女勇者「強くてニューゲームっ♪」 1/16

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16

女勇者「…」パチ

女勇者「…ふわぁ…眠い…」

女勇者「さて、と。また旅立つ朝がやってきた」

女勇者「これで10週目か!記念すべき旅立ちだなぁ」

女勇者「パラメータと所持金が持ち越されてるから…うわ!50万Gもある」

女勇者「うふふ、前回の旅では武装しかしてなかったし、今回はちょっとオシャレしちゃおうかな?」

ガチャ

母「あら勇者、起きてたのね」

女勇者「うん!おはようママ」

母「…今日は旅立ちの日ね」しゅん

女勇者「そんな悲しい顔しないでよママ。私は大丈夫!」

母「そうね。あなたは勇者だもの」

女勇者「そうそう!強いんだからっ。じゃ、行ってきます!」

母「勇者…」

女勇者「まずは王様に挨拶だっけ。それから仲間を見つけて…」

女勇者「前回は一人旅、前々回は全員戦士…今回はオーソドックスに行こうかな」

女勇者「よし!戦士(男)、僧侶(女)、魔法使い(女)に決定!」

女勇者「ふふ、戦士くんはハーレムになっちゃうなぁ」

女勇者「という訳で、君達が私と共に旅してもらう仲間です!よろしくね」ニコ

戦士「うむ。出来るかぎりの力になろう」

僧侶「あ…あの、よろしくお願いします」もじもじ

魔法使い「よろしくお願いいたします」ペコリ

女勇者「うんうん、頼りがいのあるメンバーだねっ。よろしく!」

女勇者(とは言え…みんなレベル1なんだよなぁ…)

