【魔王城・屋上】
商人「ふぅ……少々長い階段でしたな……」
商人「おわっ外が暗い! 今は昼間のはずじゃあ……」
賢者「! 商人さん、階段から離れてください!」
商人「へっ? のわっち!!」
ズズズ ズー……ンン……
商人「か、階段が塞がれた……出口が……」
戦士「商人よ。覚悟を確かめ、武器を構えろ。そして」
戦士「この屋上の中央を、目を凝らしてよく見ろ」
商人「ん……あ、あれは……あの影は!!」
『…………』
勇者「魔王……!」
魔王『……』
魔王『お前が勇者か』
魔王『……』
商人「で、でかい……我々の背丈の4、5倍はありますぞ……!」
戦士「ふっ。先の側近とは比べ物にならん威圧感だ」
賢者「……頭部に被り物、全身が長い外套で覆われています。正体不明の外見……」
賢者「攻撃手段、耐性が分からない。皆さん、気をつけてください!」
勇者「うん……!」
勇者は 伝説の剣を 向けた!
勇者「魔王! お前を倒しにきたぞ!」
勇者「さぁ、最後の戦いだ!」
魔王『……』
魔王『余は』
魔王『魔族の王である』
魔王『ゆえに魔族に仇名すものは』
魔王『全て滅ぼす』
ビリビリ ビリ
勇者「くっ」
商人「うおっ」
戦士「な、何という圧力……!」
賢者「これが魔王……!」
魔王『勇者よ。余は待っておった。お前が来ることを』
魔王『今こそ我が宿命を果たすとき』
魔王『来るがいい』
魔王『余は――魔王である』
賢者「殺気! ここからです!」
勇者「みんな、いこう!」
戦士「うおおおおっ!」
商人「アイテムはお任せくだされ!」
魔王のころもから はげしいほのおが ふきだした!
魔王のころもから こごえるふぶきが ふきだした! ▼
戦士「ぐああぁっ!!」
勇者「ブレス攻撃だ! みんな距離を取って!」
賢者「魔王の正体はドラゴン……!?」
賢者は フバーハを となえた!
勇者たちを やさしい ひかりのころもが つつみこんだ! ▼
魔王は イオナズンを となえた!
魔王は マヒャドを となえた!
パーティーは ダメージを うけた! ▼
商人「ぬわーっ!」
勇者「じゅ、呪文までっ!?」
商人「さ、さすがにアイテムは出し惜しみできませんな!」
商人は けんじゃのいしを つかった!
パーティーの キズが 回復した! ▼
賢者は ベホマラーを となえた!
パーティーの キズが 回復した! ▼
賢者「この遠距離では不利です!」
戦士「言われずとも突撃だ!」
勇者「固まっちゃだめだ! 散開して三方向から攻めよう!」
商人「ワ、ワシもですかな!?」
魔王『……』
魔王のころもから はげしいほのおが ふきだした!
パーティーは ダメージを うけた! ▼
戦士「効かん!!」
勇者「よし、左右から同時攻撃だ!」
賢者「まだ正体が分かりません、お二人とも気をつけて!」
勇者(よし、魔王はこっちの動きについていけてない! いける!)
戦士「うおおおっ!」
勇者「やああっ!」
勇者の こうげき!
戦士の こうげき!
魔王『……』
魔王のころもから 岩石の腕が とびだした!
魔王のころもから こんぼうが とびだした! ▼
勇者「えっ!?」 ガガッ
戦士「何っ!?」 ガギッ
魔王『……』
魔王のころもから つるぎの たばが とびだした! ▼
戦士「うおおおっ!?」
勇者「うわああっ!」
商人「うわっとっと危ない!」
戦士「ぐっ……あのマントの中身はどうなっているのだ……」
勇者「固まっちゃ危ない!」
魔王は ベギラゴンを となえた! ▼
商人「い、いったん退きますぞ!」
賢者「皆さんご無事ですか!」
賢者は ベホマラーを となえた!
パーティーの キズが 回復した! ▼
戦士「ぬう……あれでは不用意に近づけん!」
勇者「賢者さん、さっきの魔王の攻撃は……」
賢者「ええ。私の見間違えでなければ」
賢者「勇者様の剣を受け止めたのは、岩石型の魔物の腕」
賢者「戦士殿の剣を受け止めたのは、トロル系の『こんぼう』」
賢者「そして最後の剣山は、多腕のガイコツ系の攻撃によく似ていました」
賢者「恐らく……まだ仮説ですが、魔王の正体は――」
勇者「合成モンスター!?」
賢者「まだ断言はできませんがとにかく、様々な魔物の特技・特徴が垣間見えます」
賢者「恐らく攻撃手段だけでなく、あらゆる耐性をも備えているでしょう」
戦士「で、では何も手がつけられないというのか?」
商人「あっ、ちょっと魔王が!」
魔王『……』
魔王は スカラを となえた!
