僧侶は ダメージを うけた! ▼
僧侶「いたた……」
僧侶(でも、今回はもうバギと補助呪文はなしだ)
僧侶(魔力の節約のためにも、ひのきのぼうを使いこなせるようにしとかなくちゃ……)
僧侶の こうげき! ▼
ミス! 魔物にダメージを あたえられない! ▼
魔物Bの こうげき! ▼
僧侶は ダメージを うけた! ▼
――――――
僧侶は ダメージを うけた! ▼
僧侶の こうげき!
魔物に ダメージを 与えた! ▼
魔物Aの こうげき! ▼
魔物Cの こうげき! ▼
――――――
僧侶の こうげき!
魔物Aを たおした! ▼
魔物Bの こうげき!
僧侶は ダメージを うけた! ▼
僧侶の こうげき!
魔物Bを たおした! ▼
魔物Cは にげだした! ▼
僧侶は 魔物のむれをたおした!
経験値と 90Gを てにいれた! ▼
僧侶「ふう……」
僧侶(……この魔物たちの遺骸を、道の脇にどけてあげよう。ついでに弔いも……)
僧侶「――」
僧侶「よし」
僧侶は ベホイミを となえた!
僧侶の キズが 回復した! ▼
僧侶(……思ったより長期戦になっちゃった。武器で戦うのって難しいな)
僧侶(でも今ので、結構ひのきのぼうの使い方が分かってきたぞ)
僧侶(剣と違って刃がついてないから、振り抜こうとすると失敗するんだ)
僧侶(始めから殴りつける感じで、こう、当てるように打つといい感じ。こう、こんな感じ)
僧侶(一発の威力を求めず、軽い手数でダメージを稼いでいくんだ。よし、これでいこう)
ビュオオオオオオォォ……
僧侶(……風がまた一段と強くなってきたなぁ。とても前を向いていられない)
僧侶(でも負けないぞ。風なんかで吹き飛ばされちゃ、勇者に面目が立たないよ)
僧侶(……!)
魔物が あらわれた! ▼
僧侶(岩石のモンスターだ! 大きい! 風でびくともしてないぞ!)
僧侶(この手の魔物だったら動きが遅いから、たいてい逃げられるんだけど……)
僧侶(いまは風が強いし、足場も悪いし……うまく逃げられそうにないな……)
魔物の こうげき! ▼
僧侶(! うわっ!!)
僧侶は ダメージを うけた! ▼
僧侶(いたた……やむを得ない、戦おう)
僧侶は スカラを となえた!
僧侶の 守備力が あがった! ▼
――
僧侶の こうげき!
魔物に ダメージを あたえた!
魔物を たおした! ▼
経験値と 500Gを 手に入れた! ▼
僧侶「ふう。やっと倒した」
僧侶(……岩石に潜んでいた悪霊は消滅したみたい。残った岩は、そのまま自然に還るよね)
僧侶(……岩石のモンスターかぁ……)
僧侶(ひのきのぼうで戦うには、骨が折れる相手だったな)
僧侶(棒の方が折れなくてよかったよ。途中で戦い方を変えて正解だった)
僧侶(硬い相手は叩くより、局部を突いた方が有効なんだね。これは大きな収穫だ)
僧侶(特にこう、一点もズレることなく繰り出した突きは、思ったより高威力)
僧侶(ひのきのぼう全体の芯? で攻撃しているからかな。力任せで叩くよりずっと強い)
僧侶「……ん?」
僧侶(ああ、もうあんなに日が傾いてる!)