女勇者「じゃあ早速だけど、武器防具を揃えようか?」

戦士「そうだな。戦いに備えよう」

女勇者「うん!敵は手ごわいからねー。じゃあ戦士くんにはこれっ!買ってあげるよ!」

【はがねの剣 1500G】

戦士「ぬぉあ!?こ、これを…俺に?」

勇者「もちろん。戦士くんみたいな強い人には良い武器が似合うもんね」ニコ

戦士「かたじけない。有り難く使わせてもらう」

勇者「ついでに兜と鎧と盾も買っておいたからねー」

僧侶「あ、あの…勇者様…?」

勇者「うん?」

僧侶「すみません、その…はじめからお金を使い過ぎじゃないでしょうか…?」

勇者「僧侶ちゃん」がしっ

僧侶「ひぁ!?す、すみません私なんかがでしゃばっちゃって…」わたわた

勇者「ふふふ、かわいいなぁ僧侶ちゃんは。大丈夫大丈夫!お金はあるからね」

僧侶「そ、そうなんですかぁ…」

勇者「ちょっと色々あってね。ほら、僧侶ちゃんにも法衣と金の杖!」

僧侶「うわぁ。これ、私が使っても良いんですか?」ぱぁっ

勇者「あーん、もう!僧侶ちゃんかわいい!おまけに魔法のイヤリングもつけちゃう!」

魔法使い「…」じーっ

女勇者「ふふ、もちろん魔法使いちゃんにも。杖とマント、それに道具一式も!」

魔法使い「わぁ。私うれしいです。お役に立てるよう頑張りますね」ニコ

女勇者「うん!ふふ、魔法使いちゃんもかわいいなあ」

戦士「勇者どの。あなたの装備はどうする?」

女勇者「あ、私?別にいらないかなー」

戦士「?」

女勇者「代わりと言っちゃあなんだけどさ…これ、似合う?」

戦士「……ドレスだと?」

女勇者「うんっ。さっき買っちゃったぁ!ちょっとは女の子らしいかな?」

戦士「あの、非常に似合ってはいるが…何と言うか、旅を嘗めてはいないか」

女勇者「むぅ…」

女勇者「なめてないよぅ!ちょっと男前だからって勇者をバカにしないでよー」

戦士「しかしそれでは危険だ。勇者とは言え、君は女の子だ」

女勇者「女の子でも強いもん!」

戦士「…女が怪我をするのを見たくないんだ」

女勇者「…もう。ちょっとドキドキしちゃうじゃない」

戦士「俺が守れる時は良い。だが自分の身は自分で守るのが鉄則だろう」

女勇者「大丈夫だよ!危なくなったら助けてね」ニコ

戦士「う、うむ…」

女勇者「では、装備も調った所で!さっそく旅立ちますよー」

ニコニコ

戦士「いざ!」

僧侶「が、頑張ります…」びくびく

魔法使い「頑張りますね、勇者様!」

女勇者「うん!さぁまずは…おっと、モンスターが出たよー」

魔物「ぐるる…」

戦士「!」ざっ

僧侶「ひぁ!?モ、モンスター!」

魔法使い「…怖い…」

戦士「勇者殿、俺と前衛へ。僧侶は最後列で回復、魔法使いはサポートを頼む!」

僧侶「は、はぁい!」

魔法使い「わかりました。勇者様、お気をつけて!頑張って下さい」

勇者(えへへ…初々しいなぁ。1週目はわたしもこんな感じだったっけ?)クス

戦士「ぬりゃああ!」ばっ

魔物「ぐがぁーーー」

ずばっ

女勇者「ねぇねぇ戦士くん」

戦士「むん?勇者殿、戦闘中だぞ。集中しよう」

女勇者「えへへ、戦士くんって強いんだね」ニコ

戦士「…はっ?」

魔物(戦士にスキが!)

魔物「ぎゃーす!」ずばぁっ

戦士「う!!」ズキ

僧侶「きゃ!せ、戦士さん!回復をっ!」

戦士「いや…たいした事はない。勇者殿も戦闘に集中してくれ」

勇者「う~…ごめんなさい」

魔法使い「よし、火炎魔法の詠唱できました!皆さん伏せて下さい!」

勇者「今まで詠唱してたんだ…」

魔法使い「えい、火炎魔法ー!」

ぼっ

魔物「ぎゃーー!」

魔物を倒した!

戦士「危なかったな。…勝ててよかった」

僧侶「実践は怖いですぅ…」

魔法使い「ごめんなさい、私がもっと早く魔法を出せるようになれば…」

戦士「…」ズキズキ

女勇者「あ、戦士くん…」

女勇者(腕を怪我しちゃってる…)

