女勇者「強くてニューゲームっ♪」 2/16

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魔物「なんだ今のは?人間」

戦士「!!」

バキッ

戦士「ぐわぁあ!??」

女勇者「あ!…レベル4じゃちょっと早かったかな…?睡眠魔法!(大)」

戦士「む?」ぐら…

魔法使い「え…え?」ばたっ

僧侶「すぴー…すぴー…」

女勇者「わぁ!僧侶ちゃん立ったまま寝てる!?やーん、かわいすぎ!!」

ボス「な!?仲間を眠らせた…バカか貴様!?」

女勇者「ごめんね?私、何回やっても仲間が怪我するの嫌いなの」

女勇者「この子達まだレベル4だよー?そんな本気になってどうするの?」

ボス「いや、でもボスは強いもんだし、一回くらい全滅してもらわないと…」

女勇者「ふぅん、ボスは強いかぁ。じゃあ君も、『勇者は強い』で納得できるんだね?」

ボス「お前が勇者?フリフリのドレスを着た、武器も持たない小娘が!ははは、笑わせるな!」

女勇者「勇者がドレス着たら悪いの?」

ボス「へ?」

女勇者「ねぇ、勇者がドレス着たらおかしい?」

ボス「魔物と戦おうという勇者が、戦闘の場にドレス?はははは!こんな勇者では人間も不憫だな」

ズカァァァァン!!!!!

ボス「!?」

勇者「もう、ひどいこと言わないで」

ボス(え?え?壁に穴開いてる?外見えてる?)

ボス(今素手で壁殴った?)

勇者「女の子なんだよ、これでも」

勇者「このドレス、戦士くんも似合ってるって言ってくれたんだよ」

ボス「ふん、その人間も頭がおかしいのだろう!」

勇者「もうしゃべらないで」

がしっ

ボス「うぎゃああああああああ!?な、なんて握力…!?」

ボス「体重500キロを超える私を…片手で…」

女勇者「何回会ってもムカつく事ばっかり言って…」

女勇者「ねぇ、私が望んで勇者に生まれたと思った?」

女勇者「こんな恰好して、普通の子みたいに暮らしてみたいと思うのがそんなにおかしい?」

グググ…

魔物「…ぐぁ…!!」

女勇者「おかしいよね。私は勇者だもんね!」

ググ…

魔物「……!」

グ…

女勇者「良いよ、私だって勇者に生まれた責任があるもんね」

女勇者「バカな魔物に教えてあげる。勇者は強いんだよ」

魔物「ぎゃああああ!!」

ぐしゃっ

【宿屋】

戦士「はっ!?」ガバッ

女勇者「あ、起きた?身体は大丈夫?」

戦士「俺は…敵はどうなった?」

女勇者「なんとか勝てたよー。皆眠らされちゃって、危なかったけどね」ニコ

戦士「俺は眠っていたのか…済まない」

女勇者「えへへ、大丈夫!誰も大怪我はしてないみたいだしね」

戦士「ここは…宿屋?どうやってここまで…」

女勇者「うん。私…じゃなくて、通りすがりの人に手伝ってもらって、ここまで皆運んできたんだよー」

僧侶「…う~ん?」むくっ

魔法使い「ん…」

女勇者「あ、みんな起きたみたいだね。おはよ!」ニコ

魔法使い「あれ…ここは…?」

僧侶「あれ?勇者様、ドレスは…?」

女勇者「え?えへへ、捨てちゃった」

戦士「捨てた?あんなに喜んでいたのに?」

女勇者「うん。私は勇者だから、やっぱりあんなの似合わないしね。えへへ」

戦士「…」

女勇者「さ、みんな疲れたでしょう?今日はここで休んで、出発は明日にしようよ」

戦士「そうだな。今日はゆっくり身体を休めよう」

僧侶「賛成ですぅ。私疲れちゃって…」

女勇者「ふふ、僧侶ちゃんったら立ったまま寝てたくせにぃ!」

僧侶「ふぇ?そ、そうなんですかぁ?」かぁぁ

魔法使い「まぁ。立ったまま寝るなんて、なかなか出来ませんよ」くす

僧侶「す、すみませぇん…」

女勇者「あはは!可愛かったからよし!」

戦士「勇者殿…ひとつ頼みがあるんだが」

女勇者「はいはぁい。なんでもどうぞぉ!」

戦士「あの…俺も他のメンバーと同じ部屋というのは抵抗があるんだが…」

女勇者「えー?どうして?」

戦士「女性と同じ部屋で眠ることはできないな。もう一部屋借りられないだろうか」

女勇者「うーん、一緒がいいなぁ。二部屋だとお金もかかるし、それに」

戦士「それに?」

女勇者「こうやって皆でお話して、パーティの結束を固めたいの!ダメかな?」

戦士「…むぅ……。わかった、そういう事ならばしかたがないな」

女勇者「えへへ、ありがと」ニコ

僧侶「あ、もう夕方ですねぇ。そろそろお店が閉まっちゃうなぁ」

魔法使い「本当ですね。なにか必要なものがありましたら買いに行きましょうか?」

戦士「いや、俺が行こう」

魔法使い「え?戦士さんが?」

戦士「うむ。個人的にほしいものもあるのでな。勇者殿、構わんか?」

女勇者「うん、私はいいよー?」

戦士「では。なにか必要なものは?」

女勇者「うーん、じゃあ薬草を5個お願いできる?」

戦士「了解した」

ガチャ

女勇者「さて!じゃあ行こうか!」

僧侶「ふぇ?どこにですか?」

女勇者「決まってるじゃない!戦士くんの後をつけてみようよ」

魔法使い「え…」

女勇者「だって、個人的にほしいものって何だか気にならない?」

僧侶「そ、それは気になりますけどぉ…」

魔法使い「もしかしたら武器とかじゃないですか?戦士さんは武器好きそうだし」

女勇者「そうかな?えへへ、とにかくついていってみようよ!ね?」

魔法使い「もう、しょうがないですねぇ…」くす

女勇者「やったぁ!」

戦士「…」スタスタ

女勇者(お、まずは道具屋さんだね)

僧侶(まず最初にお使い頼まれたものを買いに行くんですね。偉いですぅ)

魔法使い(え?普通そうじゃありませんか?)