僧侶(戦いに時間をかけ過ぎちゃったんだ。風も止んでるし、今のうちに急ごう――)
【北の城>城下町】
<夜>
ウォンウォンウォン… ウォン…
僧侶「着いた……」
僧侶(すっかり暗くなっちゃった……早く小屋に行こう)
兵士「おい。そこの者、止まれ」
僧侶「はい?」
兵士「子供? こんな夜更けに何を出歩いている」
僧侶「あっ、あなたはお城の二階にいた警備の人!」
兵士「!? な、なぜ自分のことを……ん? お前どこかで見たような」
僧侶「勇者のパーティーにいた僧侶です。もう足のケガは治りましたか?」
兵士「ああ、誰かと思えば勇者様に付いていた! では、勇者様や戦士殿もここに?」
僧侶「いいえ。僕はパーティーを外されたんです。つい今、帰ってきたところなんです」
兵士「……ふっ。なるほどな。よくわかった」
僧侶「あの、お城にいるはずのあなたが、どうしてこんな時間に?」
兵士「お前には関係のない話だ、とっとと家に帰れ。他の兵士も見回ってる……」
僧侶「はぁ」
僧侶(なにかあったのかな……)
【北の城>城下町>外れの小屋】
ガチャ
僧侶「ただいま……。……」
僧侶(勇者が出て行っているんだ。そりゃ誰もいないよね)
ドサ
僧侶「ふう……」
僧侶(帰ってきた。帰ってきたんだ。これで、僕の旅は終わりだ)
僧侶(あとは……勇者に任せよう)
僧侶(勇者……みんなも……どうか無事に、旅を終えられますように……。……)
僧侶「Zzz……」
――――――――――――――――――――
【南の港町>露店通り】
勇者「うわあ、賑やかだね!」
戦士「遊びに来ているのではないぞ。今日は装備品やアイテムを整えるのだ」
賢者「まぁ、気を張り過ぎて失敗することもあります。多少の息抜きも必要でしょう」
勇者「もうっ、子ども扱いして。分かってるよ、今日は丸一日ここに留まって」
勇者「商人さんからもらったお金で、それぞれ旅に必要なものを買い揃える! でしょ」
戦士「当の商人は、朝一番に市場に出てるからな。この辺はさすがに一流といったところか」
賢者「商人殿の商いの知識は並ではありません。彼ならば資金を最大効率で運用してくれましょう」
勇者「ボクたちは商人さんの許可なしに、本当に好きに買い物してていいのかな」
戦士「我々への信用も含めてのことだろう。それに装備品など、当人が選んだものが一番だしな」
賢者「では、どうしますか。それぞれ装備の種類も違うことですし、ここは一旦別れますか?」
勇者「そうだね。それじゃ一通り買い物が終わり次第、あの宿屋に集合ということで」
戦士「分かった。あまり羽目を外すなよ」 勇者「外さないよ!」
ワイワイ ガヤガヤ ワイワイ
勇者「ほんとに人が多いなぁ。人ごみに流されないようにしないと……」
勇者(さて、買い物買い物。……と言っても、装備自体はもう間に合ってるもんなぁ)
勇者(はっきり言って今のでちょうどいいし……下手に新しいのを買うと、失敗する気がする……)
道具屋「いらっしゃい! お嬢ちゃんどうだい、今日は掘り出しもんが入ってるよ!」
勇者「えっ? ボクのこと?」
道具屋「お嬢ちゃんのことだよ! その年で勇ましいカッコしてて可愛いねえ!」
勇者「あ、あのねえ。ボクは北の王様じきじきの……ん?」
勇者「……ねえ、その指輪、ちょっと見せて?」
道具屋「これかい? ははあ、やっぱり女の子は光り物にゃ興味あるか!」
勇者「そ、そんなんじゃないよ。……なんだかこれ、不思議な力を感じる」
道具屋「おひとつ1800Gだ! 今ならふたつで3000Gでいいや!」
勇者「3000ゴールド……」
勇者(商人さんから預かったお金、全部だけど……)
勇者(ボクにはただの指輪には思えないんだよなぁ……どうしようかなぁ……)
道具屋「お嬢ちゃん……気になる男の子でもいるんじゃあ、ないのかい?」
勇者「えっ?」
道具屋「この指輪ならデザインもまったく同じだ、おそろいだよ?」
勇者「そ、そんな人いないよ!」
勇者(……でも)
勇者(おみやげだったら……買ってあげてもいいかな……?)
