし、よく出来ました。ペロキャンは三つある。弓矢を向けてる子にもあげるんじゃぞ」

魔法使い「勇者、放してやれ」

勇者「あ、ああ」パッ

エルフC「あ、えっと……」

エルフC「ば、ばーかバーカ!」タタタッ

魔法使い「よしよし、分かったな」

戦士「……何がだ?」

魔法使い「戦士は毛の処理はしとるのかのう」

戦士「今後は殺す気で殴ろうか」

魔法使い「さっきの毛むくじゃらのニンゲンに当てはまるのかと思ってな」

僧侶「え、え? どういうことですか」

勇者「……人間と揉め事があったわけじゃないって言いたいのか」

魔法使い「エルフの人間嫌いっていうのは、枕ことばみたいなところがあってな」

魔法使い「わざわざこの森を訪ねてくる人間も多くないだろうに、人間にさらわれたってのは妙じゃな、と思ったんじゃ」

戦士「大きくて毛むくじゃらの……魔物かな」

魔法使い「かもしれんの」

勇者「周辺を探索してみるか。何か見つかるかもしれない」

魔法使い「ほいほい」

探索中。

勇者「……魔法使い」

魔法使い「なんじゃい。わしは疲れたから休憩するぞい」

勇者「ありがとう、俺のわがままに」

魔法使い「ほあ?」

勇者「エルフの連中に首突っ込むなんて、面倒なことやってさ」

魔法使い「お前さんは、親父よりはマシだな」

勇者「なんでだ?」

魔法使い「あいつはちっとも感謝をせんかったからのう」

勇者「……そうなのか」

魔法使い「そうじゃ。ま、あれじゃよ、きっと他人を信頼できなかったんじゃのう」

勇者「……」

魔法使い「一人旅しとったしな」

勇者「でも、親父は強かっただろ」

魔法使い「んん? 強さにはいろいろあるからのう」

勇者「剣の才能も、魔法の知識も……」

魔法使い「人を助けようっていう心もか」

勇者「うん。俺には、どれも……足りてない」

魔法使い「そうかのう」

勇者「旅してれば、あの勇者の息子のーって目で見られるじゃん。で、与し易しって顔して、足元を見てさ」

魔法使い「……逆手に取っているような気もするがのう」

勇者「どこがだ?」

魔法使い(宝物庫を荒らしたり、盗賊を偵察に使ったり……自覚がないのか)

勇者「だから、正直な話、俺は助かってるよ。仲間がいて」

魔法使い「……」

勇者「魔法使いにも、いっぱい世話になってるからな」

魔法使い「難儀な性格じゃの」

勇者「ん?」

魔法使い「お前さんが女の子だったら、ハーレム状態でおさわりし放題だったのにのう」

勇者「ああ?」

魔法使い「実は男に育てられた女の子だったりしないのかの」

勇者「だとしたらなんだよ。尻でも触る気か」

魔法使い「うっひゃひゃひゃ」

勇者「色ボケジジイが」

僧侶「勇者様ー! 洞窟見つけましたよー!」

……その後、魔物の洞窟から子エルフを救出した。

港町。

四人「かんぱーい!」

僧侶「良かったですねー! 船が手に入って!」

勇者「散々、糞みたいな大臣が渋りやがったが」

戦士「だが、これで海向こうの大陸にも渡れるな」

魔法使い「となれば、わしの出身地に行くことになるんか」

勇者「魔法使い、向こうの生まれなのか」

魔法使い「そうじゃよ。ま、魔物が強すぎて、もう生まれた村はぶっ潰されとるがの」

僧侶「え……」

戦士「それは、その」

魔法使い「うむ。村をたたんでは、別の地で村を作り、魔物に襲われては次の土地へ行くという生活でな」

勇者「そりゃ大変、だったのか?」

魔法使い「土地土地のお姉さんのおっぱいを揉みまくってたの」

戦士「おいジジイ」

魔法使い「ほっほ」

魔法使い「ほれ、この地図で言うとな、この北の方に村があってな。やっぱり北方系は乳の大きさ、柔らかさが違ってのう」

戦士「……で?」

僧侶「正直、同情心の湧いた自分を裁きたいです」

魔法使い「それでな、ここにはお城があるんじゃ。昔から鉄壁という噂でな」

勇者「……胸板も鉄壁の子が多いとか」

魔法使い「正解!」

戦士「勇者、このジジイはそろそろ別れるべきだろう」

僧侶「魔法使いさん、変態発言は勇者のパーティーにふさわしくありません!」

魔法使い「揉めば大きくなるぞい、といってたっぷりほぐしてやってな」

勇者「ああ、そう……」

魔法使い「今じゃあの娘らもいい年だが、魔物に追われて一緒に全力ダッシュしたのう、このへんで」

勇者「今も村はあるのかね」

魔法使い「どうかのう。勇者、お姉ちゃんたちの孫でも娶りに行くかい?」

勇者「やかましい」

魔法使い「うひゃっひゃ」

女商人「いや~、随分楽しそうですねぇ」

戦士「誰だ、お前は」

女商人「女商人ですよ~、勇者さんと同郷のね」

勇者「……知らないが」

僧侶「何か用ですか、四人で楽しく飲んでたのに」

女商人「勇者さんが、海を渡るって聞いて、いてもたってもいられなくなってしまいまして~」

魔法使い「おお、そうか、パーティーに加わりたいのか」

勇者「おい、魔法使い」

女商人「おおー、そうなんですよ~。この先、お役に立てるんではないかと」

魔法使い「ふむ……」

勇者「いや、四人で十分だし」

女商人「いや~、どうでしょうかねぇ。勇者さんのお父様は、随分一人で苦労されたそうですし~」

勇者「……」

女商人「私は~、お役に立てると思うんですよね~」

女商人「勇者さんは有名になってきましたし~、これからもいろいろ交渉が来ると思いますし~」

女商人「そういうのがですね……」

魔法使い「なるほどのう。ではまず乳を見せてもらわんとな」

女商人「……は?」

魔法使い「このパーティーでは、女性の乳を重視することになっておってな」

魔法使い「戦士ちゃんは筋肉質なかっちりおっぱい。僧侶ちゃんはすべすべの微妙なふくらみおっぱいになってるんじゃ」

女商人「……」

魔法使い「それを超える、おっぱいアピールが必要じゃな!」

勇者「そうだな」

女性陣「!?」

魔法使い「じゃろう! おっぱいアピールをすべきじゃ!」

魔法使い「はよう! かもかも!」

戦士「ゆ、勇者?」

勇者「俺は、おっぱいにはそれほどこだわらないが……」

勇者「戦士のおっぱいも、僧侶のおっぱいも、素敵だと思う」ヒック

僧侶「よ、酔ってますね!?」

魔法使い「キターーー!」

勇者「戦士のはがっしりしてるけど、所々が柔らかいんだぁ」ヒック

戦士「ゆ、勇者……」

勇者「僧侶は小柄なのにけっこうずっしりしてるんだよな」ヒクッ

僧侶「ゆゆゆ、勇者様!?」

勇者「女商人はどうなんだ?」

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