僧侶(えへへ、私は最初に自分のほしいもの買っちゃって、お金足りなくなったりするんです)

戦士「すまないが、薬草をくれ。5つ」

道具屋「はいよ、薬草。誰か病気でもしたのかい?」

戦士「いや、旅の途中なのでな。備えだ」

道具屋「ってことは、あんた勇者様一行かい?そういう事なら、ほら。これサービスだよ」

戦士「おお、かたじけない」

僧侶(道具屋のおばちゃん優しいですねぇ)

女勇者(戦士くんが男前だからだね。感謝感謝)

戦士「…」スタスタ

魔法使い(今度は武器屋に向かいましたね)

僧侶(やっぱり武器好きなんですね。うふふ、この前鋼の剣買ってもらったばっかりなのに)

女勇者(新しい武器欲しいのかな?言ってくれれば買うのに)

戦士「親父。すまないが、買い取って欲しいものがあるんだが」

親父「おう。品物見せな」

戦士「以前私が使っていた武器だ。古いものだが、買い取ってくれるか?」

親父「ほぉ…かなり使い込まれてるな。悪いが、400Gが限界だな」

戦士「おお!十分だ。それから、この…」

女勇者(昔の剣を…売っちゃった…あんなに大切にしてたのに)

僧侶(そんなにお金が必要なのかな…?)

魔法使い(…?)

魔法使い(あ!)

女勇者(魔法使いちゃん?どうしたの?)

魔法使い(いえ、その…お金の使い道…っていうか、その)

僧侶(?)

魔法使い(えっと…この街の外れに、そういうお店があるんです)かぁぁ

女勇者(ああ、そういえばあったかも)

僧侶(??)

魔法使い(もしかしたら、そこに…行かれるのかもしれません)

女勇者(えへへ、戦士くんも男の人だもんねぇ。そっかぁ)

僧侶(どういうことですかぁ?)

魔法使い(ですから…今日は、女の人と泊まるでしょう?だから…そう、転職!転職しに行くんですよ)

僧侶(ふぇ?もう転職できるんですかぁ?)

女勇者(あはは、僧侶ちゃんは知らなくていいよー)なでなで

戦士「ありがとう。すまないな、ワガママを聞いてもらって」

親父「おうよ。頑張りな。応援してるぜ」

戦士「うむ。それでは、また寄らせてもらう」

親父「おー。またよろしくな」

僧侶(あ、今度は防具屋さんですね)

魔法使い(あ、あれ…?違うのかな?)

女勇者(戦士くんが剣を売ってまでそんな事するはずないって信じてたよ!)

戦士「邪魔する」

防具屋「いらっしゃいませ。何をお求めでしょうか?」

戦士「…ドレスを見せてくれ」

防具屋「……はい?」

女勇者(!!)

戦士「あー。その…仲間に女性が居るんだ」

防具屋「なるほど。でしたら、こちらがございますよ」

防具屋「皮のドレス 450G

シルクのドレス 2000G

花嫁のドレス 8000G」

戦士(所持金460G…)

戦士「…この、皮のドレスという奴は、女性が着ても恥ずかしくないものか?」

防具屋「そうですねぇ。おしゃれとは言えませんが、普段着になさるなら問題ないかと」

戦士「そうか…。よし、これをくれ」

防具屋「かしこまりました。ありがとうございます」

女勇者(戦士くん…)

魔法使い(戦士さん、疑っちゃってごめんなさい…)

僧侶(わぁ…。戦士さん、優しいなぁ)

戦士「ありがとう。では…邪魔したな」

防具屋「ありがとうございました」ペコリ

がちゃ

戦士「…」スタスタ

女勇者「戦士くん!!」

戦士「うわ?!ゆ、勇者殿?」

女勇者「えへへへ」ニコニコ

戦士「…見ていたのか」

女勇者「えへ、ごめんなさい!!」ニコニコ

戦士「……お恥ずかしい」

女勇者「これ、私に?」

戦士「…高価なものではないのだが。本当はもう少しいいものをあげたかった」

女勇者「ううん。嬉しいよ!ありがとう戦士くん!」

戦士「喜んでくれれば幸いだ。…君は、俺たちとは違って望んで戦っているわけではない」

女勇者「…戦士くん」

戦士「しかし、これくらいの事は罰が当たらないだろう。似合うと思うぞ」

女勇者「…えへへ。泣かそうとしてるでしょ?」

戦士「いや、そんなつもりでは…」

女勇者「ふふ。さっそく装備して来ていい?」

戦士「ああ、もちろんだ」

たったった

女勇者「えへへ。戦士くん、ありがとう…」

女勇者

皮のドレス E

防御力 999 → 999

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