魔王の 守備力が あがった! ▼
戦士「くっ……こちらが守りに入ったところを見計らって……」
賢者「いえ……これは攻略のヒントになりそうです!」
賢者「守備力を上げたということは、先の攻撃を警戒したということ!」
戦士「先の攻撃を? まんまと捌かれてしまったぞ」
賢者「しかし勇者様の一振りには、反撃に向かない岩石の腕だけで対処しようとしていました」
賢者「つまり、勇者様の『伝説の剣』は通用するのです!」
勇者「そうか……!」
戦士「そうと決まれば話は早い」
戦士「体力のある俺が盾となって立ち回る。勇者は隙を見つけたら躊躇わず斬り込め」
商人「し、しかしそれは危険では……」
戦士「百も承知だ。だが無傷であれを倒せるとは思えん。いいな、勇者!」
勇者「うん、分かった!」
勇者「先陣は、全部戦士さんに任せるよ!」
賢者「私も隙あらば呪文で援護します!」
商人「ワ、ワシだって道具使用の合間に、この『せいぎのそろばん』で殴って――」
勇者「よしみんな、行こう!」
魔王『……』
魔王『勇者よ』
魔王『余は魔王である』
魔王は イオナズンを となえた!
魔王は マヒャドを となえた! ▼
戦士「うおおおっ!」
戦士は ダメージを うけた! ▼
賢者(さすが戦士殿、足が止まらないのは流石)
賢者は ベホマを となえた!
戦士のキズが 回復した! ▼
戦士「このデカブツめ……」
戦士「俺を舐めるなァッ!!」
戦士の こうげき! ▼
魔王『……』
魔王のころもから 無数の鋭いホネが とびだした! ▼
戦士「うおおっ!?」 ガガガガッ
戦士(な……何という数! だが一手打たせた! 直後の時間差攻撃なら――!)
勇者「やああっ!!」
勇者の こうげき! ▼
魔王『!』
魔王に ダメージを あたえた!
魔王は わずかに よろめいた! ▼
勇者「あ、当たった!」
戦士「効いたようだぞ! ――うおっ!」
魔王のころもから がんせきの こぶしが とびだした! ▼
勇者「いったん離れて!」
戦士「くっ……だが、これでダメージを与える目処は立った!」
商人「うおおおっ!」
勇者「!」
商人の こうげき!
魔王の ころもから きょだいなツメが とびだした! ▼
商人「わったった! 後ろからでもダメか!」
戦士「いつの間に魔王の背後に回りこんでいたのだ。やはり商人めしたたかな奴」
賢者「しかしどこから攻撃を仕掛けても、全方向に対応できるようですね……」
魔王『……』
魔王は ベホマを となえた!
魔王の キズが 回復した! ▼
勇者「えっ!?」
商人「ちょっ、魔王のキズが治っていきますぞ!?」
戦士「……馬鹿な……これではこちらの総力でも追いつかんぞ!」
賢者「……」
賢者は バイキルトを となえた!
勇者の 攻撃力が 2倍になった! ▼
賢者「皆さん、聞いてください」
勇者「賢者さんっ」
賢者「まず魔王は、登場した場所……いや、元々いた場所から、一歩も動いていません」
賢者「これは動かないのではなく、動けないのだと思われます!」
戦士「どういうことだ?」
賢者「最上階、屋上まで登っていく時に目にした、太い支柱」
賢者「その柱の到達点が、ちょうど魔王の位置なのです」
賢者「魔王が本当に動けないのだとすると、柱は、例えば『根』に当たる部分――」
賢者「恐らく魔王の正体は、植物に近い存在です!」
賢者「根にあたる柱から、膨大な魔力が供給されているとみて間違いないでしょう!」
戦士「あの巨大な柱が『根』だと……? 規模のケタが違うではないか!!」
勇者「どうすればいいの!?」
賢者「『根』と本体を切り離すしかありません!」
賢者「あの目の前にいる魔王の、できるだけ下部を、真横に切断してください!」
商人「真横にって……あの要塞みたいな魔王相手にそんなことが……!」
勇者「やるよ! やるしかない!」
戦士「おおう!」
賢者「! 皆さん、魔王が!」
魔王は イオナズンを となえた!
魔王は マヒャドを となえた! ▼
パーティーは ダメージを 受けた! ▼