僧侶「ゆ…しゃ、さま…」
魔法使い「終わりましたね……」
女勇者「……うん」
僧侶「…戦士さんは、その…」
女勇者「わかってるよ。復活魔法じゃ生き返らない…よね」
僧侶「はい。あまりにも肉体の損傷が激しくて…すみません…」
女勇者「僧侶ちゃんが悪いんじゃないよ」ニコ
女勇者「…それに、復活の方法がないわけじゃないしね」
魔法使い「え?」
女勇者「…えへへ。私、はじめて勇者に生まれて良かったと思うよ」
僧侶「え?まさか…」
魔法使い「いけません!!」
女勇者「私の命を与えられる魔法。勇者にだけ許される魔法があるんだ」
僧侶「……そんなの、いやです」ぽろぽろ
女勇者「私のHPMPなら、きっと生き返ると思うんだよね」
魔法使い「…戦士さんは、喜ぶでしょうか?勇者様が犠牲になって、喜ぶでしょうか?」
女勇者「…どうだろー?ただ、私が助けたいだけだから…」
女勇者「これも、私の正義だから…反対しないで欲しいんだ」
僧侶「…えぐ……ひ、…う……」
魔法使い「……」
女勇者「二人には、話しておくね。本当のこと」
僧侶「本当の…事…?」
女勇者「うん。私が今まで生きて、体験してきたことを…伝えなくちゃね」
女勇者「どうやったらこのループを抜け出せるのか、必死に考えて、色々試してみて…」
女勇者「色々あったんだよ、本当に。傷の事で仲間から見放されたりもしたの」
僧侶「そんな…ひどい…!」
女勇者「時には、気がおかしくなっちゃうような時だってあったんだ。そして今回…」
女勇者「やっと答えを見つけられたと思ったんだよ…?」
魔法使い「勇者様…」
女勇者「傷の事も受け入れてくれて、私っていう人間も受け入れてくれて…」
女勇者「正義の葛藤の答えにも近づけて…やっと、やっと…終わると思ったのに!」
女勇者「初めて出会えた素晴らしい仲間を…死なせてしまった…!!」ぽろぽろ
僧侶「勇者様…」
魔法使い「わかりました。…もう泣かないでください。ね?」
女勇者「うっ…うぅうう……!!」ぽろぽろ
魔法使い「辛かったですね…。勇者様」なでなで
女勇者「うん…うん…!辛かった…辛いよぅ…!!」ぽろぽろ
魔法使い「私達を素晴らしい仲間だと思ってくれて、本当に幸せです」
女勇者「うん…!だ、から…戦士くんを……!生き返らせ…て…!」
女勇者「私はどうせ、も、一回…」
魔法使い「……勇者様が決めたことですものね。私達も、最後までお付き合いします」ニコ
女勇者「う…うぇぇん……」
僧侶「落ち着きましたか、勇者様?」
女勇者「うん。…えへへ、最後までみっともないところ見せちゃってごめんね」
僧侶「ふふ、そんなことありませんよぉ」
女勇者「本当に…今までありがとうね、二人とも」
僧侶「私こそ…本当にありがとうございました」
魔法使い「勇者様、私達の事…忘れないでくださいね」
女勇者「もちろんだよ。戦士くんにも、目覚めたらありがとうって伝えてね?」
僧侶「…はい。必ず、伝えます」
女勇者は静かに目を閉じ、自分の生命力を両手に集め始めた。
女勇者の命が光となってパーティの頭上から降り注ぐ。
僧侶の体力が回復した。
魔法使いの体力が回復した。
戦士は生き返った。
女勇者は力尽きた。
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【SCENARIO】 ○○ ○○
【WRITER】 ○○ ○○
【CHARACTER DESIGN】 nanashi
【SPECIAL THANKS】 VIPPER
【PRESENTED BY】 ◆r3yksmPHg2
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女勇者「……ふぁ。……また、かな」
女勇者「…これで、11回目の旅立ちかぁ」
女勇者「……あは、ははは」
『…さま』
女勇者「あぁ、まだ…幻聴が聞こえる」
『…しゃさま…』
女勇者「さっきまで、一緒にいたんだもんね…」
『勇者様!』
女勇者「……」
・
・
・
女勇者「!?」がばっ
僧侶「ああ、良かった…!!!勇者様!!」
女勇者「え…?僧侶ちゃ…ん?あいたた…」ズキ
僧侶「あ、まだ無理なさらないでください…ボロボロなんですから」おろおろ
女勇者「ど、どうして…私…自己犠牲魔法で、死んだはずじゃあ…」
戦士「…勇者殿、申し訳ない…!!俺がふがいないばかりに…!!」