戦士「さぁ、先を急ごう。もっと強くならなければ」

女勇者(回復魔法(小)…)ボソッ

ぱぁぁぁ

戦士「ん?腕の痛みが…なくなった?」

女勇者「さぁ!戦士くんの言う通りだねー!先を急ごう!」ニコニコ

戦士「まず最初の目的は、北の洞窟にいく事だったな」

女勇者「そうだよー。近くの村が被害にあってるらしいから、そこの魔物を退治してくれって」

僧侶「被害…」びくびく

女勇者「被害って言っても、時々農作物を荒らされるくらいだからね。怖がらなくて大丈夫だよ」ニコ

魔法使い「あ!あれが洞窟の入口ですね!」

女勇者「うん!皆、準備は良い?行くよー?」

戦士「勇者殿。その前に陣形を組み直してはどうだろう?体力の多い私か勇者殿が前、僧侶は最後列にした方が良くないか?」

女勇者「それもそうだね!じゃ、戦士くんが先頭、僧侶ちゃんが最後!二番目に私が行くよ」ニコ

戦士「了解だ。さぁ、入ろうか」

ざっざっざ

女勇者「戦士くん、しっかり誘導してね」

戦士「うむ。迷ったら済まない」

女勇者「大丈夫だいじょうぶ!皆のレベル上げにもなるしね」ニコ

戦士「そうだな。勇者殿は向上心があるな。いいことだ」

女勇者「向上心…向上心かぁ」

戦士「?どうかしたか?」

女勇者「ううん。ありがと」ニコ

僧侶「あ、あのぅ…勇者様ぁ」トテトテ

女勇者「僧侶ちゃん、なぁに?」

僧侶「あの、あの…少しお願いがあるんです…でもただのワガママだし…」

女勇者「えへへ、全然構わないよ!言ってみて?」

僧侶「その…最後列、怖いです…」うるうる

女勇者「!」きゅん

女勇者「僧侶ちゃんはかわいいなぁもう!よし、じゃあ私と交代しようか」ニコ

僧侶「すみません…」

戦士「勇者殿」

女勇者「はいはーい、なんですか?」

戦士「すまない、道に迷ってしまったようだ…」

女勇者「えへへ、だろうと思った!さっきから何回も同じところ歩いてるもんね」

戦士「かたじけない…」

女勇者「いいのいいの!誰だって最初は迷うよね」

戦士「?」

女勇者「それに、レベルアップにもなったじゃない!戦士くんも強くなったでしょう?」

戦士「うむ…一応レベルは4になったが」

女勇者「ほら、迷った事もあながち悪いことばっかりじゃないよ!ね?」ニコ

戦士「そうだな。俺も勇者殿のようにプラス思考を心がけなければ」

女勇者「えへへ、私はバカなだけだよぅ」

戦士「しかし勇者殿、先ほどから体調でもわるいのか?」

僧侶「ふぇ?勇者様、体の調子わるいんですか?悪いならすぐ言ってくださいよぉ…」おろおろ

女勇者「いや、全然?大丈夫だよ?どうして?」

戦士「さっきから戦闘中も身を守ってばかりなのでな。少し気になった」

女勇者「…」

戦士「勇者殿?」

女勇者「ううん、大丈夫。心配してくれてありがとう」

戦士「まぁ…無理に戦闘に参加せずとも構わない」

女勇者「…戦士くん」

戦士「戦いは強制されるものではないしな。ましては勇者殿は女の子だ」

戦士「武器よりもドレスを望むような子だ。勇者として生まれなければ、別の生き方があっただろう」

女勇者(…勇者として生まれなければ、かぁ…)

戦士「しばらくは戦闘は俺たちに任せておくといい。なぁみんな?」

魔法使い「もちろんです。勇者様、私たちにお任せください」ニコ

僧侶「勇者様は、私の後ろで応援しててください。頑張りますからね」

女勇者「みんな…」

魔法使い「そして、ちょっとずつでも良いから戦闘に慣れていきましょう?」

魔法使い「はじめは見てるだけで良いんです。ちょっとずつでも、必ず戦えるようになります」

戦士「俺も最初はそうだった。敵が怖くて仕方なかった」

戦士「しかし場数を踏むほど、恐怖は薄れていくものだ」

女勇者「ありがとう。でも…私、戦いが嫌いなわけじゃないんだよ。ううん、むしろ好きかも」

女勇者「ただちょっと訳があって、皆に戦ってるところは見られたくないの。ごめんね?」

僧侶「良いんですよぅ。皆で協力して、勇者様を守っていきますから」ニコ

僧侶「だから、怪我したり病気になったらすぐに言ってくださいね?」

女勇者「僧侶ちゃん…ありがとう」

僧侶「あ!あそこの扉…」

魔法使い「…どうやら、最奥部のようですね」

戦士「皆、準備は良いか?勇者殿、心の準備は?」

女勇者「えへへ、大丈夫!」

戦士「ここで待っていてもいいんだぞ?」

女勇者(…なんだか、こんなに女の子扱いされるの久しぶりだな…)

女勇者「大丈夫!私も行くよー!」

戦士「よし、では!いざ!!」

バタン!!

ボス「なんだ貴様らは?」

戦士「村人から話は聞いた。お前がここの親玉か」

ボス「ふん、人間ごときが私に叶うとでも思うのか?かかって来い!」

女勇者(ここの魔物も変わらないなぁ…)

女勇者(身体ばっかり大きくて、それに見合った攻撃力もないし)

女勇者(見かけは怖いけど、実際はただのノロマだもんなぁ)

バシュ!!

戦士「ぐあぁ!!!」

僧侶「きゃぁぁあ!せせ、戦士さん!回復魔法ー!!」

ぱぁぁ

戦士「はぁ、はぁ、…かたじけない。魔法使い、サポートしてくれ!」

魔法使い「了解!詠唱の間時間稼ぎをお願いします!」

ガキィィン!

バシッ!!

魔法使い「よし、出来ました!戦士さん、伏せてください!」

戦士「おう!」

魔法使い「ブツブツブツ…火炎魔法!!」

ぼぉっ!!

僧侶「はぁ…はぁ…やりましたか…?」

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16