勇者(でもでも、おそろいって……しかも指輪だなんて……いやでもボクそんなつもりは……)
道具屋「ほらお嬢ちゃん、他にお金を使っちゃうと、もう買えなくなるよ! ほら!」
勇者「えっ?」
道具屋「ほら、今日の今しかないよ! 買いだよ、買い! さあ一声だけ!」
道具屋「さあ!!」
勇者「えっ? えっ? か、買います?」
道具屋「売ったあああああ! 毎度ありいいいいいい!!」
勇者「あ、あれれ……?」
勇者(買っちゃった……)ドキドキ
賢者「――勇者様、いま何を買われたのですか?」
勇者「あ……賢者さん……」
道具屋「おおっとここで二枚目のお兄さんの登場かい? 若いねえ憎いねえ」
賢者「その指輪を? ふたつで3000Gで?」
道具屋「おおっともう返品不可だよ! もう取り引きは成立したんだからねえ!」
賢者「流石です、勇者様。良い買い物をされました」
勇者「えっ?」
賢者「これは『いのちのゆびわ』です。装備すると、歩くだけでキズが癒えるという逸品ですよ」
道具屋「えっ?」
賢者「普通、店で買えるような代物ではないのですが、素晴らしい掘り出し物に巡り合えましたね」
勇者「そ、そうなんだ」
道具屋「あ、あの……返し……」
賢者「ところで、これでもう支給された額は使い切りましたよね。ともに宿に戻りましょう」
勇者「う、うん」
道具屋「あ、待っ……うおおぉボロ儲けしたと思ったら大損だったああ!!」
――
【南の港町>宿屋】
勇者「……まだほとんど時間経ってないのに戻ってきちゃったね」
賢者「そうですね。私の方もすぐ、ローブの売り出しを見つけましたから」
勇者「そのローブ、似合ってると思うよ」
賢者「ありがとうございます。呪文に強い耐性のあるローブなので、これで咄嗟に勇者様を守れますよ」
勇者「やだなぁ。ボクは一人でも平気だよ」
賢者「……前の装備は僧侶殿のものだったので、これでもう、勘違いされずに済みますね」
勇者「えっ? そ、そうだね。あはは」
賢者「……勇者様。この後、お暇ですか?」
勇者「ん、どうして?」
賢者「私にはまだ予算が残っています。良ければ、一緒にバザーを見て回りませんか?」
勇者「……ううん、ボクは別にいいや。賢者さん一人で楽しんできてよ」
賢者「……。……僧侶殿とならば、承諾しましたか?」
勇者「えっ?」
勇者「な、何で僧侶が出てくるの? ボクは別に」
賢者「その指輪。二つセットで買ったのはなぜですか?」
賢者「一つだけならば、残ったゴールドで他のアイテムも買えたのではないですか」
勇者「そ、それは別に、貴重なアイテムがセットで安売りだったから――」
賢者「勇者様は、私が来るまでその指輪が貴重な装飾品であることを、明確にはご存じなかった」
賢者「つまり始めから何らかの意図が別にあり、二つ買うつもりだった」
勇者「二つ買ったから、何なの? 考えすぎだよ」
賢者「では単刀直入に申し上げます。あなたは僧侶殿に、そのおそろいの指輪を渡すつもりですね」
勇者「そっ……! た、ただのお土産だよ!」
賢者「なぜ……いつまでも、パーティーを辞した者のことを引きずっているのですか」
賢者「今はこの旅で、同じ役柄であなたをお守りできるのは、私しかいないというのに」
勇者「な、なんでそういう話になるの? 友達にお土産を買うのが、そんなに変なの?」
賢者「それが指輪でなければ、私も口を閉ざしていました」
勇者「そんなの偶然……きゃっ!」
賢者「勇者様。私は――」
勇者「ちょ、ちょっと賢者さん、手を放して」
賢者「初めてあなたを見たとき、私はその凛々しさに心を奪われました」
賢者「私はあなたを守るためにパーティーに加入したといっても、決して過言ではありません」
勇者「は、放して……」
賢者「私はあなたのためなら、人生をかけてでも――」
勇者「放して……痛いよ、賢者さん……」
賢者「!」
賢者「も、申し訳ありませんでした」
勇者「……」
賢者「ほ、本当に申し訳ありません、度が過ぎてしまいました。……し、失礼します」
ガチャ バタン
勇者「……」
勇者(……)
勇者(こ、怖かった……)ギュッ
勇者(魔物と戦うときなんかよりも、ずっと……)
――