女勇者「戦士くん!生き返ったんだね!良かったぁ…でも…どうして…?」
僧侶「ふふ、私も忘れてたんですけどね、勇者様…一緒にお風呂入った夜、覚えてますか?」
女勇者「うん…素振りしてた日、だよね?」
僧侶「あの日、私隠れてちょっと見てたんですけど、勇者様一人でなんて言ってましたか?」
女勇者「え?なにか言ってたっけ…?」
僧侶「覚えてませんか?ふふ、勇者様はね…こんな事言ってたんですよ」
女勇者「…あ!私も忘れてた!」
僧侶『自爆魔法でも死ねない身体になっちゃったけど』
女勇者「あは、あはは…」
僧侶「あの時はただの冗談だと思ってましたけど、さっきのお話聞いて思い出して…」
僧侶「倒れた勇者様も、まだやっぱり息があって…必死に回復魔法かけたんです」
女勇者「そうだったんだ…」
僧侶「でも…良かった」じわ
女勇者「そうだね、ありがとう僧侶ちゃん…」ニコ
僧侶「よかったですよぅ、勇者さまぁ!!」ぎゅ
女勇者「自爆魔法なんて最近は絶対に使わないから、忘れちゃってたのかな…?」
魔法使い「…勇者様、ループは抜けられたんですね」
女勇者「うん。みんなのおかげだよ…本当にありがとう」
魔法使い「…良かった。私も、本当にうれしいです」じわ…
戦士「うむ。本当に……勇者殿についてきて良かった。ありがとう」
女勇者「私も…戦士くんがいてくれて、本当によかったよ」ニコ
女勇者「…えへへ、約束…果たせたね」
戦士「うむ」
女勇者「一人も欠ける事無く、平和な世界を…!!」
戦士「さぁ。その平和な世界を…俺達が望んだ光景を、皆で見に行こう」
女勇者「あ、待って!まだやらなくちゃいけない事があるんだ」
僧侶「ふぇ?なんですかぁ?」
女勇者「魔法使いちゃん、移動魔法で連れてって欲しいところがあるの。いいかな?」
魔法使い「はい、どちらへでもお連れしますよ」
女勇者「…皆、生贄の町へ行こう」
戦士「あの町に?構わんが、いったいなぜ?」
僧侶「…あの町、ですか…」
女勇者「うん。さ、行こう!」
【エンディング・生け贄の町跡地】
女勇者「あの、生け贄の子がこれを持っていたんだ…」
『思い出のペンダント』
女勇者「お父さんのお墓に備えて欲しいって…」
戦士「…俺達は、この町を救えなかったんだな」
女勇者「うん…」
僧侶「忘れてはいけませんね。私達だけじゃなく、世界中の人々も…」
魔法使い「様々な犠牲の上、やっと手にした平和だという事を…ですね」
女勇者「…このループで、本当に色んなことを見つけたよ」
戦士「そうか。そのために勇者殿はループを繰り返してきたのかもしれないな」
女勇者「…うん。そうなのかも」
戦士「そして…ループの答えはわかったのか?」
女勇者「えへへ、いっぱいありすぎて。自分の正義とか、本当の強さとか…」
女勇者「でもね、どれも私だけじゃ見つけられなかった…戦士くん、僧侶ちゃん、魔法使いちゃん」
女勇者「皆に会えたからこそ、私は…成長できたんだと思う」
女勇者「やっぱり、皆にめぐり合うためにループしてたんじゃないのかな」ニコ
女勇者「ああ。やっと望んだ平和に会えるんだね……」
女勇者「さぁ、これを供えて…」
女勇者は思い出のペンダントを墓の前に置いた。
廃墟と化した町の片隅に暖かい風が吹き、墓の前に咲く花が静かに揺れた。
女勇者「………」
戦士「さぁ、行こうか勇者殿。いつかの約束を果たしに行こう」
僧侶「え?なんですかそれ?」
戦士「前に勇者殿と飲んだときにな。平和になったらもう一度行こうと約束したんだ」
魔法使い「え、私知りませんよ?連れて行って欲しいなぁ」
戦士「もちろんだ。みんなで行くに決まっているだろう。なぁ勇者殿?」
女勇者「うんっ!!さぁ、私達の望んだ平和を見に行こう!」
僧侶「あ、あの私、あんまりお酒は…」
女勇者「あはは!気にしない気にしない!つぶれちゃえばいいよ!さ、行こ!」
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【SCENARIO】 ○○ ○○
【WRITER】 ○○ ○○
【CHARACTER DESIGN】 nanashi
【SPECIAL THANKS】 VIPPER
【PRESENTED BY】 ◆r3yksmPHg2
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